第82話 馬鹿な貴族と馬鹿親




朝 村を出て


日が沈む前にパンセの街にたどり着くことが出来た



街の入街税を4人分払い 中に入る



今回は隠密行動だから アディールには接触しないほうがいいだろう

そもそも 領主の不正問題なんて・・・

俺に出来ることなんて はなさそうなんだよな

とりあえず 街の様子を見てまわるという名目で

買い物を楽しもうかな


街の中に入ったが特に他の街とは変わらない


「ちゃちゃ ばにら ちょこ とりあえず 沢山買い物しよう」


3人は微笑み こくりと頷く

赤竜山の盗賊を倒し お金はたっぷり手に入れたからね

街の問題は街の人達の問題 俺達には関係ないよね

俺の問題はフローラとアディールの2人をどう守るのかだけなんだよなぁ


洋服を見て回ったり

美味しそうな食べ物はとりあえず味見だね

美味しければ他の客に迷惑が掛からない程度で買占めだ



買い物を楽しんでいると


「おい 小僧 その亜人を俺に売ってくれ」


いきなり 声を掛けられたが 無視して進む

まあ よくあることだからね

いちいち 気にしていられないよ


「待て 無視か 俺が誰だか分かっているのか


知らないよ 無視だ 無視


「ちゃちゃ ばにら ちょこ 走るよ」


俺達は走って その場を離れることにした


んっ 追いかけて来ているのか しつこいなぁ


はぁ~ 仕方ない


「小僧 売れと言っているのが 聞こえないのか」


さっきの貴族と護衛が20人くらい いや さらに こちらに向かってくる護衛らしき人達が・・・


「売るつもりはない 以上」


俺が立ち去ろうとすると


俺達の周りを囲み


「お願いしているのではない 命令しているのだ 1人 1億で買ってやる」


馬鹿なのか たとえ相手が貴族だろうと

俺はこの街の住人でも この国の住人でも無いので従う義務はまったくない


「拒否します 無理に手出しするなら あなたを盗賊として ギルドに訴えますよ

ちゃちゃ ばにら ちょこ 行くよ  魔那よ 力を」


俺はちょこをおんぶして ばにらを抱えて


「飛翔」


飛び越えて 包囲を抜ける 


ちゃちゃも ジャンプして 包囲を抜けてくる


「後悔するぞ」


貴族が叫んでいるが 無視だ


目立ちたくなかったんだけど


う~ん まだ 追いかけてくるよ


「ちゃちゃ いったん 街の外に出よう 追いかけてくるなら 盗賊として倒すからね」


ちゃちゃはコクリと頷き 走ってついてくる




街を出て後ろを振り返ると・・・




俺達を追いかけてくる集団が

さっきの貴族と その護衛が30人くらい いや 50人くらいか

更に 街から次々に出てくるが・・・


「後悔すると言ったはずだぞ」


この貴族は馬鹿なのか 街の近くなので 見ている人も多いのに


「何を後悔するんですか」


「俺が誰だか知らないのか」


「う~ん ちゃちゃ 知ってる」


ちゃちゃは首を振った


「知らないってさ」


すると俺の前に強そうな貴族の護衛が来て


「悪いことは言わん 大人しく その亜人を売ることだな 金を受け取り さっさと立ち去るほうがいいぞ」


「ルールを知らないんですか この記録の玉に記録してますので あなた達は盗賊になりますよ」


「その玉なら破壊すればいい 最後の警告だ どうする」


「はぁ」


結構つよそうな護衛が多そうだから ばにらとちょこにはきついかな


「俺も警告します 盗賊として死にたくない者は

いますぐに ここを離れてください」


俺は大きな声で叫んだ


この馬鹿な貴族や80人くらい集まって来たこの馬鹿の貴族の護衛や家来に対してではない

周りで俺達を見ている人達に聞こえるように叫んだのだ

冒険者も多いが街の守備兵やギルド職員までが遠くから 俺達を助けずに観戦しているからね


貴族が叫んだ


「殺せ~」


仕方ない

馬鹿が多い街なのか ド派手に行くか

ルールを破れば貴族だろうが盗賊と同じだと街の人達全員がわかるように


