第16話 デーモンブリード番外編カルチョ壊滅 後編
「ありえねえ、どう見てもヴィランの態度じゃねえ」
ヴィラン組織、カルチョのアジトに殴り込んだデーモンブリードは呆れていた。
「ずいぶんご機嫌だな、スマイリー?」
同行したキャプテン・ロープワークも呆れていた。
「はいはい♪ 僕、降参しま~す♪」
金髪メガネ美形デブのスマイリーは、白いガウン姿であっさりと両手を上げた。
地下の闇カジノの奥に乗り込んでみたら、敵のボスがガウン姿でコーラとポップコーンでくつろいでいたらあなたはどうしますか?
「ヒュ~♪ キャップとデーモンブリードが来てくれるなんて感激だよ♪」
唖然としているヒーローに対して、スマイリーはご機嫌だった。
「降参するんだな? 大人しく捕縛されると?」
キャプテン・ロープワークが、無から荒縄を生み出した。
「ああ、降参する♪ 刑務所で罪を償うから暴力は止めてくれ、弁護士も呼ぶよ」
アメリカ人らしく人権を主張し、ヒーローに攻撃をさせないスマイリー。
「残念だったなスマイリー、お前を裁くのはアメリカじゃないヘルグリム帝国だ」
デーモンブリードが闇の触手を出してスマイリーを縛り上げる。
「待て! どういう事だ! 私はアメリカ人だぞっ! キャップ、助けてくれ!」
スマイリーが予想していない事態に焦って、キャプテン・ロープワークに助けを求める。
「スマイリー、大統領権限の超法規的措置と合衆国とヘルグリム帝国の犯罪者引き渡し条約により、お前をデーモンブリードに引き渡す」
パグのような瞳で自分を見つめるスマイリーに、キャプテン・ロープワークは憐みの視線を送った。
「お前の財産はすべてアメリカ政府に没収される、悪魔が社会戦に弱いと思ったのがお前の間違いだ。 すでに根は回っていたんだよ、さあ、帝国へご招待だ!」
虚空にゲートを開き、縛り上げたスマイリーを放り込むデーモンブリード。
そして、放り込まれたスマイリーは待ち構えていた人狼達に取り押さえられる。
「弁護士を呼んでくれ! 公平な司法による裁判を求める!」
泣き叫ぶスマイリー。
「黙れ、裁判なら受けさせてやる! 立て!」
人狼達に引っ立てられて運ばれたスマイリー、裁判で彼に下された判決は
モンスター化による従属刑であった。
スロットマシーンと一緒に、何かが煮えたぎる巨大な鍋に放り込まれたスマイリーは煮えたぎる鍋の中でスロットマシーンと混ざり合い生まれ変わった。
「止めて、叩いてもコインは出ないから叩かないで! 設定6なのに出ないのはあんたの運がないだけだって!」
胴体がスロットマシーンになっている全身金色のゴーレム型人造生命族に改造されたスマイリーが荒っぽい半魚人の男性客に腹を叩かれる。
荒っぽい半魚人の男性客は「俺の運は悪くねえ!」と叫び、愚痴をこぼして去って行った。
悪の組織カルチョの長スマイリー、刑を受けた彼はヘルグリム帝国の場末の国立遊技場の従業員兼ゲーム機として残りの一生を過ごしたという。
ジャスティシャンズタワーに戻って来たデーモンブリード。
「これで、少しは街も綺麗になるだろうありがとう」
シルバーメタルことロバートと握手を交わすデーモンブリード。
「暴れられてすっきりしたぜ、また遊びに来い山羊頭♪」
ジ・アンガーも笑顔でサムズアップしてくる。
「ところで、大統領の息子のスキャンダルを流したなロバート?」
キャプテン・ロープワークがニュースを見て睨む。
議会では大統領の息子の不祥事が叩かれていた。
「仕方ないだろう? 街の修理費を国に出させるためだ」
ロバートがやれやれと手を横に広げる。
アメリカのヒーロー達のやり取りを、面倒くさそうに眺めたデーモンブリード。
「そちらの政府の事はそちらに任せるよ、またいつか」
こうして、落とし前をつけたデーモンブリードは帰国した。
この後、アメリカでひと悶着が起きるのは別のお話となる。
帰国した進太郎を、四人の妻達が寝室へとかっさらった事は割愛する。
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