第28話 ちゃちゃにおねだり



パタトの街まで6日の距離と言っていたので今日中に着くだろう

ちゃちゃは俺の背中でぐっすり寝ている

今日も朝の稽古で疲れ果ててしまった

これで5日連続だ

魔法使いではないのに何故なんだろうか

う~ん


何とか日が沈む前にパタトの街にたどり着くことができたが……あっ 10エンしかない

結局 スライム1匹をちゃちゃが倒しただけだった スライムをここで売っても合わせて60エン

とても足りない う~ん このまま北に……


俺が悩んでいると

ちゃちゃがお金を俺に渡してきた ちゃちゃのお小遣いの1000万エンだ 何でも買っていいと言っていたが ちゃちゃは俺から離れて自分のお金を一切使わないからなぁ だといっても借りるのはなぁ~


ちゃちゃはにっこり微笑み ちゃちゃのほっぺを指差した

おっ 可愛い ほっぺにキスすれば 貸してくれるのか 

それは 俺得だが


ここは甘えて借りることにした ちゃちゃのほっぺにキスすると ちゃちゃは嬉しそうな顔で微笑んだ 可愛い 天使だね

ちゃちゃの頭をそっと撫でた 後で10倍にして返さないとね


入街税を払ってパタトの街に入った

まずは獣族狩りの情報だな 真っ直ぐにギルドに行き獣族狩りの情報を聞く


「運が良かったな 今回は大規模に行うぞ 冒険者の参加人数も過去最高になるだろうよ」


どういうことなのか聞くと

国境付近の5つの街が同時に犬の獣族狩りを行うそうだ 更に国の兵士200人が各街の犬の獣族狩りに参加する サポートとして100人が国境を越えて撹乱する

合計で1500人の兵が動員されるそうだ

そのため 犬の獣族狩りに参加する冒険者も増えて既に500人以上の登録があるそうだ

他の街でも同様に集まっているので4000~5000人が参加することになるそうだ


凄いな しかし そんな規模で一緒に行動するとお目当ての犬の亜人が奪い合いになりそうだよね う~ん 参加すると確実に成功しそうだけど……

参加すると……俺が入手出来る確率は低くなりそうだよね この人達よりも早く行く方が……後の方が安全か……

しばらく考えたけど……答えが出なかった う~ん

俺はもう少し考えてから決めることにした


出発は2日後だそうだ

こんな機会はないぞと言われたので理由を聞くと

ここ最近 何度も成果がなかったそうだ 

それで奴隷商人達が貴族に働きかけて国として獣族被害を減らす目的で軍を動かしたそうだ

実は軍が動いた理由は他にもあると教えてくれた

隣の国 ブランシュ王国では猫の獣族が街を襲い 軍が派遣されたが返り討ちにあったと

犬の獣族もこのままでは 人に脅威を感じなくなり攻めて来るかも知れない 今回 大規模に攻めることで人の恐ろしさを知らし示すという目的もあると教えてくれた

う~ん 大丈夫かな 女性や子供は避難してたみたいだけど……


犬の獣族について聞くと

獣族の中で一番数が多いいそうだ

分かっているのは この街から獣族の領域に入り 北に15日くらい進むと犬の獣族の大きな街があるそうだ

数年前にそこで 2人の亜人の女の子を見た人がいるらしい 捕まえることは出来なかったそうだが

今回の獣族狩りでは その街を目指して進むことになっているそうだ


おっ お目当ての亜人が2人も どちらかが可愛い女の子だったらいいけど 行く価値はあるな

しかし どうやって う~ん


個人で入ることは出来ないのか聞くと

出来るが普通に考えて無謀だと

しかし今回は5つの場所で大規模に獣族狩りをするので チャンスはあるかもなと言われた

もし本当に個人で行くなら パタトの羅針盤を借りた方がいいと進めてくれた

何処にいてもパタトの街を示し何日の距離なのかが大まかだが分かるそうだ

レンタルは50日で5万エンで保証金は100万エンだそうだ

これがあれば……

俺は1日考えますと言ってギルド出た

借りた方がいいだろうが……お金がないんだよね ちゃちゃに借りるか はぁ~情けないよね


街は賑わっていた 多くの冒険者に兵士達 沢山の臨時の店が並び 色んな物を売っている

宿に行ったが満室で 他の宿も多分満室ですよと言われた 仕方ないのでお金を払い風呂だけ入らせてもらった もちろん ちゃちゃに借りてね キスをお願いされるので お得でいいんだけどね


食事くらいは街でと思い見て回ったがどこも満席だった

あ~ せっかく街に着いたのに これじゃあ意味ないよな~


ちゃちゃと手をつなぎ とぼとぼと歩いていると女性に声を掛けられた


「どうですか うちの店で食事でも ねぇ いいでしょ」


俺の手を引っ張りながら話してきた


「もちろんだよ 君の家でも お店でも どこでもついていくよ」


2人で呼び込みをしていた女性について行くことにした

クレス 15歳 レベル1 黒髪で青い綺麗な瞳 腰まである長い髪 真面目そうな女の子

イネス 15歳 レベル1 茶褐色の髪と瞳 髪はポニーテールにしている 明るくて活発そうな女の子

2人とも可愛い 俺はイネスに手を引かれて 裏道を進み 小さなお店に入った

お客は誰もいないけど……


「俺達だけなの」


俺が聞くとイネスが頭をポリポリとかきながら 気まずそうに


「ここは裏通りで人が少ないんだよね 近くに他に店がないしね 店を開けて待っていたんだけど 誰も来ないから 呼び込みに行ったところに」


「おっ 俺って運がいいね こんな可愛い子がいる店を貸し切りに出来るなんて」


「そうよ じゃんじゃん頼んでよ クレスの料理は何でも美味しいのよ」


「おっ 楽しみだね じゃあ 味が好みだったら 作れるだけ作ってもらおうかな アイテムボックスがあるので いつでも食べられるしね」


「やったね クレスの料理を食べたら 絶対に気に入るよ」


「それじゃあ 店を閉めて 俺達だけのために作ってよ」


「お金は~」


「この子が持っているよ 俺はそのね え~と こう見えても冒険者なんだよ 俺達は強いからね」


「まあ~ 強いのかな~ でもお金は持ってそうだよね」


「ははっ 先払いでもいいよ」


料理が次々に運ばれてきたが どれも美味しい 可愛い子が作っているので更に美味しく感じるね

ちゃちゃも美味しそうに食べているので 無理のない範囲で 出来るだけ作ってとお願いした

俺達が今日この街に着たばかりで宿も取れなかったと言うと

じゃあ ここに泊まりなよ とイネスが言ってくれたので 

もちろん 即答でお願いした

作り置きの料理も全て買って 会計はお皿代を合わせて30万エンになった


「ちゃちゃ お願い」


ちゃちゃは頷き 目を閉じた

どこで覚えたんだろ 可愛いけど

俺は そっと ちゃちゃにキスをした


会計が思ったより高かったらしく クレスとイネスが本当にいいのと言ってきたので もちろんと言い 明日も貸し切りにして 俺達のために作って貰うことになった


クレスは明日の下ごしらえ イネスとちゃちゃは後片付け 俺はテーブルとイスを収納してベットを出して就寝の準備

その後 3人でしばらく話していると ちゃちゃが眠ってしまったので 場所を変えて3人で話を続けた

話はイネスが中心だが クレスはよく笑って笑顔が可愛い

イネスがトイレに行ったので俺はクレスと先に寝ることにした


「私でいいの」


「最初からクレスを狙っていたんだ」


……

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