馬鹿が少しでも減るといいけどね


「ちゃちゃ ばにらとちょこと一緒にじっとしててね」


ちゃちゃは頷き 2人を抱き寄せた


「魔那よ 悪しき力より守りたまえ」


俺を幻影の光が包む


そして


「結界魔法 聖護壁」


ちゃちゃ ばにら ちょこを直系4メートルの光の結界が包んだ


そして


「飛翔」


俺は空高く舞い上がる


「魔那達よ 我の命を糧に力を貸してくれ」


雨雲が空を覆い 稲妻が光を発する


そして


「4大魔法の1つ 天地崩壊」


空が落ちた


「ぎゃあああああああああああああああ」


下からは叫び声が


「ドドドドド ドガドガドドドドガン」


大地が砕ける音が


・・・


砂埃が舞い上がり


空が晴れた時には岩に押しつぶされて80人の馬鹿達は誰も生きていなかった


遠くで見ていた人達は呆然としていたが 騎馬の兵士が1人だけ すぐに街に引き返して行くのが見えた




俺は結界を持ち上げて消す


「ちゃちゃ ばにら ちょこ 大丈夫か」


3人ともこくりと頷いた

後は回収か 派手だけど その分 回収が面倒なんだよな この魔法は

幻影で派手な演出をして 大量の岩と砂を落としただけだけどね

空での滞空時間を延ばすために アイテムボックスから出した岩を蹴って飛び続けることがポイントかな


欠点は 岩の回収が面倒なことと 幻影なので稲妻の音が出ないことかな

俺は大きな岩を次々に持ち上げて収納していった


ついでに潰されて死んだ兵士達も消していく

おっ 貴族のおっさんか んっ おおっ 金持ちだったのか

なんと おっさん1人で24億エンも持っていた

う~ん 多いいと思ったけど よく考えると少ないぞ ちゃちゃとばにらとちょこをたった24億で買えると思っていたのか 馬鹿だな

俺が岩と潰れた人達を回収し終わった時 街から新たに20人の男達がやってきた




「小僧 貴様が俺の息子を殺したのか」


あ~ 馬鹿親の登場ですか


「盗賊の仲間ですか」


「ふざけるな 俺を誰だと思っている」


わかっていますよ ずばり


「盗賊の頭 ボスですね」


「俺は伯爵だぞ」


伯爵って何だったけ ドラキャラ伯爵ってのは聞いたことあるけど・・・


「伯爵が盗賊のボスだったんですね」


「ちょっと 待て 俺はギルドの職員だ」


1人の男が話しに入ってきた


「ギルドも盗賊の仲間だったんですね 記録の玉に記録しているので 他の街のギルドで報告しますね」


「ふざけるな そんなことが出来ると思っているのか」


「それがルールですよ 人の奴隷を奪う行為は誰であろうと許されないのは常識ですよ あなた達も盗賊の仲間なんでしょ ちゃんと記録してますから」


「死人に口無しって言葉を知らないのか そんなもの壊されたら意味がないだろ」


俺の魔法の報告を聞いていないのか それとも こいつも 馬鹿なのか


「う~ん あなた達が盗賊として死ぬのに この玉を壊すなんて出来ないでしょ

全員に告げます 俺は盗賊としてあなた達を倒します 盗賊でないものは いますぐに離れてください 容赦はしません

そして 他の街のギルドで盗賊のあなた達の死体を渡します」


「ちょっと 待ってくれ 何の話だ 俺はギルドから派遣されてきたんだ 伯爵様の息子が悪党に殺されたと」


「言ったとおりですよ その伯爵とやらが盗賊のボスです 記録の玉にこのボスの息子の言動が記録されていますよ

あなたが盗賊の仲間でないなら 下がっていてください」


強そうな男が剣を抜いて前に出てきた


「面白い 小僧 俺に勝つつもりなのか そのレベルで」


「最終警告です 今から戦闘になります 盗賊でないなら下がってください 盗賊と一緒にいれば あなた達を盗賊として一緒に倒しても 俺の罪にはなりませんよ」


「俺はギルド職員だ ここから 離れる」


そう言って2人のギルドの職員と思われる人が走って距離をとった


「ふん あの2人も死んでもらおう 殺せ」


伯爵と名乗る馬鹿が叫んだ


強そうな男を鑑定すると

