クスッと! 秒で笑える短編集

如月風斗

お持ち帰りの選択

 あるファーストフード店にて。


 何人かの学生のお客がニヤニヤしながらレジに並んでいた。


 そこのレジを担当していた新人アルバイトは嫌な予感がしていた。

 この店では「微笑みください」という注文が流行っている。きっとあの学生達も欲しがっているのだ。俺の微笑みを。


 いよいよその学生たちがレジへやってきた。

 そして恥ずかしそうに言う。


「すいません、微笑みください!」


 やっぱりだ。まだやったことが無いしこんなの恥ずかしくてできるわけがない。


 困っていると隣の先輩がこちらへ来てくれた。俺の代わりに微笑みを渡すのだろうか。なんだか申し訳ない。


 「お持ち帰りですか?」


 真顔で注文を受ける先輩を見た学生たちは何も言わずに逃げ去っていった。

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