課金ガチャアイテムだけで生き抜く!異世界生活‼︎
@nekomasshigura007
第1話
2015年12月…
俺は暗い部屋の中で、必死にカーソルを動かし、キーボードのF2を連打する。
ショートカットに登録したアイテム達が消費されていくが、俺は全く気にしない。
アイテムなら腐る程あるんだから…
「ついにこの世界も終わりか…」
呟いて寂しさが押し寄せる。
でも、俺が最後を決める事が出来る。
と言う、その一点だけは
俺は、俺を誇ってやりたいです‼︎泣
周りで一緒に戦うNPC達に、「おまいらもご苦労様だったぞ!」と、チャットを打ってもみても…当然返事は無い。
…わかってる。
……わかってるさ!
どーせ、現実世界同様、俺は負け組。
お一人様だよ。
俺が輝いていたのは、小ニの秋までだった…
運動会の前日練習で、武田が言った一言。
…そう
「お前デブいな!」
この一言で、俺の人生はオワタ…
翌日から俺のアダ名は「デブ」で定着し、目立たないようにしていても、何かと絡まれるようになった。
…何とか中学に上がっても、周りの人間に絡まれる事を避ける為、俺はさらに内向的になり…また太った!
そう、そして…
そして、ついたアダ名が!
「エアデブ」
……だった……
エアジョー○ンみたいに言ってんじゃねーよ!
くそっ…
…くそっ。
それでも、通信で高卒の資格を得た俺は…
…どうしたと思う?
引きこもり?
ノンノン!
工場で週6勤務さ!
…もちろん、工場内でも一言も喋らんがな。
そして、そこで稼いだ金はエ○ゲとネトゲの廃課金生活に消えて行った…
特にハマった、今プレイしている、
AAOアースアートオンラインと呼ばれている、このゲームは5年位続けたし、
【漆黒の双剣】
とか呼ばれて有名だった…楽しかったんだ。
ゲーム性だって、動くのはベタなポリゴンだったけど、キャラの詳細画面では、顔のグラフィックや装備してる服装なんかの姿も見れた。
ジョブと呼ばれるキャラの特性を分ける種類も15種あり、組み合わせ次第では色々な性能のキャラを作成可能だったし、魔法やスキルもジョブによって習得できる物が違ったりして、wikiと睨めっこしながらルートを決めたもんだ。
もちろんオンラインゲームだから、他の人間プレイヤーとも絡みが…少しだけどあったし、クエストや狩りでパーティを組む事も…少しはあった!
ただ、この一年位で…プレイヤー数は減る一方だった。
そして…ついに、運営が暴走した!
それは…
最後のボスを倒したら終了!
…だ。
まだ、その頃は猛者プレイヤーもいたから、我こそわ!と挑む者も確かに多かった…
だけど…誰もなし得なかった。
…無理ゲーと言われ、何人が「クソ運営爆発し…」なんて罵声を叫びながら辞めていった事か…
…あの頃のワールドチャットはヤバかったね。
…だけど
……だけど、俺は挑んだ!挑み続けた‼︎
何度も死んで、傾向と対策を練り、装備を揃え、必要な仲間キャラを作成し…そう。
このゲームは、自分でNPCと呼ばれる、自動で動く仲間を作れたんだ!
だから、基本ソロプレイの俺でも楽しく遊べた…
だけどそれも…ついに、ついに今…
終わりの時を告げようとしている。
俺が…俺が、このゲームの終止符を打つんだ!
ちくしょう、涙でマウスが滑るぜ。
…もうボスのHPは、残っているのかすら分からないくらいしか無い。
あぁー、このゲームに幾ら突っ込んだかなぁ…
500マソは逝ってるよなぁ…はぁ〜
…カチカチ
……カチカチカチカチ…カチッ!
ついに…最後の一撃が決まる。
「うぉぉぉおお!」
と、ボスが無駄に叫び声を上げて消えていく。
…虚しい。
はぁ…ただ虚しい。
PCディスプレイの画面上部には、アナウンスが流れ始める。
ーー皆様にお知らせですーー
ーー只今、当ゲームの最終ボス グランドラゴンが討伐されましたーー
ーー大変、残念ではありますがーー
ーー当ゲームは、今の時間を持ちましてーー
ーー終了となります。ーー
ーー長らくのご愛顧、ありがとうございましたーー
ワールドチャット上を埋め尽くす罵詈雑言と、運営からの、人をおちょくってるとしか思えないメッセージが響き渡り、一つの歴史が終わりを迎える…
……終わった。
明日から、どのゲームに無駄金を突っ込めば良いと言うのか…
そう思い、ログアウトされるであろう画面を見つめ続けていると…
突然チャットウィンドウにログが流れ出した!
「我を倒せし者よ…貴様の望み、一つ叶えてやろう!」
運営じゃない?…俺のチャットにだけか?
メッセージは赤色の文字……って事は、敵?
近くの敵って…さっきのグランドドラゴン⁈
多少、演出に驚きはしたけど、俺は鼻で笑いながら、チャットを返す。
「じゃあ、俺をゲームの世界に転生させて、ハーレム無双させてくれ!」
となっ。
…はっ!何が望みだよ、本当に趣味が悪い。
「…よかろう、だが、叶える望みは一つだけ。貴様をこの世界に転生させようぞ!」
「…はっ?」
返信があった事に驚いて、もう一度、画面を見直した瞬間…ディスプレイがフラッシュした!
…
……
そう思ったら…見たことないような、あるような、遺跡のような場所に一人で座っていた。
「えっ?あらなにコレ……?どっきり……」
しょうもない事を言っても、何も返ってこない。
どーせ、いつもと変わらない、当たり前の日常…
いつもと同じ朝が…って、んな訳あるかっ!
い、いやいや…
ここはさっき戦ってた遺跡でしょ?そうでしょパパん⁈
と、という事は?
…そうゆう事かぁ⁉︎
「てこたぁー、マジで転生ライフ楽しめんのかー!!」
おぉ!キタ、キタキターぁあ!
ふぁいとーいーっぱーつ!
しかもこの声、この体!この感じは、小学生暗いに…いや違う、位にまで戻ってるのか?
俺は自分の身体を見ながら考える。
…この展開だと、今までを悔い改めて真人間になって良い事したり、凄いチートな力が溢れて無双しまくりとか?
鈍感主人になって、エロハプニング乱発しまくりとかぁ⁈
…いや、
……いやいや、
いや、落ち着け俺!
これはチャンス、本当にチャンスだ。
俺だって、ステキな青春送りたかった!
クジで、俺の席の隣は罰ゲーム!とか、そんな扱い受けるとか、もう嫌なんだ!
だから…だから、やってみても良いのかな?
やり直し。
…転生人生ってやつを!
…俺は決意する。
今までの俺は死んだ。
そしてこれからは【漆黒の双剣】として生きるんだ!
大丈夫、ゲームの知識は死ぬ程あるから、すぐにカンストしてチート使いになれる!
そして夢のハーレム……
いや、焦るのは良くない。
……まずは、少しだけ真人間になる努力から始めてみるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます