第11話 対ナポリ女学院 その2
ステージに上がったリベロとカロリーブースター、試合開始のゴングと共に両者
が同時にぶつかり合う!
サッカー少女のリベロは風を纏い、高速で回転しながら小さな竜巻となって突進!
対するカロリーブースターは「点火っ!」と叫び、全身にブースターを展開し
炎を纏った人間ロケットとなってリベロの竜巻を突き破りに挑む!
点と面、火を吹き突っ込むロケットと緑の竜巻の力比べが始まった。
「どっちも必殺技を開幕ぶっぱかよ! けど、カロリーブースターの突進を止めてるってあの子凄いな」
リベロに感心するドラゴンブリード、友の勝利を祈ってはいるが相手もさる者。
竜巻とロケットの対決が止んだ、双方違いに退き距離を取る。
「燃料使い過ぎて、くらくらする」
「気合入れて、回り過ぎた~~っ!」
開幕のぶつかり合いは引き分けとなった。
「まずいなこのカード、持久戦だとカロリーブースターが不利だぞ?」
レンズは不安だった、カロリーブースターは文字通りカロリーを燃料にして戦う男なので戦闘中でも燃料補給の食事が欠かせなかった。
「……あ! このままブースターを噴かし続けたら、空腹で負けちまう!」
ドラゴンブリードも気づく、カロリーブースターの相手がピッツァヨーラであれば
弱点の燃費を気にせず戦えるがリベロ相手では燃料切れで負ける!
このカード、実に相性の悪い組み合わせだった。
「無理すんな、逃げて燃料補給しながら戦え!」友へアドバイスの声をかけるドラゴンブリード。
互いに持ち直し、低血糖になりかけたカロリーブースターが素早くベルトポーチからブドウ糖の飴を口に放り込む!
リベロはその間だまって待っていたわけではない、彼女も足に風を集めてチャンスを狙っていた。
「行くよ~♪ トルナ~~~~~ドっ♪」
リベロの蹴りから放たれた竜巻に、カロリーブースターが巻き上げられる!
「やられるかよ、噴射っ!」
空中へ打ち上げられたカロリーブースター、全身から炎を噴き出して姿勢を制御し
何を思ったかリベロへ向けて自由落下する。
「チャンスだね、ゴールは貰ったよ♪」
リベロが飛び上がりオーバーヘッドキックを放った瞬間、カロリーブースターがその足をキャッチ! 残るカロリーをすべて燃やしてリベロを場外へとブン投げた!
足を掴まれ投げられたリベロ、風を操る間もなく場外へと落下しカロリーブースターもまた場外へと落ち両者ともに場外となった。
リベロが目を回しながらダウン、カロリーブースターもダウンしている。
「この場合、どうなるんだ?」
ドラゴンブリードが呟いた後にアナウンスが流れる。
「ただいまの勝負、ドロー!」
まさかのドロー判定となった。
試合が終わったので両チーム、どちらも倒れた選手を運びに上がる。
「リベロったら、仕方ないですわね♪」
「まったくよ、この目立ちたがりわ」
ピッツァヨーラとジェッソが、リベロを担いでステージから降りる。
「……まずい、カロリー使い切って気絶してる! ブドウ糖を点滴しないと! レンズはスタッフ呼んでくれ!」
カロリーブースターを担ぎ上げてくるドラゴンブリード、点滴とストレッチャーを用意してきたスタッフに親友を預ける。
「レンズは付添いをよろしく、点滴が終わったら飯を食わせてやってくれ」
「ああ、任せておいてくれ。 バーガーを山ほど買わねばならないが」
と、レンズとのやり取りを終えてカロリーブースターの事はレンズとスタッフに
任せ試合には自分が出る用意をする。
第二ラウンド:ピッツァヨーラVSドラゴンブリード
対戦者が表示されてステージに立つ2人、試合開始のゴングが鳴ったっ!
虚空から角型のピザパドルを取り出して構える、ピッツァヨーラ。
「行きますわ、お覚悟を!」
パドルの先に燃え盛るピザを生み出し投げつける!
