第8話幸福

 早速テントを張ったり、うっふきゃははしようと思ったけど、めちゃくちゃテキパキ動くティファの邪魔にならないよう、俺は主に隅っこで三角座りするのが仕事だった…



 鎧を脱いで、動き易い服になったティファの姿を見ながら、昔を振り返っていた。

 ……いやらしい事じゃないよ?


 そういや、俺は生まれてからキャンプなんか一度も体験したこと無かったんだ。

 それが、人生初体験の相手が超絶美少女……いや、もう美女って歳かな?

 を、相手にするんだ。

 しかも、向こうは俺を「ご主人様♡」と慕ってくれているわけだから、さらに素晴らしいよね!

 ん?…多少、言葉を端折ったり若干の誇張は含んだが、概ね間違ってないよ?…ね。




「ご主人様、お待たせしました。」


 そんなしょうもない事を考えていると、いつの間にかテントは完成していた。

 俺はティファにお礼を言って中に入る。



 ……おっ!おっふ…

 ティファさん!お布団一つしかありませんよ?これは添い寝パティーンでしょうか⁉︎

 い、いい〜んでしょうかぁ⁉︎



「ご主人様はこちらをお使い下さい。私は警戒をしながら外で仮眠しますので。何かあればお呼びください。」

 …あかんのか〜い!!



 いやいやいやいや、ティファさん、あーた分かって無いよ。男心が!

 それじゃ意味がねーよ!


 確かに、何も出来ない身体だとしても、美女の添い寝付きと無しとでは、雲泥の差だよ!

 天国と地獄だよ?



 ……何とか、考えを変えてもらう為に良い訳を用意しようとする無様な俺。


「安心したまえティファ君。私が警戒用のアイテムを使おうではないか!」

 変な口調で喋る俺に、ティファは首を傾げた。…かわいい。

「しかし、ご主人様の貴重なアイテムは利用を極力控えられているのでは?」


 ぐっ…痛い所を突いてくるな。

 だけど、その程度じゃ俺は負けない!


「ティファが大変な思いをする位なら、それくらいは大した消費にはならないよ。」

「……お、お心遣い…感謝致します。」

 深くお辞儀をするティファに、少し心が痛んだ。

 しょーもないスケベ心で言った俺の言葉に、こんなに感謝してくれるなんて…


 …いや、この感謝は本当にするべきだな。



 俺は心に誓い、スケベ心を腹の中から蹴飛ばした!多分…


「リロードオン!」

 ー虫の知らせー

 ・一定の範囲内に敵意を持った者が入るとアラートが鳴る

 ー身隠しの布ー

 ・周りの景色に同化する


 俺はアイテムを使用して、ティファを安心させるように心掛ける。


「これ位で大丈夫かな?まぁ、警戒内に敵が来たら、その時はティファにお願いするな?」

「お任せ下さい。ご主人様には指一本触れさせません!」

「はぁ、俺がLVを上げられれば、装備を変更できるから【漆黒の双剣】だった時の物が使えるんだけど…」

「…やはり、呪い…なんでしょうか?」


 俺は両手を上げて、分からないポーズをした。

 まぁ、下半身が役に立たないのは呪いか分からないけど、LVの件は間違いないだろうとら思っている。

 無駄に不安を持たせる必要は無いからな。


 このアイテムボックスには当然、俺の装備一式も入っていたんだけど、適正LVが高過ぎて今の俺には装備不可ばかりだった。

 呪いについては、教会でも俺の持ってるアイテムでも解除出来なかったし……


 どっかで条件を聞き出さないと、おちおち1人で夜のお店に遊びにも行けないじゃないか!




 俺はその後、布団を少し広げて布団で寝るようティファに言って見た。

「い、いえ!ご主人様と同じ高さで寝る等…で、できません!」と、だいぶ拒否られた。

 …俺ほんとに嫌われてない…よな?


 同じ高さて…メリッサなんて、俺の寝室で馬乗りしてくるけどな!



