この作品は、荒廃した地球を離れて新天地を目指す宇宙冒険を描きながら、科学文明と人類の未来について考えさせられる作品だと思います。
舞台は、放射能汚染や環境破壊によって人類が地球で暮らし続けることが難しくなった未来。移民船に人間だけでなく地球上の生物のDNAまで積み込み、宇宙へ旅立つ設定は、まさに現代版「ノアの方舟」であり、作品タイトルとも綺麗につながっています。
特に印象的なのが、遠ざかっていく地球を見ながら、主人公が人類自身の手で母なる星を壊してしまったことへ思いを巡らせる場面です。単なる未来の出来事としてではなく、現在の科学文明や環境問題の延長線上にある未来として描かれているため、物語のテーマが強く伝わってきました。
また、巨大な宇宙嵐という危機に対して、主人公が船長として仲間の専門知識を信頼しながら判断していく展開にも緊張感があります。科学的な設定を細かく描きながら、人と人との信頼を危機突破の軸に置いているところも印象的でした。
宇宙への憧れだけでなく、自然や平和、科学と人類の関係まで物語に込められており、本格SFや、人類と科学文明の未来を考えさせられる物語が好きな方におすすめの物語です。