「悪いけど、ピザなら後でいただくよっ!」
ドラゴンブリード、冷気を纏わせた手でピザを掴み冷凍ピザに変え氷の台を作って置く。
敵の攻撃を避けるでも受け流すでもない、ドラゴンブリードの奇行とも言える行動にピッツァヨーラの動きが一瞬止った。
「戦闘中に何をしているんですか、あなたは!」
今度はパドルの先にチーズを生み出して投げつける、ピッツァヨーラ!
投げつけられたチーズが形を変え、網となってドラゴンブリードを襲う!
「悪いがこいつは防がせてもらう!」
口から冷凍ブレスを吐いてチーズを凍らせ落として防ぐドラゴンブリード、そしてピッツァヨーラへと突進する!
ドラゴンブリードをパドルで殴りにかかるピッツァヨーラ、その打撃を伏せて掻い潜り床に手を突き逆立ち!
「ドラゴンシュタイナー!」
相手が腕を戻してパドルを振り直す前に首を両足で挟みフランケンシュタイナーで無理矢理投げ飛ばした!
投げ飛ばされたピッツァヨーラは、場外の芝生に落ちてダウン。
ドラゴンブリードが一勝をもぎ取った。
「何とか勝ったぜ、まずは1勝だ!」
スタッフに医務室へ運ばれるピッツァヨーラと入れ違いに戻って来たレンズと交代し休む事にするドラゴンブリードの耳に、自分達にとって本日最後の試合の対戦者が表示された。
第三ラウンド:ジェッソVSレンズ
ピッツァヨーラの生み出したピザやチーズが冷気と共に消え、ステージに立つ2人
画家風の眼鏡っ子とアメコミ風眼鏡っ子の対決となった。
ステージの素材を使い、石膏のゴーレム達を生み出しレンズを襲わせるジェッソ。
眼鏡型の装備から、ビームを連射してゴーレムを破壊して対抗するレンズ。
「ああっ! 撃っても、撃ってもキリがないっ!」
レンズの言葉どおり石膏ゴーレムは、破壊しても残骸からまた生み出されては襲ってくるわジェッソ本体を狙おうとすれば壁になる厄介な相手だった。
「ステージが石材なのは私にとって幸運だわ、だって素材が使い放題だものっ!」
ジェッソが、勝利を得たと思い眼鏡を光らせる。
破壊しても再生されるゴーレム、破壊と再生という言葉からレンズは逆転の方法を閃いた。
「私としたことが、壊すから駄目なんだ! 壊しても再生されるなら壊さないで止めればいい!」
冷静になったレンズ、青い冷凍光線を放ち石膏ゴーレム達を凍りつかせる!
レンズがニュートラルで得た力、それは自分の目や眼鏡等レンズとなる物から感情により熱、電撃、冷凍、破壊の4つの光線を使い分けて発射する能力。
威力は感情、距離は視力で調整できると優れた力だが弱点はターゲットが視認できないと意味がない。
レンズの攻撃により動かせる兵がいなくなったジェッソ、「こうなったら!」
と腕をギプスの様に石膏で覆い白兵戦の覚悟を決めるが「悪いけど、白兵戦には付き合えないわ!」
レンズが発射した電撃の光線を、凍結された石膏ゴーレムが邪魔で避けられず
浴びてしまいジェッソは感電して気を失った。
「二勝一分けで、力華学園の勝利ですっ!」
アナウンサーの声と同時にジャッジが下り、力華学園の勝利が決まった。
両校、医務室から戻って来た選手を加え互いに一礼。
「次は負けないよ♪」とリベロが言えば「今度は勝つぜ」とカロリーブースターが返して握手。
「今度は、普通にあんたのピザを食べさせてもらいたいね」
ドラゴンブリードの言葉にピッツァヨーラも「ええ、いつかご馳走させていただきます」と返した。
「最初から白兵戦で来られていたら、危なかったわ」
ジェッソに手を差し出すレンズ、対してジェッソは「そうね、次は白兵戦で挑ませてもらうわ♪」とその手を握る。
こうして、二回戦へと進んだ力華学園チーム。
次の相手は、鳥取代表のヒーロー実業に決まった。
だが、ヴィラン達の魔の手が少しずつ迫っている事にまだヒーロー達は気づいていなかった。
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