第65話 竜の巫女01



「ちゃちゃ 休憩が終わったら 九尾狐に乗ってみたいんだけど 頼んでもらっていいかな」


ちゃちゃはコクりと頷き 子狐達に向かって話しかけた


おっ もしかして ちゃちゃは 子狐達と会話が出来るのかな 

それとも 子狐達が獣族語を理解出来るのか



子狐達は1ヶ所に集まり 子狐達の体からは それぞれ違う色の光を出し そして 9つの光が 1つになった


おおっ これが合体か


そこには 普通サイズの狐が 九尾の狐がいた


え~と そうだよね


体格20㎝の子狐が9匹合わさっても

そんなに大きくならないよね


鑑定して見ると 確かに 九尾狐になっていた


「ちゃちゃ これに乗るの」


と俺が言うと ちゃちゃが九尾狐に話しかけた


すると


うわぁっ


九尾狐の体は大きくなり

体格は2メートルくらいに

頭の高さを入れると更に高い


すぐに 九尾狐はしゃがんで乗りやすくしてくれた


皆が乗り


俺も


わぁっ


……


なんで


俺が背中に乗ろうとしたら


九尾狐は立ち上がり


俺に威嚇してきた


に 睨んでいるのか


まあ 飛び乗ればいいんだけどね


俺はジャンプして背中に


って こら


九尾狐が素早く動き かわされてしまった


え~と


俺って 嫌われているのか


「ちゃちゃ」


俺がちゃちゃに訪ねると

ちゃちゃは首を横に振る


えっ どういう意味 乗せてくれないのか


ハイリーが


「ふっふっ この子は君に似ているようね」


何それ どういうことだ


「俺に似てるって」


ハイリーがちゃちゃに


「この子も女好きで 男嫌いなの」


って聞くと ちゃちゃはコクりと頷いた


えっ それだけの理由で


まあ 気持ちはよくわかるけど……


もしかして


師匠が こんな 凄い指輪をくれたのは……


師匠の言うことを聞かなかったからでは……


師匠が使えなかったから…… 


いらないから……


それなら 物凄く納得が出来るよね


はぁ まったく



俺は走るのが苦にならないし

女性を守ってくれるなら これでいいかもね

どうせ 男を仲間にするつもりは無いしね


俺は全力で走ったが 九尾狐は余裕で付いてくる

くそぉ 本当に俺より速いのか




俺達は全力で2時間走って進み

休憩

それを繰り返しながら進む

バテた人は九尾狐に乗って休憩


戦いにおいて 一番大事なのは逃げ足だからね

どんなに強くなっても

1対2で挟まれたら

相手が雑魚2人でも敗けてしまう可能性が高い

後ろに目が無いからね


基本は戦わないこと

戦うなら 遠距離攻撃で倒す

どうしても 接近戦をするなら

1対1の状況を作る

素早く倒し 次の相手に備える

もしくは 走って距離を取る


俺は皆に何度も言って聞かせる

ハイリーは1人で複数人相手に立ち回った方が

カッコいいのにって 愚痴ってたけどね




「今日は ここまでにしよう」


「ここからなら たぶん 明日には街に」


「ハイリー じゃあ 今夜は ずっと一緒だね」


「うん ちゃちゃちゃん達には悪いけどね」



夜はいつものように子狐達に見張りをお願いした

いつも寝ているように見えるけど……

ちゃちゃ達のことは守ってくれるだろう

まあ 俺のことは守ってもらえないだろうけどね

誰かと一緒に寝ていれば

ついでに守ってくれるだろう

たぶん……だといいなぁ




今夜は沢山お話ししたいなぁ


じゃあ 先に ねぇ


ちょっと待ってよ 先にお礼を言わせて あっ


俺は構わずに


キスを


そして


……








いつまでも 一緒にいたいなぁ


俺達の旅は危険な旅だからね


それでも


ハイリーには使命があるんだろ


そうね 私には私の使命 君には君の使命


命を大事にね


うん 最後に あっ


……








「ふぁ~ おはよう ハイリー」


「おはよう 結局 あまり話出来なかったわね」


「じゃあ 次に会った時に ゆっくりね」


「ふっふっ 次に会っても 絶対に 話出来ないでしょ」


「そりゃそうだね じゃあ 街まで 俺がおんぶして走るから 話をしよう」




移動中ハイリーはずっと しゃべっり続けていた


俺はゆっくり走り ハイリーの話をただ聞き続けた


ハイリーは話終わると俺を強く抱きしめ


そして 声を出して泣き出した


俺はハイリーに


声を掛けようとしたが


……


あっ


う~ん


おっ 可愛い


道に倒れている女性がいたので

覗き込むと可愛い女性だった

うつぶせで倒れていて

汚れた服 元々古い服なのか穴が開いている

体は 痩せているというより やつれている


「可愛いから助けるんでしょ」


「困って そうだからだよ」


「本当かしら」


「うっ 巫女様 ごめんなさい 竜の巫女様」


倒れていて女性が呟いた



巫女……可愛いのかな?

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