 結局、一緒に寝る事にはなったんだけど、微妙な距離があって、当然何も出来ない。

 その距離は、俺のバカな甘い思惑通りには、何も進まないことを虚しく示していたんだ。


 …

 ……そして、ふて寝した。




 ーー翌朝


 どうやら、夜の襲撃や夜這いは無かったようで、和やかに目が覚めた……ら、

 俺はティファを抱き枕にしていて、何を思ったのか、彼女の巨乳を鷲掴みにしていた…


 ティファは起きているのだろうが、目を硬く瞑って硬直している。

 俺も意識が一気に覚醒し、冷や汗が噴き出す。

 なっ、何かイイワケヲ……



 違う、違うんだ…これは事故なんだ!

 ほっほんとに違うんです、やってないんです!お巡りさん!


 回らない頭で現実逃避をしていると、

「おはようございます。ご主人様」

 痺れを切らしたティファが、寝転んだまま挨拶して来た。


 ……いまだっ!!好機!



「…ん〜?ん?うわぁっ!…ティファごめん!ワ、ワザとじゃ無いんだ……」

 ワザとらしく今気付きましたの程で、驚いて胸から手を離す。

「い…いえ、私のようにただ大きいだけの胸ではご主人様のご趣味には当て嵌まらないと、存じておりますので…」





 ……え?



 ………………うぅえぇぇぇ⁉︎



 何それ……

 そ、そんな事考えていたのか……


「あのさぁ、俺は最初から今まで、ずっ〜とティファの事を完璧美女だと思ってるし、大ファンなんですけど?」


「⁉︎………………はぃ」

 あ、しもた。

 メリッサの調教慣れしてて、麻痺してたけど、相手は清純派のティファだった…


 くそっ、昔の俺なら、あんなクサイセリフ死んでも言わんのに!あの痴女のせいで感覚が麻痺して来ているぞ…

 うっ。ち、沈黙が痛い……



 何か意を決した顔をして、こちらを向くティファ。

「……で、…では、……どうぞ」

 顔を真っ赤にして、何故か胸を主張して揉んでくれと言わんばかりのポーズを取りだす。


 ……その未曾有の光景を見て俺は何だか可笑しくなってきた。



「くっ…ぷふっ…あはははっ」

「…?」

「はははっ…あ〜ごめんごめん、ティファがそんな無理する必要無いからさ、今まで通りで大丈夫!…いや、もう少しデレてもらっても良いんだけど……」

「…デレ?でしょうか?」

 俺は、ふるふると頭でを振る。


「いや、俺がティファを好きなのは変わりないけど、別に無理して合わせなくて大丈夫って事だよ。」

「メリッサはあいつが楽しんでベタベタしてくるだけだし、レアに至っては未だに何考えてんのか分かんないしな…」


「レアのような可愛い子の方が良いのでも無い…と?」

 俺をロリ○ン扱いしてくるティファに苦笑いする。

 …もちろんロリ様もどんと来いだけどな!


 まだ頭にハテナマークが付いていたのだ、俺はもちろん2人共大好きだけど、別に付き合ってるとか、独占し合うのとは違うんだよ、と何とか説明して理解してもらった。



 ……なんかティファとキャンプに来れて良かった。

 おかげで、怖くて聞けなかった考えなんかも分かったから、これからはもっと大っぴらにセク○ラし放題だね☆




 まぁ、そんな騒ぎがあったけど、俺のこの旅の主目的は達成されていない。

 ティファに作ってもらった昼飯を食べながら湖を睨む。

 透明度が高そうな透き通った水だ。


 ……これに入ったら、本当に変化が起こるのだろうか。


 飯を食い終わった俺は、覚悟を決める。

 これで何も起こらないのはショックだなぁ、せっかくティファとの関係も良くなったのに……と下卑た考えを抑え服を脱ぎ、パンツ一丁になる。



 残念ながら、ティファは警戒で一緒に入ってはくれないらしい…

 皆も残念だよね?ね?



 とにかく、行ってみるか!と、俺は思いっきり湖に飛び込んだ!

 …そういや、湖にモンスター居たら、俺死ぬんぢゃ……


 一瞬そんな考えがよぎったが、モンスターなんて現れず、スイスイ泳いだ。



 …


 ……


 …………



 ん〜

 やっぱり反応無いなぁ…エ○イ事を考えてもダメそうなので、諦めて出るかと思って淵に泳いでいると、湖が光出し……水の中から人影が現れた⁉︎

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