純粋な子へ
タコ君
純粋な子へ
純粋な子へ
君に声をかける時
いつも戸惑うのだ。
僕は口下手だ。
君と、なんとか付き合う所までもって行けたのに喜んでしまって、勝手に僕が一人でヘンな事して結局つまらない奴だと思われてないか心配だ。
君は優しいな。
「今日はなにしましょう?」
答えはせめて君に委ねる。
君は何がしたいの?
答えられてる気がしない。
「今日はアナタの家に行きたいです」
僕は驚いた。
君の口から飛び出した言葉に、
驚きを隠せなかった。
家になんて来てなにをするのか。
「え?する事なんていっぱい有りますよ?」
君は例えば…と続け始めた。
僕は聞いてなかった。
家の部屋は綺麗だったか?
今日は慌てて出て来たから飯も食べてない。
それに…最初に誘うのは自分からにしようと思っていた。
予想外だ。
_____________
「わっ…私の事がす…き…?」
幸せを勝ち取ったと思った瞬間だった。
場所、時間、渡す物、言葉。
幾つもの予行演習と、下調べを終えて。
仕事の後の君にたまたまあったフリをして町のハズレにある海岸で告白をした。
夕日が綺麗で、夕日が顔を照らして。
それ以上に君の顔が妖美で。
でも口下手で、緊張して。
結局言いたいこと全部言い切れなかった。
君は優しかった。
「嬉しい…です」
頬が少し赤く、声が少し震えていた。
手を…握られた。
彼女は、アイドルグループのメンバー
当然だが恋愛感情なんて物は封印するべきなのだ。
彼女が言うには、
普通の女の子みたいにお付き合いして欲しい
と。
だが俺は違った。
アイドルグループに近づける職にわざわざ就いた訳では無いが、叶わぬであろう恋が叶い心は浮き、目の前の出来事を飲み込めずに自分が唖然とした物だ。
だから俺はすべてを尽くした。
出来るだけ華やかに、君が華やぐように…と
_____________
君はいつも普通を選ぶ。
どれだけ華やかで、綺麗で、妖艶な洋服であろうと、高く、度が過ぎると買わない。
ちょっとした柄、無地、露出控えめ。
こんなものばっかりだ。
なにを着ても似合うのだから、もっと自身持って色々着ればいいと思う。
遠慮してる?お金の事は心配しないでね?
そう言っても君は
「私はこれが気に入りました。値段なんて気にしてません」
としか言ってくれない。
美味しいものを食べに行こう
と言うと、
決まってチェーン店か個人経営の店になる。
「美味しいですね?」
君はそれしか言わない。
自分に自信が持てない。
_____________
「へぇ、ここがアナタのおうちですか?」
結局招いてしまった。
まぁ、いいけど。
僕は急いで片付けた。
あまり自分の物を買えなくて、物は無いけど
「なんだかシンプルですね…?」
ごめん、なにも無いんだ。
静かに言った。
君は優しいな?
「でも、お仕事頑張ってるんですよね?」
君のその笑顔で明日も頑張れる
僕は聞いた。
なぜ普通が好きなのか?
君は答えた。
「あこがれ…だからですかね?」
君は必要以上に華やぐ事を嫌う。
控えめな所に惚れたとはいえ、ここまでとは思っていなかったのだ。
僕は白いソファに腰を下ろした。
君は隣に座った。
僕は深呼吸をした。
君はどこか退屈そうな顔をしていた。
僕は慌てて声をかけた。
君は大丈夫、と返した。
君の手を笑顔で引ける日は、
僕に訪れるのだろうか。
無いのかも、知れない。
________________
ジュンスイなコへ
アナタに声をかけるとき
いつも緊張する。
ワタシは口下手だ。
アナタに、なんと告白され付き合う所まで行った事に喜んでしまって、勝手にワタシが一人でヘンな事して結局つまらない奴だと思われてないか心配。
アナタは優しいです。
「君は何がしたいの?」
答えはワタシに委ねられる。
今日は何をしましょうか?
答えられてる気がしない。
「今日はアナタの家に行きたいです」
ワタシは驚いた。
ワタシの口から飛び出した言葉に、
驚きを隠せなかった。
家になんて行って何をするのか。
「え?する事なんていっぱい有りますよ?」
ワタシは例えば…と勝手に続け始めた。
脳は働いてなかった。
今日のセットは綺麗だったか?
今日は慌てて出て来たから何も食べてない。
それに…最初に誘うのはアナタからだろうと思っていた。
想定外だった。
____________
「ぼ…僕と。お付き合い…してクダサイ!!!」
夕日が綺麗で、夕日が顔を照らして。
それ以上にアナタの顔がかっこ良くて。
でも口下手で、緊張して。
結局言いたいこと全部言い切れなかった。
アナタは優しかった。
「はぁ…よかった…」
頬が少し赤く、声が少し震えていた。
手を…握られた。
アナタは、アイドルグループのメンバーであるワタシとは、当然だが恋愛感情なんて物は封印するべきなのだ。
アナタが言うには、
ちゃんと…わきまえてますから。
と。
だがワタシは違った。
なにもオスの子に近づける職にわざわざ就いた訳では無い、けれど叶わぬであろう恋が叶い心は浮き、目の前の出来事を飲み込めずに自分が唖然とした物だ。
できるだけ自然に…
できるだけ普通に…と
______________
ワタシはいつも普通を選ぶ。
どれだけ華やかで、綺麗で、妖艶な洋服であろうと、高く、度が過ぎると買わない。
ちょっとした柄、無地、露出控えめ。
こんなものばっかり。
なにを着ても似合うのだから、もっと自身持って色々着ればいいと言われる。
遠慮してる?お金の事は心配しないでね?
そう言ってもワタシは
「私はこれが気に入りました。値段なんて気にしてません」
と言っている。本心ですし。
美味しいものを食べに行こう
と言うと、
決まってチェーン店か個人経営の店にする。
「美味しいですね?」
ワタシはそう言う。
だって、これが食べたかったから。
_____________
「へぇ、ここがアナタのおうちですか?」
結局招かれてしまった。
まぁ、いいけど。
アナタは急いで片付けた。
あまり、物は無いけど
「なんだかシンプルですね…?」
ごめん、なにも無いんだ。
アナタは静かに言った。
「でも、お仕事頑張ってるんですよね?」
静かにアナタは笑った。
アナタのその笑顔で明日も頑張れる
アナタは聞いた。
なぜ普通が好きなのか?
ワタシは答えた。
「あこがれ…だからですかね?」
アナタは必要以上に華やごうとする。
ワタシには出来ないことに憧れもちょっぴりあったとはいえ、ここまでとは思っていなかったのだ。
アナタは白いソファに腰を下ろした。
ワタシは隣に座った。
アナタは深呼吸をした。
ワタシは少し眠気を感じた。
アナタは慌てて声をかけてきた。
ワタシは大丈夫、と返した。
アナタの手を笑顔で引ける日は、
ワタシに訪れるのだろうか。
無いのかも、知れない。
______________
「…さい?」
「お…て…」
「…起きて下さい?」
ん……?
「もう…お寝坊さんですね?朝ごはんは机の上、今日は6時には帰ります。行ってきます!」
「ん…いってらっしゃい…」
妙な夢だ。
出会った頃の夢だ。
君が家から出て行く。
何故だかそれに、少しだけ恐怖を感じて
背中を追いかけた。
娘を連れた隣の家族も気にせず。
仲良さそうに登校する中学生達も気にせず。
ただ
ただただ追いかけた。
君の手を握りたい。
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