ETERNITY

@SethEs

第1話 ETERNITY

ここは数多の屍、燃え盛る炎、そこから巻き上がる黒煙が立ち込める戦場

俺は最高位の冒険者として、仲間たちとこの場で戦っている

「マズイ!大技が来るぞ!」

「防御態勢を取れ!」

仲間の一人がそう叫ぶ、サポートに回っていた仲間達は一斉に防御魔法やスキルを使用する、俺は前衛がメインのためこの場で有用な力は持っていない

しかし何もしないわけではない、すぐさま持っていた片手剣を構え、次の追撃の準備を行う


敵から放たれたレーザーのような攻撃はサポートが使用した防壁などにあたり大爆発を起こす、これは高魔力と高魔力が衝突を起こした際に起こる現象だ、俺はその爆発の中に敵の影を見つけると、すぐさま追撃を開始する


「おぉぉぉ! 覇斬!」

俺が現状使える最高威力の攻撃を敵にたたきつけてやれば相手もくたばるだろう


そう思ったが故の全力だった、すべてを出し尽くすだけの攻撃

しかしその攻撃で敵が倒れる事は無かった

敵にあたったと思われた攻撃は敵の周りに出現した障壁によって阻害されていたからだ


全力の攻撃を行ったが故に次の行動に出るまでに少しのタイムラグがあった

敵はそれを待つ事は無く、追撃を行ってこようとしていた


「あぁ...こりゃ..死んだか...」


「...!」 「.....!!!!」

遠くから仲間達の声が聞こえてくる、しかし音は拾えてもなんと言っているのかハッキリは聞き取れない、敵の攻撃は俺に既に届いていた、体の大半が吹き飛び、俺の世界は光を失った...










「...」 「...ここは?」

個室にあるベッドに横たわっているようだが、ここがどこだか分からない

近くの窓から外をのぞいたが、やはりここがどこだか分らなかった


「あら?起きた??」

扉を開け入ってきたのは15~17ぐらいの少女だった

少女は俺の看病?をしてくれていたらしい


「ここは...」

「ん?あぁ、ここは私の家だよ~、お兄さん道で倒れてたから運んで看病してたの」

「そう..なのか」

先ほどまで俺がいた場所とは全く異なる雰囲気、そして自分がそんな場所の道で倒れていたという謎、考えれば考える程わからないな...


「あ!自己紹介がまだだったよね!私はアリア・フォーレスト!お兄さんは?」

「俺は...俺は...」

俺は...名前がわからない...急に恐怖が押し寄せてきた、自分は誰だ...?

前の記憶が丸々無いわけじゃない...自分が死ぬと覚悟した瞬間、仲間達の名前

覚えている事も多いのに、なぜか自分の名前が思い出せない


「どうしたの?」

「いや...すまない...記憶が混乱していて...思い出せないんだ.....そうだ、君は」

「アリアって呼んでいいよ!」

「ア..アリアは【フィ・リュシトレーベン】という人物を知っている?」

俺はかつての仲間の名前をアリアに聞いてみた、知っていればその関連する人物の名前を挙げてもらって自分の名前が出れば、その拍子に思い出せると思った

「もちろん知ってるよ!神話の本の出てくる大魔法使いでしょ?」

「神話の本?」

たしかにリュシトは大魔法使いだ、そのとてつもない火力の魔法も何度も見た

だが、それを知る理由が神話の本?おとぎ話的な何かか..?

「アリア...その神話の本の内容を教えてくれないか?」

「いいよ~」

【それは遥か1000年程前のお話、かつて冒険者という者達が存在し、神々や魔族などの存在が近しい存在だった頃、大きな戦争が起きた、その戦争は今では(永劫の終戦)と呼ばれており、その戦いは全ての種族を巻き込んだものだった、冒険者の中でも最高位(神にも届きうる者達)はその戦争を終わらせるために戦った、しかしながら冒険者の一人であり冒険者仲間からは一番信用されていた戦士が敵の攻撃を受け致命傷となったのだ...その者の信頼は絶大で、皆からはこの戦争を永劫に終わらせられる唯一の存在と言われていた、その者が死を迎えようとしているその時、その場にいた最高位の冒険者達は禁忌を犯した...大魔法使いである(フィ・リュシトレーベン)

大賢者である(ニルベルス・カーヴァイン)軍神と呼ばれていた(グリフィス)

その3名は願った【、ウ、ホシヤ、ヒイ貲?フセ、ホチエ、ニ、ホホマ、】その言葉を聞き取れた者はその場の4名のみ、その4人目である人物は突如空を穿ち神々を殺し、地を裂き魔族を殺し

冒険者達人間に勝利を収めた】


「という感じのお話だよ、実際はとてつもなく長いお話なんだけど、その人物といえばここだね」

「アリア、その4人目というのはどういう奴なんだ?」

「4人目の事はあまり詳しく書かれていないんだ...ただこんな大きな戦争を最終的に一人で終わらせたんだから、それだけすごい人だったんだろうね~」

「ありがとう、とてもいい話を聞けた」

「気にしないで! あ、そうだ、料理作ったんだ~食べて!」

アリアは見ず知らずの俺にかなり手厚く歓迎してくれている

「見ず知らずの俺にそこまでしてくれるなんて、アリアは優しんだね...」

「あはは...照れちゃうなぁ~、まぁ私だけじゃなくてお母さんも看病してたりしてたから、私だけってわけじゃないけどね~」

「感謝しないとな」

「あはは  そういえば名前なんて呼べばいいかな?」

「んー...名前が思い出せないからなんとも...」

「じゃぁ!ルゼラ!名前が思い出せるまでルゼラって名乗るといいよ!」

「あ、あぁ...じゃぁそう名乗らせてもらうよ」

俺はアリアに笑顔を向ける

アリアは照れながら扉を開け、個室から出て行った


「まだまだ謎が多いが、少しずつ解いていけばいいだろう、この世界の今がどういう状況なのかも知っておきたいしな」


「ルゼラ!はやくおいでよ~」

アリアが呼んでいる

俺は個室を後にした

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