第72話 竜の巫女08



「起きて」


「ふぁ~ぁ んっ おはよう ミーユ」


「んっ あっ おはよう ミーユ」


俺がミーユに挨拶すると

ティアもミーユに挨拶をした

俺に抱きついて寝ていた ティアも今起きたようだ


「う~ん ティア いい」


「うん」


ムギュ


「こらっ うんじゃない 大変なの」


あれっ デジャブか いやいや


「何があったの 魔物」


「違う 犬の獣人よ」


「なっ デジャブ」


俺はティアを降ろして立ち上がり 急いで外に


ばにらとちょこと話をしている獣人が……


獣人が1人だけ


誰も襲われていないようだが……


「ばにら ちょこ 大丈夫か」


ばにらとちょこはコクりと頷く


そして 獣人も俺に頭を下げてきた


えっ え~と どういう状況だ


「ちゃちゃ みんな 無事だよね」


ちゃちゃはコクりと頷く


ならいいが……


何しに来たんだ


……


ばにらとちょこが俺の方へ


俺の所に来て


俺と獣人を指差し


そして ばにらとちょこが殴り合うポーズをとった


えっ え~と


もしかして


戦えってことかな……


「俺と獣人が戦うのかな」


ばにらとちょこはコクりと頷く


あ~ そうなんだ で 何でだ

殺しあいでは 無さそうだけど……


獣人からも殺気を感じないし

どこか落ち着いていて 敵意はなさそうだ

しかし 武器を持っていないといっても

すぐに アイテムボックスから取り出せるんだよね



「ちゃちゃは どう思う」


ちゃちゃはコクりと頷いた


えっ それって 戦えってことかな


他の女性達は 興味深そうに見ているが


なぜ 戦うのか……

ちゃちゃ ばにら ちょこ が反対しないなんて

う~ん

危険なら絶対に反対してくれるはずだよね

この獣人は信用出来ないけど……

ちゃちゃ ばにら ちょこを信じるか

はぁ~ 俺は強い敵とは戦いたくないんだけどね


はぁ~


仕方ない


俺は獣人の方に進み


「じゃあ やりましょうか 武器も防具も無しってことでいいんですよね」


俺はそう言った後に


「収納」


って言って ローブとマントを消した


獣人は鎧を着ているからね

さあ どうする


すると 獣人は鎧を外し収納した


よし 俺の幻影のローブとマントは元々防御力0だからね

装備無しなら 元々装備出来ない俺が有利な条件

神が作った英雄の体

更にバーサク王の玉で強化されている

負けるはずがない

……よね


俺が前に出ると 獣人は俺の前に来て 頭を下げた


おっ 試合前の礼かな それなら俺も


獣人を真似して 俺も頭を下げた


ばにらが俺達の所に来て 手を前に伸ばし


俺と獣人を見た後 手を上げた


え~と 開始ってことでいいよね


ばにらは すぐに走って離れて行った


獣人は構えたが動かない


じゃあ 行きますか


俺は後ろに飛び 距離をとる


そして 走って獣人に近づき


ジャンプ キィ~ック


相手の身長は2メートルくらいある

俺は145㎝しかない

まあ これでも半年で4㎝伸びたんだけどね

殴り合いだと 手が短い 俺が不利になる

俺の攻撃力は高いが 当たらなければ意味がない



獣人は俺の蹴りを手をクロスさせて受ける

が 受けきれずに 後ろに3歩ほど下がる


俺は着地して すぐに後ろへ飛び 再び距離をとる


俺はすぐにまた走って獣人に近づき


飛ばずに体勢を低くし 接近


ジャンプして 獣人の顎目掛けて 頭突き


よし


獣人に直撃


が 獣人は体をひねり


「ぐっ」


俺に蹴りを


俺は吹き飛ばされたが


すぐに立ち上がり 獣人目掛けて走る


獣人はまだ 体勢をとれていない


俺は獣人の目の前で左に飛び 


獣人の足に蹴りを


そして 踏み込んで 右手で正拳突き


左手で突き 右足で蹴りを


どうだ


かなり効いてると思ったが


「げはっ」


獣人は 上から振り下ろすような突きを俺の顔に


「ぐはっ」


更に蹴りまで


俺は吹き飛ばされて倒れる


くそぉ


俺はすぐに立ち上がり 後ろに飛び


獣人目掛けて走る


……



