怪奇調査部活動録!

凍夜

第1話 夢ケ丘調査部にして霊媒師の朝霧楓始動

 とある県にある私立夢ケ丘高等学園。そこは幽霊がでる事で

有名だ。

 そんなところには普通生徒はこないが、この県に高校が

ここしかない事から、生徒は減る事がなく、十年前程に

新しい校舎も建てられ、新旧の校舎がある。


 そして、その学園の裏には大きな石碑がある。下の町からも

見える程の大きさで、それが霊現象をひき越しているのでは

とも言われている。

 そんな夢ケ丘は少し前まではその現象は落ち着いていたのだが

最近になってまた現象が起き始めた。


 それに頭を悩ませている先生達の所に吉報が入った。それは

今年の新入生に町の有名な神社、朝霧神社の息子である

朝霧楓(あさぎりかえで)が入って来るのだ。

 彼は本物の霊媒師で、普段からそういう服を着ていて

しかも刀を持っている。


 町から正式な霊媒師として認められ、これまでも学園以外での

現象も解決していて、彼は町の有名人であった。


 四月半ば。新入生も落ち着いてくる頃、その朝霧はある部屋に

居た。

 そこには怪奇調査部という看板があり、部室となっていた。


 その部屋に朝霧は古いソファーの上で横になっていた。少し

すると朝霧に声をかけてくる人?がやってきた。


「楓、調査しなくていいの?」

「・・・」

「楓起きなさい」


 そう言っているのは女子生徒の制服を着ていて長い赤い

髪をしている女の子、結奈だ。

 実は彼女は本物の幽霊である。最初は校内で悪さを

していたが、朝霧と対立し、負けてから朝霧に惚れて

今では朝霧に付きまとっている。


「何も起きてないのに起こすな!」

「痛い。起きなくてもやる事はあるでしょう」

「ない。調査部だが、実査は何か起きてからじゃないと

動けん。それからでも遅くはないからな」


 そんな風に言っていると部室に誰かがやってきた。


「楓君!来て!体育館が」

「ほら来たよ楓」

「しかたない行くか」


 楓はその体育館に向かった。すでに廊下にも霊が現れていて

それらを払いながら向かう。

 そして、中に入るとそこには宙に浮いている遊具が飛び交って

いて、生徒達は逃げ回っている。


「ああ、この程度か。まったく、これぐらいはいつもの事だろ」

「そうだけど、これじゃ練習にならないの。お願い」

「わかったよ」


 そう言って楓は刀を抜いた。その刀を大きく振り下ろした。


「残!!」


 振り下ろした刀から衝撃破が放たれ、その遊具が床に落ちていく。


 館内が静寂になった。


「終わったぞ、じゃぁな」

「もう終わっちゃったの?もっと楓が戦ってるとこ見たかったのに」

「そんな面倒な事はしない。お前みたいなのがでない限りな」


 その場を出た楓。楓はクールな性格だ。容姿も良く、モテる

タイプだが、神社の息子のわりには少しめんどくさがりな

所もあった。

 それでも、楓の力は本物なので、皆は楓を頼りに来る。


 部室に戻った楓は鞄を持ち、帰ろうとする。


「もう帰るの?」

「ああ。家の仕事もあるからな」

「なんだかんだで真面目だね。そこも好きよ」

「それはどうも。じゃぁな」


 部室を出て帰る楓。結奈はいわば学校霊で、外には

出れない。楓がなんとかすれば出れるがそれは

自分が疲れるからしないと楓は言っている。

 家に戻り、神社の境内などを掃除する。今はわけあって

一人暮らしをしているので、家の事も全部自分でやっている。


 仕事が終わり、自由な時間になる。楓は本堂で刀の修行を

する。今でも十分強いのだが、楓にはこれが日常に

なっていた。


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怪奇調査部活動録! 凍夜 @megumix01

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