【物語のテーマは何でしょうか? 裏テーマはあるでしょうか?】
表のテーマは、ずばり「女子二人の強い関係を描く」です。
正面切った百合物を書きたかったので、これを書かねばなんにもなりますまい。
裏のテーマは、「魔法少女物の王道を描く」でした。
百合はともかく、娼館やらヤクザやら根性悪なキャラクターやら大虐殺やらなんやらがえげつない要素がてんこ盛りになだけに、ちゃんと魔法少女が出てくる意義や意味のある物語にするという点に関しては勝手に強い使命感を感じて向き合っておりました。
私は魔法少女というジャンルが異常に好きで、気を抜くとすぐに魔法少女ものを書いてしまうようなところがあります。
それだけに、「憧れの魔法使いになったと思ってたけど、実はなんか異世界とか宇宙からやってきたタチの悪い連中に騙されていただけでした。ろくでもない小動物に騙された結果、かわいい恰好でえげつないデスゲームに参加する羽目になってしまいました」という2010年代に主流になったような魔法少女モノの型の先をめざしたいという気持ちを抱いていたのですよ。
もっというと「もういいよ……妖精に純粋な気持ちをもてあそばれていたブラック労働を強いられた可哀そうな魔法少女の話はアレとかソレとかあるからもうたくさんじゃよ……。それはそれで趣があるから書きたい方がいるのもわかるけども、私が書きたいのは違う型なんじゃよ……」「どうせならブラック労働を強いる妖精にスト起こして賃上げ要求するような魔法少女の話が出てきたらよいのに」みたいな気持ちが沸き上がってぶつけた結果が本作にありありと出ているわけです。
魔法少女が出てくる意義や意味というとあれですが、やはり奇跡を起こすというのがそれにあたるのではないかと。
たとえそれが儚く無力だと思い知らされることはあっても決して絶望することはなく、奇跡を信じて奇跡を起こし、人々を悪夢から救うというようなそういう存在であるのが魔法少女ではないか。ただかわいい女の子達で魔法バトルをしたいというだけなら、何も魔法少女というモチーフを使う必要ないじゃないか。
とまあ、そのようなめんどくさいことを考えつつ、「魔法の力をなくして変身できなくなった魔法少女が再度変身できるようになる」「敵対する陣営に属する魔法少女とのタイマンバトル」「悪の陣営にいた魔法少女が味方になる」という、女児もの魔法少女や変身ヒロインアニメで私の好きな展開を組み入れて作っておりました。
王道になっているかどうかは分かりませんが、自分としては魔法少女の名に恥じないものは出せたとは思っております。
……えげつないわ、根性が悪いわなキャラクターばかりでてきてますが……(そんなわけで外見こそ異形なのですが、本作ではヒロインが一番魔法少女と呼ばれるにふさわしい人なんですよということで)。
※以下は他作品を巻き込んだネタバレです※
なお、本作に登場する魔法少女たちはアニメなどでよく見る魔法少女の類型を下敷きに設定しています。
誕生順に語りますと、本シリーズ真の主役であり、後に凶状持ちの魔法少女になるアサクラサクラは「普通の女の子がある日突然魔法の力を手に入れた」という80年代からよく見られた現在主流であるタイプの魔法少女(半芸能人なのは魔法少女といえばアイドルに変身していた80年代様式の名残ですね)。
アサクラサクラの妹分であるキリサキキッカは「危機に瀕している自分の国を救うため、あるいは立派な女王になるため人間界にやってきた魔法の国のプリンセス」という70〜80年代によくみた魔法少女。
本作ヒロインのマリア・ガーネットは「普通の女の子がだと思っていたら実は前世が異世界の女王だったり、身内に異世界の高貴な存在がいたりして魔法の力に目覚めざて悪と戦うことになる」という90年代によくみかけたタイプの魔法少女。
本作ラスボスであるシスター・ガブリエル(イブリス・ルキファ)は「敵対する陣営にいたけれど中盤で味方陣営に参加する」という昨今のニチアサでお馴染みなあの枠の魔法少女。
──と、まあそういうことになるわけです。
となると異世界の人造魔法少女であるマルガリタ・アメジストはちょっと毛色の変わったことになりますが、このジャンルにイレギュラー的に現れるサイボーグやアンドロイド、人工生命体系のスーパーパワーを持つ少女(キューティーハニーとかパワーパフガールズ)の末裔であると言い換え可能かもしれません。
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