タイトル何にする?何でもいいだろ。じゃあ、そうする。いや、真に受けんなよ。

頭野 融

第1話

性格がかわいいんだよ。橘さんは。


顔もかわいいだろ。


でも、ちょっと天然だけど、しっかりしてるのがかわいいんだよ。真面目だしね。


髪型は、やっぱり、ポニーテールに限るよな。


下ろしてた時も可愛かったよ。


確かに、あの時もかわいかった。異論はねぇ。



高一の遠野とおのが大事な場面に出会うと、ある二人の青年が現れる。


一人は、ラフなパンツに、黒のTシャツ。その上に、赤がメインのカラフルなパーカーを羽織っている。少し猫背で、ポケットに手を突っ込んでいる。


もう一人は、青のポロシャツとジャケットだ。あと、ジーンズ。背筋が伸びていて、気持ちがいい。


でも、二人の身長は同じくらいで顔もそっくりだ。

そして、何やら、二人は言い争っている。



そうでしょ。あの時も本当にかわいかった。

 

女神かと思うほどだったな。


それは、言い過ぎだよ。ってこともないね。


まあ、でも、性格もかわいいよな。


うん。優しいしね。気遣いができるよ、橘さんは。


ちょっと抜けてるとこもあって、さらにかわいいよな。


前、右と左どっちか訊いてきたことあったよね。


あったな。かわいかった。


人数数える時もかわいいよね。


ああ、いち、にい、さん、しい、ってやるやつな。


うん。君がやると気持ち悪いけどね。


そんなこと言うなよ。まあ、橘さんにはかなうわけもないけどよ。


当たり前でしょ。あとさあ。


うん、何だ。


なんか、頭の中で考え事してて、少し上むいてる時もかわいいよね。


そうだな。かわいい。自分が相手を待たせてると思ってるときに、ちょっと走るのもいいよな。


うん。あと、うれしいことがあって、それを誰かに知らせる時も走ってるよね。


だいたい、声が大きくなってるよな、その時。うれしいからだろうけど。


それがまたかわいいよね。


激しく同意だ。


でも、本当に橘さんかわいいよね。


そうだな。やっぱ好きだな。


うん。


お前もなのか。お前も橘さん好きなのか。


うん。


そうか。


でも、当たり前じゃないの。それって。


確かに。なんでうろたえたんだ、オレ。


そこまで、しんけんってことじゃないの。


でも、お前さあ、よく、そんな冷静でいられるよな。


何が。


恋敵がオレだったからいいものの、あんだけ、かわいいんだから、とられちゃうぞ、橘さん。


確かに。


悠長に言ってる場合じゃねえよ。告白とかはどうすんだよ。


君に言われたくないね。君も僕と同様なわけだし。


うるせぇな。


まあまあ。橘さんは落ち着いた人が好きってよ。


おお、そうなのか。


いや、聞いたことはないけど。告白どうしようか。


どうするってどういうことだ。いや、だから。


ああ、どういう方法かってことか。


うん。


手紙とか、LINEとかそういうことか。


なんで、直接が入ってないの。


それは、、、。


でも、怖いよね。直接の告白。


やっぱりな。


でも、そんなこと言ってる場合じゃないのかな。


なんでだ。


さっき、君も言ってたけど、別に、他に橘さんのことが好きって人がいないわけでもないだろうし。


ああ。


時期的にも、今が最後ぐらいだと思うよ。


なんのだ。


告白できるの。


なんでだよ。


だって、橘さんと知り合ったのが中学なわけだし。


うん。


何とも思ってないのかと思われるよ。


なるほどな、で、どうすんだよ。


そうだね。どうしようか。


オレ、LINEはやめた方が良いと思う。


なんで。


だってさ、言葉足らずになりそうだしさ、難しいと思う、面と向かってないのは。


確かに、そうだね。LINEの線はないかな。


だな。じゃあ、後は手紙か、直接かだな。


うん。手紙ってさあ。


なんだ。


難しい気がする。LINEと同じく面と向かってないわけだし。


そうだな。キツイか。


うん。そう思う。


じゃ、手紙もないな。


うん。じゃあ、残るは、直接だけか。


そうだけどよ、直接か。


うん。直接だね。


そういうのってどうやってやるんだ。


僕も知らないよ。


よく、それで候補に挙げたな。


それは、ごめん。


まあ、いいな。じゃあ、これから機会をうかがうってことか。


そうなるだろうね。


直接告白する。覚えとかないとな。


忘れるの、こんなこと。


いや、忘れねぇな。


うん。


それに、少なからず、お前は、忘れねぇだろ。


うん。



「遠野くん、


帰りのホームルームが終わった教室に残っている中山に、橘 深央みおが声をかけた。


橘が言い終わる前に、二人の青年は、遠野に重なっていき、その中に消えた。


帰らないの。」



消えたと思った二人の青年は、また現れた。



今が絶好の機会じゃねぇのか。なあ。


そうだね。僕もそう思う。


ほら、頑張れよ。


うん、今だよ。今。



そして二人の青年は、また、遠野の中に消えて行った。



「橘さん。」


遠野が口を開いた。


「ん?」


橘は遠野の方に振り返った。



遠野の後ろには、二人の青年が遠野を応援している。

その顔は遠野そっくりだ。

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タイトル何にする?何でもいいだろ。じゃあ、そうする。いや、真に受けんなよ。 頭野 融 @toru-kashirano

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