第5話 GS施設について

 



いらっしゃいませ、こんにちは!


前回の油種については分かりましたか?


ちょっと専門知識が入りましたね。


今回も少々そういった知識のお話です。


GSってよく見かけますよね。


しかしながら、そこら辺の車通りが多い場所にポコポコつくれるわけじゃあないんです!


建てるには色々規定があるんです。


特定の施設や建物から離す距離とか。


まあ、そういった細かい点は省きます。


GSは地下に貯蔵タンクを設置します。タンクは四十年ごとに新品に交換しなければいけないのでお金がかかりますね。


タンクもレギュラー、ハイオク、軽油、灯油、お店によっては廃油など別々の専用タンクをそれぞれ用意して埋めます。


地下タンクやポンプ設備を整えたら床です。


油が土地を汚染しないようにコンクリートで舗装し、敷地の境界には排水用の溝を掘っておきます。


溝にガソリンが流れても油分離装置(分離槽)で処理するので、そのまま下水や側溝には捨てません。


壁も規定があります。


車の出入り口などを除き、敷地との境界に二メートル以上の不燃性の壁が必要です。




「そんなのあったっけ?」




はい、ありますよ。


建物と同じ色合いにしていることが多いため、防火壁っぽく見えないかもしれません。


建物も壁、柱、ハリ、床、屋根は不燃性のもので建てることになっています。


可燃性の液体を扱う建物が木造だったら火災が起きやすいだけでなく、火の手が一気に広がってしまうからです。当たり前ですよね。


窓ガラスやガラス扉は飛び散らないように網が入ったものと決まっています。




「へえ、気付かなかった( ̄∇ ̄)」


「建物については意識して見ないと普通は分かりませんよね(´∪︎`*)」




給油設備、計量機は敷地の境界から二メートル以上離して設置し、計量機から伸びる給油ノズル(ホース)は五メートル以下。


GSって妙にだだっ広いと思いません?


あれも明確な基準があって空間を設けています。意外と細かな基準があります。


GSと言えば、至る所にABC消火器が置かれていますよね。


そもそもGSはスプリンクラーが設置出来ません。


油は水に浮いてしまうため、スプリンクラーが作動したら被害が広がるからです。天ぷら油の火災で慌てて水をかけたら広がっちゃうのと同じですね。


基本は窒息消火を使います。


文字通り、空気を遮断して火を消します。


ABC消火器は学校や会社など、どこにでもあるあの赤いボンベみたいなやつに黒いホースと黄色いピンがついた消火器のことです。


窒息消火は砂や特定の不燃性ガスといったものも有効ですが、ABC消火器の方が持ち運びやすく置き場も困らないので重宝されています。


ちなみに美術館のような水も泡もダメな場所は不燃性ガスを充満させる窒息消火を使用することがありますが、これは人がいる場合は使えません。


もし人がいる状態で作動したら、残された人が窒息してしまうからです。


さて、話を戻しますがセルフサービス店の床に停車位置や灯油などの容器を置く場所の表示を見ませんか?


これも表示するよう決められています。


こっそり豆知識を一つ。




「セルフサービス店の計量機は給油時間に制限があるんですよ」


「えっ?」


「タンクの大きなお車でお越しのお客様は、お手数ですが二回に分けて給油していただきます。これも安全のためなんです」




セルフサービス店は店員が給油時についていないので時間制限を設けています。


そしてセルフサービス店は建物内の監視場所に制御装置があり、災害発生に緊急停止も出来るように整えてあります。


ただ、その、緊急停止ボタンの使用は本当に最後の最後、最終奥義ぐらいの奥の手とお考えください。


だって押しちゃったら大損害なんです!


緊急停止に伴い消火剤が散布されますが、その場合、消火剤の費用に清掃費用、消火剤がかかったことで壊れる機材の交換費用と馬鹿にならない額のお金がかかるんですよ。


押す手が震えますよね((((;´・ω・`)))


いざとなったら腹を括って押します。


でも大体は普通に制御盤で停止させますし、緊急停止ボタンは制御系統の中でも別枠で用意されていることが多いです。


誤作動を防ぐために薄いプラスチックかガラスでカバーされています。


叩き割る勢いで押せってことですね。


緊急停止ボタンは置いておくとして、GSにカフェが併設されている場合もありますよね。


併設出来るものも決まっていますが、実はGS内に駐車場を作ってはいけません。


洗車後の拭き取りスペースはOK。


駐車場の一角にGSが立ってる場合もあるけれど、あれはセーフです。


要はGSの敷地内に作ってはいけないだけで、隣接する分には構わないのです。


他にも診療所や遊技場もダメです。


ここで面白いのは、事務所とは別にGS関係者の居住する建物は許されている点です。


でもGS内に家があったらお客様は落ち着かないような……?


私は見たことがないけれど、個人経営のお店ならば敷地内に家が建っていてもおかしくありませんね(*゚▽゚︎)


とりあえずこの辺にしておきましょう。


GS施設について、どうでしたか?


是非GSに行った際に見てみてください。


建物の構造など「あ、本当だ〜」と思っていただけたら嬉しいです。


次回はGSの従業員のお話を致します。


ご利用ありがとうございました!(*´∇︎`)ノシ




○追記


夏場のGSに行ったら床に水を撒いている、という光景を見るかもしれません。


あれは床の温度を下げて地下タンクが熱くならないように気を配っているからです。


「夏場にサンダルで出かけたたらGSの床の水で足が濡れてしまった」なんて経験をされたお客様もいらっしゃるかと思います。


ご迷惑をおかけして申し訳ございません。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る