第66話 竜の巫女02



「大丈夫ですか」


俺は道に倒れていた女性に話しかけた


「うっ」


やばそうだね


俺はハイリーに降りてもらい

女性を抱き起こした


「飲んで下さい 元気になりますよ」


俺はB級ポーションを女性の口に


しかし 女性は意識が朦朧としていて

飲んでくれない

俺は 迷わず ポーションを口に含み

口移しで女性に


柔らかい唇


一滴でも多く飲んでもらうために


その柔らかい唇に ずっと


……


ずっと


……


「パシッ」


ハイリーが俺の頭を叩き


「いつまで キスしてんのよ」


呆れた口調で言ってきた


失礼な


「ポーションがこぼれないようにね」


「絶対に違うでしょ まったく」


その時 女性がぴくりと動き


「ここは えっ あなたは」


「こんにちは 大丈夫ですか」


「えっ ええ なんとも」


「そう よかった でも無理はダメだよ

君は倒れていたんだからね」


「そういえば じゃあ どうして」


「ああ 今 B級ポーション飲んでもらったから

体力は回復していると思うよ」


「えっ 上級ポーション すみません すみません」


「大丈夫ですよ 俺達は優秀な冒険者

俺達にとっては 大したものじゃないですから」


「すみません 本当にすみません お礼出来る物が何も 本当にすみません」


女性は何度も必死に謝ってくる

まあ B級ポーションは1つ50万エンするからね

この女性の格好をみると 手が出る物じゃないよね


「大丈夫ですよ それより 何かあったんですか

俺でよければ 俺達でよければ力になりますよ」


「しかし」


「大丈夫ですよ」


「私は竜の巫女様の村から来ました

田畑が枯れてしまい 食べ物が底をつき

農業で生計を立てていた村なので……

そこで 冒険者様に村に来てもらい

狩りの仕方等を指導していただこうと街のギルドに」


「う~ん お金はあるの 冒険者もただでは無理だよ」


どう見ても お金を持っているようには見えないけど……やつれているし 服はぼろぼろだし


「私を奴隷として買ってもらって そのお金で」


買いたい じゃなくて


「ダメだよ 自分を大事にしないと 奴隷がどういうものなのか 本当に分かって言ってるの」


女性は涙を流しながら


「これしか 村を救うためには 他に方法が」


「あるよ もっと いい方法がね」


「えっ」


「ハイリー ごめん 送るのはここまででいいかなぁ」


「もう その子が可愛いからでしょ」


「そんなことじゃないよ 人助けは大事だろ」


「もし 男性だったら 好みの女性じゃなかったら 助けたの」


「う~ん そんな難しい質問されても」


「どこがよ まったく 街の宿で最後にって思っていたのに」


「おおっ 俺も気持ちは一緒だよ じゃあ ここで ねぇ」


「ええっ って ここで」


俺は道外れに 大きなテントを出し

横には風呂 回りには陣幕を出した


女性を鑑定すると


ミーユ 15歳 レベル1


「ちゃちゃ ミーユと一緒に食事をして

風呂に一緒に入ってね 着替えはこれを」


ちゃちゃはコクりと頷いた


「ばにらとちょこは食事が終わったら 稽古ね

陣幕の内側で声を出して素振り」


ばにらとちょこはコクりと頷いた



「ハイリー」


俺はハイリーをお姫様抱っこしてテントへ




まったく 本当にここで 街の近くで人も多く通るのに


だめなのかな


そんなはずないでしょ まったく 英雄様は人助けしないとね 可愛い女性限定みたいだけどね


ハイリーより可愛い女性はいないけど

少しは世の中のためにね


そうよね 英雄だもんね

もしかして 百英雄って全て あなたなの


違うみたいだよ 3人の百英雄と旅する人もいるからね


そうなんだ う~ん もし 本当に 私が百英雄と旅をするなら 強くならないといけないよね


何度も言ったように レベル上げより稽古が大事だからね


そうね これからも 毎日続けるね


俺はハイリーを抱きしめ


ハイリーも俺を


キスを


そして


……







ねぇ


うん


俺達は


何度も


なんども


……

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