第96話 虎の獣族10




呼んだかな エイル


お願いがあるの


んっ 何でも言ってよ


私を 私の魂を 君の魂の中に取り込んで欲しいの


急に 急に何を


君には強くなって欲しいから

頑張って バーサク王の玉の力を吸収したけど・・・

おそらく 私には ここら辺が限界 後はオーディン様の力のみ


まだまだ ってことだよね


そんなことはないわ 他の力は全て私が吸収した

既にバーサク王の玉の30%が私の力に


残り70%の力を使うには おっさんの許可がいるってことだろ


オーディン様は偉大なお方 きっと 君に力を貸してくれるよ

私からも頼んでおくから


却下 俺は力より エイルが必要だ いなくなるなんて許さない


はぁ もう 君っていう人は 正直に言うわね 私には特別な能力があるの

私を吸収すれば 君のものになるんだよ 


どんな能力


肉体の活性化  肉体の自然治癒力が大幅に上昇する 更に私の魂で君の魂が強化される

力 防御 素早さ 体力のステータスも上昇すると思うわ


なるほどね で 


でって 力が必要でしょ 私の力があれば

君は強くなれるよ


肉体の活性化はエイルがいつでも使えるだろ


そうだけど 


俺はエイルが好きだ エイルは違うのか 


好きだよ 分かっているでしょ 私の声が 魂の声が君にも聞こえるはずだよ


うん 聞こえているよ そして 俺の魂の声も エイルに聞こえているだろ


うん 君の魂の声が聞こえる こんな話より 今すぐに 私を抱きしめたいって


正解 エイルだって そうだろ エイルの魂の声の95%は愛情 5%は欲情

俺には隠すことが出来ないんだよ


ふっふっふっ 君なんか 愛情10% 欲情90%だよ


だめかな


うんん それが君だからね


足りない 愛情はエイルが補ってくれればいいだろ これからも ずっと


いいの 本当に 力が必要なんでしょ


分かっているだろ もう


ふっふっ もう 我慢できないって


おいで エイル 愛しているよ


私も愛してる


俺はエイルを抱きしめ


エイルも俺を強く抱きしめ


キスを


そして


・・・











ねぇ 


どうした もう1度かな


分かってるでしょ 何が言いたいのか


そうだね これからも よろしくね


うん もう一度 君と 一緒に 共に歩む 覚悟が出来た  私は必ず オーディン様の力を全て吸収してみせる


無理はしなくていいよ


無理じゃない 私には 私なら出来る そうでしょ オーディン様


えっ あっ そうか オーディンも全て聞いているのか ってことは 全て見られているんだね


そうね


見られながらってのもいいよね


もう そうじゃないでしょ 私の覚悟 これから私がオーディン様に挑むのも全て知られているのよ


う~ん 本当に それなら 俺もオーディンのことが分かってないとおかしいけど まあ 知りたくないけどね


え~と そうよね じゃあ 玉の奥で閉じこもっているかな

本来 玉の全ての力を扱うには バーサク王として君が覚醒する必要があるからね

それまで 玉の奥に眠っているのかもね


へぇ~ 難しいことはわからないけど ようするに エイルが俺の変わりに オーディンの魂を取り込んで バーサク王に覚醒するってことでいいよね


え~ 私が それは君の役目でしょ


無理無理 おっさんの魂を取り込むなんて 絶対に無理


もう 君が強くなるために神から与えられた力でしょ


本当によかったよ バーサク王の玉の中にオーディンの魂だけじゃなくて


オーディン様の力は強すぎるから 英雄の体でもね 今まで誰も制御出来なかったの

だから 神様は 英雄の体のエネルギーを使い 今回は私の魂を組みこんだのよ


エネルギーが足りなかったって言ってたのは 制御する力のことだったのか


それと愛の力かな 肉体が強くなっても 心が壊れれば意味ないからね


まさにエイルが適任ってことだったんだね 


強すぎる力は害になるの でも決めた 私が全ての力を必ず制御してみせる


それじゃ 決意はそれくらいにして 


もう 知らないわよ


大丈夫 俺も覚悟は決めた エイルと一つになるなら 恥も外聞もかなぐり捨てる


ふっふっ 覚悟って 朝 カピカピになっている下着を見られることでしょ


それ以外に何が


もう 大事な話をしてたのに 私の覚悟は


それは 言わなくても 分かってるから 


うん でも 気持ちが分かっていても口にして欲しい言葉も


エイル 愛しているよ


ありがとう 私も 愛しているよ


俺たちは抱きしめあい


魂は1つに繋がる


エイルの魂の温もり


愛情 そして 欲情


全てが一つに



本来 バーサク王の玉の力を使えば 急激な成長力に魂が耐え切れずに感情は壊れていく

急激な成長に高揚し 喜びを  急激な成長に体と魂が悲鳴を上げて 怒りと憎しみの力を増幅する

常に戦いを欲するようになり 

喜びを感じ 怒り 憎しみの力が増幅する

そして 英雄として一番大事な 愛情は壊れ 残るのは リビドーのみ


エイルの魂と合わさることで 彼の魂は修復し そして 愛情を強くする

彼はエイルを吸収すれば強くなれただろう  しかし それは獣としての強さ

ただ 戦いを楽しむだけのバーサーカーになっていただろう


それを本能で悟って エイルを取り込まなかったのか

それとも ただ エイルを愛していただけなのかは 彼にしか分からない


平和 慈悲 救済 温情の女神と呼ばれていたエイル

エイルと共に歩む彼がこの後 どのような 感情を持っていくのか

まだ 誰にもわからない


分かっていることは


・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る