ジャック 43歳 レベル81

おおっ そんなに強くなったのに 馬鹿の手下なんて

ジャックが真っ先に俺に向かってくる

しょうがない 本気を出すか


「ぐわっ 貴様 何を」


えっ 俺はまだ何もしてないけど・・・

ジャックは目を押さえる


「ぐっ 」


あっ


ドタっとジャックは倒れた

あ~ 顔に飛苦無が刺さっているよ

ドタ ドタっ 次々に男達は倒れていく

叫び声を上げることさえ出来ずに 次々に

倒れた男達の顔には飛苦無が

ちゃちゃのほうを見るとにっこりと微笑んだ 

さすが ちゃちゃ レベル81を一瞬で

目潰しをされてから 魔法で速さと威力を強化された飛苦無を顔面に食らえば 強さなんて関係ないのかな

残りは伯爵を名乗る馬鹿とその護衛が2人 他は顔に飛苦無が刺さって倒れている

一瞬で ちゃちゃが飛苦無で15人も倒してしまったよ 


「貴様 ゆるさんぞ」


「盗賊が何を言っているんですか」


「俺が言えばなんとでもなる」


やはり馬鹿だな


「死んでも喋れるなんて ゾンビですか」


「くっ ころせ ころせ ガキだぞ ぐっ」


ドサッ


あ~ 残り3人にも顔に飛苦無が

凄いね ちゃちゃは

ちゃちゃ無双で終わってしまったよ


「ちゃちゃ 頑張ったね」


ちゃちゃはにっこり微笑み 抱きついてきた

抱きしめてキスをしていると

離れていたギルド職員が手を上げて近づいてきた


「俺達は関係ないんだ ギルド職員だ 話をさせてくれないか」


「どうぞ」


「一緒に街に戻って報告してくれないか」


「いやですよ 盗賊が住んでいる街なんかに そこに倒れているのも ギルド職員なんでしょ ギルド職員が盗賊の手下の街なんて 他の街のギルドで報告しますよ」


「しかし」


「以上ですよ そう報告してくださいね もちろん 向かってくるなら 相手しますよ」


「せめて 伯爵様の死体だけでも」


「だめですよ 盗賊のボスの死体なんですから 当然 次のギルドに盗賊として突き出します」


「くっ ルールではそうだが しかし 国がどう動くかわからんぞ」


それは嫌だけど・・・ まあ 俺の名前は鑑定して見ることは出来ても 認識阻害でね


「国王も盗賊の仲間なら戦いますよ 倒して隣の国のギルドに持ち込みます 」


「なっ ばかな くっ」


「行くぞ 俺達は見たままを報告する 後は上が判断する」


そういって2人のギルド職員は去っていった

全てを収納していたら おおっ この伯爵って悪党は

552億エン以上持ってるぞ 伯爵って偉いのかな

まあ 俺には関係ないけど



う~ん さすがに目立ってしまったよね もう この街では隠密行動なんて出来ないだろうし 領主だってどう動くのか分からない


考えていると 見覚えのある 可愛い女の子が


アディールが街から俺達の方へ


んっ こんな目立つ場所でいいのか


会えて嬉しいけど・・・




「ありがとうございました」


アディールがいきなり 礼を言ってきた


「えっ 何が それより いいの こんな目立つ場所で 周りで見ている人多いいよ」


「えっ 問題は解決してくれたんですよね」


「え~と 何が」


「伯爵が倒されたと聞いていますが」


「ああ 盗賊として ちゃちゃが討ち取ったよ」


「ですよね 伯爵も その中心となる部下達も 倒してくれたんですよね」


「そうみたいだね」


「街の外に誘き寄せて倒してくれたんですよね」


んっ 何のことだ


話を聞くと 伯爵がこの街の領主であり フローラの父であると

最初の馬鹿な貴族が跡継ぎだったと


・・・


ってことは え~と 問題解決なの


いや さすがに それはないか


俺がここにいるとまずいことになるのかも・・・


う~ん


「とりあえず フローラ様のお屋敷に来ませんか そこで話を」


「いや それだと フローラに迷惑が掛かるかも 俺とフローラは無関係の方がいいと思うよ

それに 頭が潰れても 不正に関わっていた人達の多くは生きているんだろうし」


