第8話入学式での再会

「それじゃ整列して」




一人の男が俺の居るこの教室にやって来てそう告げる。


教室に居る生徒達はそれに従う。


並ぶ順番は無いらしい。そう言えば机も出席番号とかじゃ無かったなぁ。


俺は教室から紫音と共に並ぶ。




「よっ廉」


「……何だ、舞か」


「一緒に行こう」


「別に良いけど」




俺は女達に眼を向ける。


何で舞の奴俺の所に来たんだ。


女達と行けば良いのに……まぁ良いか


舞は紫音をじっと見つめてる。


紹介した方が良いか




「えっとこいつは川上舞だ」


「初めまして僕は佐倉紫音、宜しくね」




紫音は戸惑うもしっかりと挨拶をしてくれた。


紫音は優しい奴だ。




「えっと舞さんは……」


「舞で良いよ、私も紫音って呼ぶね」


「うん。分かったよ舞」




どうやら二人共仲良く出来そうだ。




「ところで二人とも異能力何だよね」




紫音の突然の質問に俺は驚く。


今日初めて会うのに何故分かる。


聞いてみるか。俺は紫音に聞いてみることにした。


しかし、俺よりも早く舞が紫音に聞いていた。




「何故……知ってるの?」




舞は少し不安そうに紫音に質問をしているように見える。


紫音は何の迷いも無く答える。




「だってこの学校は能力者毎にクラス分けされているって聞いたから……もしかしたら君達も僕と同じ異能力者だと思ったんだけど……違ったかい」




何だ……そうだったのか。


俺が納得していると舞は話を進める。




「じゃあ、紫音も異能力者なの?」


「うん。そうだよ。僕の異能は氷神の花畑(コールド・ガーデン)。」


「……私は妖魔剣創造(ゴースト・バース)って異能だよ……それで廉は」


「……俺か?俺は炎神の魔武器(レヴァンティン)だ」




俺達が歩きながらの自己紹介及び異能紹介が終わったところで体育館に到着する。


クラス分けの種類としては俺の居る異能力と能力者、魔法、と三クラスに分けられる。




「皆様、入学おめでとうございます」




校長と思われる男の話が始まる。




「廉、廉ってばぁ」


「……何だ」


「何で寝てるのよ」


「はぁ眠っ」




退屈だ。寝るか。




「廉」


「何だよ入学生代表の挨拶だって」




……興味無いなぁ




「何だか廉に似ているね」




何?紫音。俺は生まれてから今まで俺に似た男に出会った事なんて無いぞ。


よし、見てやるよ。


えっと赤い髪……この時点で似てないだろう。


顔は……………




「廉、凄い汗よ」


「えっ」




俺は額に手を当てる。


なんだこの汗の量は……


それにしても何であいつがここに居るんだよ。


昨日、俺を襲って来た奴だ。


夜道と言えどあまりにも似ている。


あいつは間違いなく俺の炎神の魔武器(レヴァンティン)をまた奪いに来るだろう。ここは学校だ。毎日来る場所でもある。逃げるのは難しいだろう。

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