第100話 蝙蝠の羽



俺は呆然と立ち尽くしていた


・・・


いきなり 1人に


・・・


なぜ


・・・


1年も3人と別れるのか


・・・


なぜ


ちゃちゃ ばにら ちょこは 何かに悩んでいたのか


・・・


魔法か 最近はずっと魔法のみの稽古を


・・・


俺は3人が強くなくても


ただ一緒にいられるだけでよかったのに


・・・




下を向いて とぼとぼと 歩いていると


「助けてください」


えっ


いきなり 少女が俺の側に


おおっ 可愛い


俺は少女を抱きしめて


「もう 大丈夫だよ 何があったの」


少女が


「第4の英雄に追われています」


っと


俺は思わず


「俺に」


少女はきょとんとした表情で俺をじぃーと見て


そして


「英雄様 助けてください」


あっ しまったって 敵は俺じゃなくて 誰


「王女様」


1人の綺麗な女性が俺の方に走って いや 俺が抱きしめている少女の所に


鑑定すると


抱きしめている少女は  サリア 15歳 レベル1


向かってくる女性は ミラベル 27歳 レベル72



ミラベルが俺の前に来て


そして 剣を抜き 俺の方に向けてきた


「姫を放しなさい」


えっ サリアの敵じゃないよね


「ミラベル この方は英雄様ですよ 私を救いに来てくれました」


「何を 英雄様は城に」


えっ 3人の英雄の内 誰かが来ているのかな


「え~と 勇者 賢者 聖騎士の誰がこの国に」


俺が聞くと サリアが


「第4の英雄と言ってましたが 偽者なんですよね」


っと俺に


えっ だったら偽者だけど


「姫 何を この男が偽者でしょ どう見ても子供ですよ」


あれっ どういうことだ


「ちょっと 聞いていいかな 英雄の年齢は4人とも11歳 もうすぐ12歳って知ってるよね」


俺がミラベルに聞くと


意味が分からないといった表情に


知らなかったのかなって サリアもか


サリアもきょとんとしているよ


「はぁ その第4と名乗る英雄の年齢が11歳じゃなければ 偽者だからね 信じられないなら ギルドで英雄について聞いてみるといいよ」


「分かりました それでは 一緒にギルドに来てもらっても」


「まあ 一緒に行くくらいはね」


信じてないのだろう


3人で移動をしようとした時 50人くらいの男達が俺達の周りを囲み


あ~ サリアは こいつらから逃げていたのか


リーダーらしき男が


「姫 城にお戻り下さい 英雄様がお待ちですよ」


サリアが男達のリーダーに


「あなた達が連れてきた 英雄は偽者だと分かっています あなた達の企みは何ですか」


そして 更に


「英雄様 あの男をやっつけてください」


えっ ええ~ いきなり 言われても まだ 何が何だか


「貴様が姫を惑わす悪の手先か」


男達のリーダーが俺を睨みながら言ってきた


ムカッときたので


俺はとりあえず 杖を取り出して


走って男に近づき


杖で男の足を


「ぎゃあああ 貴様~ ぎゃあああ」


男の足を2本とも杖で叩き折ると


男は悲鳴を上げて倒れこむ


周りの男達が一斉に剣を抜いたが


しかし


男達のリーダーの体から黒いオーラが


そして


姿が変化した


えっ え~と 何


背中には蝙蝠の羽が生え 黒い尻尾が


その姿を見た 男の仲間達も混乱しているようだが


ミラベルが


「悪魔族」


っと呟く


え~と そうか 鑑定


鑑定してみると あれっ 何も表示されない


周りの男達もついでに鑑定するが


ほとんどは人族だけど


・・・


「ねぇ ミラベル 悪魔族って敵ってことでいいの」


俺がミラベルに聞くと ミラベルが


「当たり前ですよ 邪神族の配下の10種族の内の1つですよ」


邪神族って 最近 聞いたような


・・・


まあ とりあえず


俺は 俺達を囲んでいる50人の中で鑑定しても何も表示されなかった男に近づき


「ぎゃあああ やめろ ぎゃああああ」


杖で足を叩き折った


すると その男も姿が変わり 悪魔族に


サリアが俺に抱きついてきて


「英雄様 お見事です どうやって 見破ったのですか」


えっ 最初の男はむしゃくしゃしていたから 殴ったんだけど・・・


まあ 単純に分かるよね


「鑑定して何も表示されなければ 人族でないのは常識ですよね」


俺が言うと ミラベルが


「だったら王都に入る前に門で気づくはず」


いや どうみても忍びこんだんでしょ 大丈夫なのか この国は


すると また大勢の男達がこちらに


今度はこの国の兵士みたいだけど・・・


「悪魔族とその手下です 1人残らず捕らえなさい」


ミラベルが兵士達に叫ぶと 兵士達が悪魔族の2人と男達を取り押さえ始めた


悪魔族と一緒に来た男達は意味が分からないと 俺達は無実だと叫んでいるが


どうなっているんだ


まったく意味が分からないよ


「ありがとうございました」


そう言って サリアが俺に抱きつき


そして


にこりと微笑み


キスを


「姫 まだ その子が何者なのか 分かってないんですよ」


とミラベルが俺を睨みながら


しかし サリアが


「ミラベル 今すぐに 城に戻り 偽者の英雄を捕らえなさい そして 教団の人達も怪しいので調べるようにお父様に言ってください 急いで」


「わ 分かりました 姫は 姫を1人にするわけには」


「私は大丈夫です そこの宿に隠れてますから 行ってきなさい」


「はっ」


そう言って ミラベルが走り去っていった


サリアが俺の手をひき 宿に


う~ん 巻き込まれたくないけど・・・ 俺は可愛いサリアの手を振りほどくことが出来なかった




部屋に入ると サリアが


「英雄様 結婚してください」


俺は即答で


「無理」


っと言うと


サリアは驚き 


「第4の英雄様は女好きだと聞いてましたが」


っと言って 首をかしげた


「それは 正しいと思うよ」


っと言うと


サリアがクスクスと笑い


俺にキスを


俺はサリアを抱きしめ


キスを


そして


・・・

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