「そうですが どうしたら」


「後は フローラ達と相談して決めてよ すぐにフローラを呼び戻し 素早く行動したほうがいいと思うよ」


「あなたは どうするんですか」


「う~ん そうだね 俺達はこのまま 次の街に旅立つことにするよ その方がお互いのためにいいと思うよ」


「でも そうだ それなら 我々の仲間の屋敷に滞在されては」


「いや 俺に出来ることなんて 何もないよ 後は街の皆で頑張ってもらわないとね」


アディールが俺の手を握り


「せめて お礼を 私にお礼をさせてください」


「是非 お願いします」


うっ 思わず 即答してしまったよ 可愛いアディールのお礼を断れるなんて出来ないよね


街に戻るのはまずいので 記録の玉の記録だけをアディールの持つ記録の玉にコピーして 俺達は北に少し進んだところにテントを張ることにした





テントを張り 稽古をしながら 待っていると


見覚えのある騎士達がやって来た

フローラの仲間の騎士達だ 

そして 馬車から


おっ 可愛い


メイドが5人 馬車から降りてきた


「アディール様はもうしばらく 掛かるそうなので 先に 食事をしていて欲しいそうです

食事はこちらで 用意しましたので」


「じゃあ 俺がテーブルと椅子を出すから その上に置いてよ」


食べながら 待つことにしたのだが メイドさんが話しかけてきた


鑑定すると シャーリン 18歳 レベル1

金髪のツインテールの女の子 胸がとても大きい


「お嬢様 そして 姉が大変お世話になりました 是非 お礼をさせてください」


「是非 お願いします」


もちろん 即答だよね  んっ 姉って誰だ



俺とシャーリーンはテントの中で話をすることにした







へぇ~ アディールの妹なんだ


ふっふっ 似てませんか


う~ん アディールは凛々しい感じだからね


それに・・・


ふっふっ それに何ですか


確認してもいい


ふっふっ いいですよ


おれはシャーリーンを抱きしめ


おおっ これは


ふっふっ あなたのことはお姉ちゃんから聞いてますよ


何て言ってた


トンでもなく 女好きって言ってました


その通りだけどね


ふっふっ でも あのお姉ちゃんが 顔を真っ赤にして あなたに助けられた時のことを嬉しそうに話してましたよ


へぇ~


本当にありがとうございました


シャーリーンはそう言って 俺の手を持ち


俺の手を・・・


大きい


シャーリーンは微笑み


俺にキスを


そして


・・・


俺は確認作業に取り掛かった


・・・











なっ シャーリーン 何を


あっ お姉ちゃん ふっふっ お姉ちゃんを助けてくれたお礼をね


なっ


アディール 街の方はいいのか


ええ それより え~と


アディールもおいで


で 出来たら 2人で


ふっふっ じゃあ 私は他のテントで寝ますね

お姉ちゃんを助けてくれてありがとうございました


そう言って 微笑み シャーリーンは出て行った


あ ありがとうございました


俺はアディールを抱きしめて


キスを


あっ お礼をさせて欲しい 何でも言ってくれ


えっ 何でも・・・


う~ん


・・・


じゃあ これを着て


これは・・・


それは騎馬民族の衣装だよ


・・・




似合っているかな


うん とても可愛いよ


これがお礼になるのか


うん 十分に


女性のボディーラインを強調しているところや美しい細やかな刺繍の服


華やかさと活発さを兼ね備えた服だから

騎士のアディールにぴったりだよ


これは本当に騎馬民族の衣装なのか


そうだよ まあ アレンジされているけどね 可愛いよ


ちらりと見える生脚が魅力的だよね

スリッドが深めに入ったこの服はやはり素晴らしい


アディールが俺の上に


そして 微笑み


俺にキスを


そして


・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る