第126話 兎の魔物



ふぁ~ぁ んっ 


起きるとメイジーがいなかった




食堂に行くとカルナが俺のところに走ってきて抱きついてきた


「おはよう」


「おはよう カルナ 頑張ってるか」


「うん リーダーだからね」


周りの人達は苦笑い


そして メイジーが


「おはようございます その カルナはまだ ・・・」


気まずそうに 口ごもる


「そうだね リーダーはカルナだけど みんながちゃんとサポートしてね」


全員 苦笑いしながら 小さな声で はい っと





朝食は既に全員食べ終わっていたが


カルナが


「じゃじゃ~ん」


と言いながら 朝食をアイテムボックスから取り出した


おっ 美味しそうだ


「いい匂い 美味しそうだね」


「ふっふっ 私が作ったの リーダーだからね」


「ありがとう 約束は覚えているよね」


「うん 大きくなったら 抱かれるよ」


えっ


周りの人達が冷たい目線で俺を


「そんな約束はしてないだろ 約束は」


「ふっふっ それは2人だけの ひ み つ」


また周りの人達から冷たい目線が


はぁ~ まったく


「冒険者にならないこと 他のことはメイジーに言ってあるから 困ったことがあったらメイジーに相談すること いいね」


「は~い」


そう言ってカルナは俺のほっぺに


キスを


まったく










「じゃあ 今日は買い物に行こうか みんなの可愛い服を沢山買おう」


ジュエルが手を上げて


「あの~ 装備と食料は教団の方から分けてもらえましたが」


「ダンジョンでは何があるか分からないから 食料は多めに それに可愛い服がいるだろ」


フレアが


「1日でも速く強くなりたいんです それに服を買うお金があるなら孤児院に食べ物を」


そうか そうだよね


「フレアとルネはこの街の孤児院の出身だったよね そこに案内してくれるかな」


「えっ はい」




孤児院に着くと 子供達が走ってきて フレアとルネに抱きついてきた


世界中の子供達を救えるなんて思ってないけど 好きな女の子がお世話になった孤児院くらいはいいよね


俺は大狼の魔物300匹 大牛の魔物10匹を寄付することにした


「こんなにいいんですか 大狼の魔物1匹5万エン 大牛の魔物1匹10万エンもするのに」


フレアが驚きながら言ってきた


「昨日 狩りに行った魔物の一部だけだから問題ないよ ここの子供達は解体も出来るんだろ まあ大牛の魔物は食べても売っても好きにしていいからね」


「それからジュエルにはお金を渡すから ギルドから孤児院に届けてもらうように」


「えっ いいんですか」


ジュエルは困惑しながらも お金を受け取りギルドに走って行った


リズとアーリンを見ると リズが


「私達は大丈夫ですよ 強くはなりたいですが」


「そうか 困ったことがあったら何でも言ってね」


俺がリズを抱きしめながら言うと アーリンが


「私達はまだ何もされてないですよ」


っと


俺が


「ダメかな」


っと言うと リズはクスクスと笑いながら


俺に


キスを


「アーリンは」


アーリンはため息をつきながら まったく っと


俺のほっぺにキスを


フレアとルネのほうを見ると


「ここでは 無理です」


っと 周りを見ると 孤児院の子供達が俺達をじぃーっと見ていた






ジュエルが走って戻ってきたので 俺達は買い物に行くことに


服屋に入ってもジュエル フレア ルネは値段を気にして買うのを躊躇していたので 1人50万エン分の衣服を買うようにと言って リズとアーリンに任せた


その間 俺は食べ物を購入することにした





そして 昼食を食べて ダンジョンに


ダンジョンの入り口は人で溢れていた


聞くと1階~2階は特に人が多いそうだ


ダンジョンに入るとすぐに転移の魔法陣があり 行きたい階の物を何か持っていたら転移することが出来る


入り口前で売っていた5階の石を100エンで購入して 俺達は5階に転移した


1~5階までに出る魔物は同じで このダンジョンでは兎の魔物が出る


兎の魔物は 経験値1 倒すと50エンを出し 素材をギルドに売ると3000エンになる


逃げ足が速いがダンジョンには行き止まりも多いので 狩るのは難しくないだろう


少し進むと すぐに兎の魔物が1匹現われた


ジュエルが震えていたので


「ジュエル 剣がダメなら石を投げるといいよ」


俺は小さな石をアイテムボックスから取り出し ジュエルに渡した


ジュエルは石で 他の4人は剣で


兎の魔物は素早く 5人の攻撃を避け続ける


が 角に追い詰め 総攻撃を


追い詰められた 兎の魔物がフレアに


もちろん 寸前で俺が石を投げて倒す



ジュエルが腰を抜かしたのか座り込んでしまったので 俺がおぶって進むことに


複数出てきたら 俺が石で倒して1匹にする


いつの間にか 全員 剣を諦めて 石を投げて攻撃を始めた


角に追い詰めれば 5人だけでも十分 兎の魔物を倒せた


これなら大丈夫かな




ダンジョンの中は明るいが恐らく 夜の10時くらいになったくらいか


ようやく ボス部屋の扉が


中に入ると5組の冒険者達がいた


各階のボスが復活するのは最低でも2日後なので ボスを倒し ボス部屋で野宿するのが常識だ


聞いてみると ボスは昨日倒したそうなので 今日までは確実に安全だそうだ


ボスといっても 兎の魔物が10匹だったそうだが


ここにいる冒険者達の目当ては兎の魔物の毛皮だと


1匹3000エンなのは肉もあっての値段なのだが 重い肉は食べて 2000エンになる毛皮だけを持ち帰るそうだ


5階で2~3日狩りをして 後は狩りをしながら1階まで上がって行くのだと


通常のダンジョンなら1階に1日近く掛かるのだが このダンジョンには道しるべがあるので 誰でも1日で2~3階は進むことが出来るそうだ


上に戻るほど 人が多くなるので ある程度自信のある冒険者なら5階からがおススメだと



フレアとルネが兎の魔物の料理を作ると言って来たが 魔物は全てギルドで売って5人でお金を分けると決めているので


俺が買っておいた食べ物を食べるように言った


俺が大きなテントや陣幕を出すと他の冒険者達は驚いていたが


う~ん 止めておこう


周りを見渡しても 可愛い子がいなかったので他の冒険者達を誘うのは止めた


2つのテントの内 1つは俺専用で 俺とジュエルが








で どうだった


うん もっと楽に倒せると思ってた


そうだね 誰でも最初はね


強くなりたい そう思うのに 体が


俺はジュエルを抱きしめ


キスを


怖ければ 逃げてもいいんだよ 無理をすることはない


でも 私は


強くなりたいなら 努力が必要だよ 出来ることから始めればいい 明日からは素振りを 石投げを 毎日稽古すればいい


でも レベルが上がれば


歩きながら 説明しただろ


うん


俺を信じられないかな


信じてるけど


俺はジュエルを強く抱きしめ


キスを


俺が必ずジュエルを守るから


うん


ジュエルは微笑み


俺にキスを


そして


……

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