第18話 主人はご立腹
吉良家の彼の事が気になり考え込んでいたら、思いっきり一ノ瀬坊ちゃまとの約束の時間に遅れてしまった。
携帯の充電が切れているのも重ねて最悪だ。
一ノ瀬邸に着くなり、仁王立ちで私を待ち構えていたらしい主人。
馬鹿広い一ノ瀬邸の庭を抜けて入口に到着するも、休む暇なく主人からの質問が飛んでくる。
「緑ちゃん、遅かったね」
「ご、ごめんなさーー」
「で、今まで何してたの?」
「…」
「携帯に連絡しても繋がらないし」
「…」
「家にも帰ってないし」
「…」
「今まで何してたの?」
「…」
「うん?」
「…あ、あの」
「うん」
「い、今までは…」
「うん」
「喫茶店に居て…」
「うん」
「それで…」
「うん」
「今…戻りました…」
「夏帆ちゃんと?」
主人がいつ私と仲の良い友人の名前を知ったのかは分からない。
「あー…、え?」
「夏帆ちゃんと喫茶店にいたの?」
「う、ん…?」
「そっか、夏帆ちゃんと…、ね」
「う、うん…」
「夏帆ちゃん、今日家のパーティーがあるから忙しくて会ってる暇ないと思ってたけど、会ってたんだ?」
「…」
確かに、今日夏帆がパーティーがある為先に帰って行ったのを今になって思い出した。
しかも、よくよく考えたら一ノ瀬様がパーティーに呼ばれていない訳が無い。
最初から夏帆じゃないって分かってるなら、名前出すんじゃねぇよ!と言える訳もない。
相も変わらず、私に逃げ道を残してくださらない一ノ瀬坊ちゃま。
「そ、そうなんだ?」
「うん」
「そ、れは知らなかった!」
「うん?」
「と、とりあえず!遅れてごめんなさい!」
「…」
「これからは、気をつけます…」
「…」
「だから、その…」
「…」
「…お、怒らないで?」
「…」
「…」
「…はあ」
「…」
「緑ちゃんは、」
「…」
「本当ずるいね」
とりあえずどうにか乗り切れたと思った矢先、勢いよく腕を引かれ一ノ瀬邸に連れ込まれる私。
どこか、焦っている様子の主人。
「ど、どうしたの?」
「…勃った」
「は?」
「今の緑ちゃんのおねだりで、勃った」
「…」
「ちゃんと、ご奉仕してね?」
満面の笑みのご主人に、引き気味の私。
今日も今日とて、激しそうな予感。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます