星界の救世主 =STAR☆SAVIOR=

MASATO

Prologue ★ 星の遺跡

(序)導 入

Introduction

 目をますと、私はICUのベッドの上でした。

 私のタイタン号は火星基地に戻っていたのです。

 探査船はアステロイドベルトの事故から、奇蹟的に帰還できました。

 私は、第一次小惑星探査隊指揮官、探査船タイタン号の船長であります。


 航空医官の説明によると、私は七日もの間、意識不明の状態だったといいます。

 あれは、私だけの幻覚だったのか。それとも昏睡こんすい状態の中で見た夢なのか。

 探査隊員たちに尋ねても、全員口をそろえて、何も覚えていないというのです。

 しかし、私の記憶の中には確かに息づいているのです。


 あのリアルな映像は、視覚神経の奥に焼きついている。

 あのライブな音響は、聴覚細胞の中まできざまれている。

 あの愛と命の物語は、私の心の奥底にみついている。

 夢や幻覚なんかでは絶対あり得ない。すべて私が目撃した事実。


 私の記憶を確かめるために、海馬かいばの奥に収められている記憶の脳波を検出して、コンピュータへ取り込む方法を試みました。ブレイン・スコープと名付けられた試験段階のテクノロジーですが、記憶データをバイナリーファイルとして読み込むことに成功しました。


 解析を進めテキストデータ化してみると、そこには壮大なるストーリーが浮かび上がってきたのです。そのテキストファイルを基に、最新鋭のAIが文学的にまとめ上げたものが、この宇宙の物語になりました。

 それでは、お目通しください。人類の救世主となる若者たちの物語、「宇宙の伝説」の始まりです。


     * * *




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