ハルかカナタ

すだれ

プロローグ

※完結済みですが、定期的に載せていきます※


 今日は月が綺麗だ。私の大好きな満月。こういう日は、あの二七年前のお泊まり会の日を思い出す。

「ねえ、私が“そうだ”っていつ頃から気付いてた?」

「……うーん、ついこの前、沙美に高校の入学祝いあげたでしょ? あれあげた時の反応見て、もしかしたらって思ったくらいかな。確信があったわけじゃないけど、そうであって欲しいっていう願望かな」

「そっか。……ねえ、あの後私どうなっちゃったの?」

「死んだよ。……即死だった。そして私は生きてる。沙美に助けられた」

「ううん……助けたのは私じゃない。……私を突き動かしたのは――」

 私は、一人の女の子の人生を終わらせてしまった事に胸が締め付けられ、その子に向ける弔いの言葉が出ない代わりに、ボロボロと涙が溢れ出した。



――――――ハルかカナタ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る