第60話 クンクン



朝一から出発


予定だったが 少し寝坊


少しだよ


獣人に追いつかれたら危険だからね


俺達はオルキデの街を出発し

東北東にある パンセの街に向かうことにした

パンセの街までは歩いて22日の距離だそうだ

俺達なら走って進めば4~5日で着くだろう



げっ あれは


街を出てすぐに


5人の獣人が見えた


この危険な感じは


覚えてるよ


「みんな 走るよ」


俺達は すぐに走り出した


獣人達も走って追ってくる


街の近くなので 回りには人が沢山いるが


やはり 俺達を追ってくる


しかし なぜ 俺達の居場所が


速度を上げないと追いつかれるか


「ばにら 俺の背中に ちょこは疲れたら

ばにらと交代するからね 速度を上げるよ」


普通なら ちょこより獣人達の方が足が早いだろうが 今は獣人達は装備をしているので 何も装備していない ちょこの方が早いだろう


俺はドスドスと走って行く


獣人達が少しでも走りにくいように

後ろに岩を出しながら走る


まあ 他の人からすると大迷惑だよね

ごめんよ 誰か片付けてね


おっ


運がいい


前方に盗賊だ


「ちゃちゃ ちょこ 盗賊がいるけど

倒さないようにね」


獣人達は追いかけて来るが


近くにいた冒険者達が捕まえようと向かっていく


盗賊達も足止めくらいには なるだろう


それにしても 獣人達は何をしに って


やっぱり ばにらとちょこを取り返しにだよね


「ちょこ 俺達を見張っている奴がいると思うか」


ちょこは首を横に振った


「奴等が来たのは偶然か」


ちょこは首を横に振った


え~と やはり 偶然じゃないのか

見張りもいない なら なぜ

ばにら ちょこ もちろん ちゃちゃも

疑う必要はない

う~ん


「ばにら ちょこ 奴等が来た理由が分かるか」


2人とも鼻を指差した


えっ 犬だから


単純な


そんな ことなのか


うわぁ~ すぐに分かりそうだよね


そんなの当たり前だろって


う~


気付いてなかったのは 俺だけかぁ~


はぁ~


犬だから持久力が高くて追跡が得意なのか


後ろを振り向くと 前回同様 大混乱している


獣人 冒険者 盗賊 入り乱れて戦闘中


よし 今の内に 逃げきるぞ


げっ


1人だけ抜け出して向かってくる獣人が


「ちゃちゃ 速度を上げるよ」


俺は ちょこを抱っこして 全力前進


獣人も頑張ってついて来てるか


しかし 差は縮まらない


いや 開かないのか


なかなか 頑張るね


う~ん ちゃちゃも問題なさそうか


このまま 持久力勝負か


おっ あれは冒険者か


前方に6人組の冒険者がいたが……


くっ


どうする


足止めになってもらうか


いや ダメだ


5人は男だが……


1人は可愛い女性なのだ


くそぉ 運が悪い


「ちゃちゃ ばにら ちょこ 先に 3人で東へ」


3人はコクりと頷き走って行く


「すみません こちらに 獣人が来ます

危険だから逃げてください」


「おおっ まじか 俺達は運がいいぞ」


「よし やりますか」


おいおい 何 盛り上がっている

男どもは どうなっても いいが う~ん

女性の仲間なら見捨てたら可哀想だよね


「危険ですよ 無理しないで 逃げたほうが」


「俺達を鑑定してレベルを見てみろ 俺達はC級だぞ」


あ~ だから 逃げろって言ってるんだが……

女性だけでも


「本当に危険なんですよ 一緒に逃げませんか」


「ふっふっ 怖いのね じゃあ お姉さんが守ってあげるよ」


「お願いします」


違う そうじゃない


即答してしまったが


どうする


考えていると


女性はにっこり微笑み


「大丈夫よ」


って優しく言ってくれた


可愛い


って そんな場合じゃないけど

鑑定すると ハイリー 24歳 レベル62


「ねぇ みんな 私は この子を守るから戦わないでいいでしょ」


ハイリーはそう言いながら俺を抱きしめてくれた


「ああ 構わねぇよ 行くぞ」


「おおぅ」


5人の男達は獣人に向かって行った



俺はハイリーを抱きしめた


キスを


……


しようとしたら


「こらっ」


って 笑いながら言われたよ


そんな場合じゃないか

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