俺の攻撃が5回に対して


獣人の攻撃は2回


攻撃を何度繰り返す


俺は無敵だから 何度攻撃させても効かないんだ


痛いけど


物凄く痛いけど


痛みをこらえて声に出さなければ


無敵


……に見えるはず



俺の拳が獣人に


獣人の拳が俺に


俺の蹴りが獣人に


獣人の蹴りが俺に


……


何度も何度も


……



獣人を見ると……


何だか 嬉しそうな顔……


満足している顔なのか……


……


マゾ


う~ん


無敵の俺とは違って 獣人の体はアザだらけ


そろそろ とどめだ


「ジャーーンプ  キィーーック」


獣人は吹き飛ぶ


が……


何だ これは


俺は危険を感じて 後ろに飛ぶ


こいつは


こいつはあの時の獣人


今まで 殺気が無かったので気づかなかったが……


俺の額からは汗が……


しかし 獣人の表情を見ると敵意はないような……


殺気ではないのか


獣人の体から力がみなぎっているような


危険を感じるこの力 どこかで……


……


あっ そうか ちゃちゃが剣で岩を斬っていた時に


ということは 剣技 じゃなくて 拳技か


つまり あれだな


必殺技ってことかな


魔法じゃなくて 体力を消費するなら……


俺にも


よし


行くぞ


「目覚めよ 俺の力 はああああああ」


……


……


って 無理か


どうやるんだ


獣人の拳から危険を感じる 力を感じる


飛び込めば きっと……


獣人が前に出る


俺は後ろに飛んで また距離をとる


体の力を一点に集中するのか


何となく 温かくなってきたような


獣人がしびれをきらして 走ってくる


ええい ぶっつけ本番だ


俺も獣人目掛けて走る


そして接近し


いや……勝てない いや 大丈夫 俺なら出来る


力をこめる


左足に力を集中し


力を込めた左足で地面を蹴り 右へ飛ぶ


今までにない速さが生まれ


獣人の拳は 俺を捕らえることが出来ずに


空を切る



右足に力を 力を込めた右足で地面を蹴る


ジャンプからの


左足に力をこめて


ジャーーンプ


「キィーーーーーーーーック」


獣人に直撃して 吹き飛ばした


よし 手応えあり


うっ あれっ


立ちくらみが……



その時 ちょこが獣人の所に走って近づき

獣人の前で立ち止まる

倒れている獣人に背中を向けて 俺の方を向き

両手を広げた


俺がこれ以上 獣人に攻撃しないように

獣人のために 止めたと見えるように


さすが ちょこ


ばにらも俺の前に走って来て

俺の前に立ち 両手を広げた


「ちょこ ばにら 終わりってことでいいよね」


ちょことばにらはコクりと頷く


「じゃあ 引き分けってことでいいね」


俺がそう言うと


ちょこもばにらも にっこり微笑み頷いた



ふぅ~


疲れた


自動回復の指輪があるので 痛みは残ってないけど

戦いを続けていたら……


「ばにら ちょこ その獣人に このB級ポーションを飲んでもらって 3人で食事をして 帰ってもらってね」


ばにらとちょこは微笑み コクりと頷いた


俺はばにらにB級ポーションを渡しテントの中へ




そして ベットに倒れこんだ


疲れた~


で 結局 何だったんだよ まったく


自動回復の指輪を見ると


はぁ~ 今のよく分からない戦いで

3950万も使ったってことか


B級ポーションをすぐに アイテムボックスから

取り出して 指輪に補助した


……


眠い


眠るか


目を瞑り


……



寝ようとしたが


ティアが横に寝そべってきた


大丈夫


う~ん 無理


ふっふっ じゃあ 私が


……



えっ


テントの中に獣人が


その横に ばにらとちょこも……


獣人は勝手に入って来たのに びっくりしているよ


ティアは気にせずに


……


う~ん 無視でいいよね


そのまま


……



獣人はすぐに出て行った



ばにらとちょこは見学するようだ


……

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