第143話 皆の前で



「朝から元気ですね」


「サリア おはよう」


「えっ お おおはようございます」


「ふっふっ エッタ 緊張しなくても いいんですよ 私達は友達でしょ」


「えっ えっ」


「それより どうした」


「ノルンが大変そうなんだけど いいのかなって思ってね」


「ノルンになんかあったの」


「巨大スライムに2つ目の街を奪われたそうですよ」


「へぇ~ そうなんだ 英雄は何を」


「聖騎士様が巨大スライムを倒すより 増殖するほうが多いみたいよ」


「へぇ~ 大変そうだね」


「ノルンの性格なら困っていても君に助けを求めたりしないわよ」


「大丈夫 サリアに連絡が行けば俺が助けに行くって分かってるはずだよ で どこにいるの」


「行くんですね ノルンはダンジョンの街 ペタロにいますよ」


「ペタロか う~ん 行く方法ってあるの」


「ふっふっ 向こうの王には話をつけています ギルドから ペタロの街のギルドに転移出来ますよ」


「さすがだね じゃあ ちょっと 行ってくるね」


俺はサリアを抱きしめ 大きくなったお腹を撫で 大きくなった胸に顔を


「おい サリア様は女王になったのだぞ こんなところで」


「じゃあ ミラベルの胸で あれっ あまり 変わらないね」


「ふっふっ 個人差はありますよ どっちが好きですか」


「どっちも好きだよ 違いを楽しまないとね」


「まったく お前のためじゃないぞ」


「えっ 違うの」


「さっさと 行け」


「ふっふっ 気をつけてくださいね」


「大丈夫だよ サリアを助けたら 後は英雄に任せて逃げてくるから」












ふぅ~ これで終わりかな


俺は3つの指輪を拾い 街の中に


教団支部の前に大勢の人達が 冒険者や国の兵士達も集まっているようだ


ノルンが中心になって 全員に話をしていたので 後ろから近づき


「きゃっ えっ 英雄様 どうして ここに」


「ノルンに会いたくなってね ってことで いいよね」


「ふっふっ いいですよ じゃあ 後は え~と マヤお願いね」


俺達が教団支部の中に入ろうとすると


「おい 待て 貴様が第4の英雄だな 話は終わってないぞ それに貴様も参加しろよ」


んっ ガキか あっ 隣にいるのは剣聖のおじさんか ってことは やっぱり 12歳 名前はハルトか


「後は聖騎士様に任せますよ それじゃあ」


ハルトは怒りに満ちた顔で


「はあ~ 何を言っている ふざけている場合か 今はこの国の一大事なんだぞ」 


「俺には勝てないので ボスはよろしくお願いしますね」


「勝てないって 戦いもしないで 貴様も英雄だろ 恥ずかしくないのか」


「いや 別に もう いいかな」


「くっ じゃあ 頭下げてお願いしろ そうしたら 俺らが倒してやるよ」


「英雄様」


ノルンが俺を心配そうな目で見ていたが 俺は聖騎士の方に向かって土下座を


「よろしくお願いします どうか 巨大スライムを生み出すボスを倒してください」


「なっ 貴様 プライドはないのか それでも英雄なのか 神から貰った力があるのに なぜ戦わない」


俺は土下座したまま話を


「怖いからです 俺は神から勇者 賢者 聖騎士のどれかの玉を貰えるはずでしたが 後から来たモラルのない3人に順番を抜かされ 正式な玉を貰うことが出来ませんでした 更に正式な玉の力がなく4番目に転生すると偽者と判断される可能性があったので王の元に転生出来ずに王達からのサポートを受けることが出来ませんでした 毎日睡眠時間もほとんど取らずに稽古をしましたが 今の俺ではボスを倒すことができません どうか 聖騎士様 あなた一人では倒せないと思うので勇者様と賢者様の3人でボスを倒してください お願いします」


周りの人達は俺を哀れな目で ハルトを冷たい目で


ハルトはバツが悪そうに下を向き小声で


「なっ あれは 仕方ないだろ 1つしかなかったのだから」


ノルンが怒った顔で


「酷い あなたこそ 英雄として恥ずかしくないのですか」


「ノルン 俺のことなら気にしなくていいよ 英雄同士で揉めたくないんだ 聖騎士様 ボスをよろしくお願いします」


剣聖エリアスがはぁ~ とため息をつき


「あまりうちの英雄をイジメないでくれ さっきからボスって言っているが何のことだ 今問題なのは この街の周りを囲んでいる千匹の巨大スライムだろう」


「雑魚なら俺が倒しましたよ」


「雑魚 巨大スライムのことかな」


「なっ 嘘をつくな 1人であの巨大スライムの群れを倒せるはずが」


すぐにギルド職員が


「あの~ 巨大スライムは間違いなく第4の英雄様が倒してくれましたよ」


可愛い子達はクスクスと 他の人達は驚いた顔に


「もう いいかな 後は任せたよ」


「なっ 既に倒しただと あの巨大スライムを 待て ボスとは何だ」


「巨大スライムを生み出している魔物のことですよ 恐らくかなり強いので無理はしないでくださいね じゃあ そういうことで」


俺はノルンと一緒に教団支部の中に








まったく 酷い人ですね


俺のこと


いえ 聖騎士様達のことですよ


そんなに怒ると可愛い顔が台無しだよ それに俺は彼らに感謝しているからね


えっ


彼らのおかげで英雄としてでなく 1人の冒険者として自由に旅が出来ているからね 王達のサポートを受けていたら こんなに自由には旅は出来ないだろ


そうですけど


それより ねっ


ふっふっ そうですね ちゅっ

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