そうだ、京都へ行こう
そうだ、京都へ行こう…。
せっかく日本へ帰って?来たことだし和を感じられる所へ行こう。
調べてみたら地名は都道府県は少なくとも自分はいた世界の日本と同じだった。
京都へは思えば、修学旅行以来だったか、違う日本とはいえ楽しみだった、新幹線もグリーン車に乗ってやったし手続きも簡単にできた、そういえば自分は魔法の世界から来たので顔立ちがアジア人とは離れているが、「ニホンゴダイジョーブデスヨー」といっておけばだいたい何とかなった。
そして自分は今「奈良」にいる…。
そういえばこの世界は自分の知っている日本では無かった、新幹線は京都ではなく、奈良に駅が存在した、まぁいいや鹿見に行こう。
流石観光地だ、人が多い常にどこかで行列ができていて鹿を見に行くところまで、地図で見る限りでは30分もいらないであろう距離にもかかわらず、2時間以上かかってしまった。
周囲が神社のエリアに入ったと思うといきなり周りの人が家族連れより外国人の方が多くなってきた。
左側には東大寺が見えてくると本当に日本に来たという実感が沸いてくる。
「鹿だー」
とりあえず満足した、あそこまで警戒心の無い野生動物は初めてかもしれない。
近くにちょうど周回観光バスが来ていたので興味本位で乗り込んでみる、途中で乗り込んでも問題なさそうだ。
さっそく乗り込み、乗り込み口から一番近い席が空いていたのでそこに座り外の景色を楽しむ、10分ほどで停車し、近くのバスの窓から見える観光名所付近に停車していき、ゆっくりとした時間を過ごしていた。
それから30分ほど乗り続けていたが客がざわつき始めていた。
「お前たちは運が無かったな、今から人質になってもらう」
運転手の近くにいた男が乗客に向かって宣言する。
「ふざけないで、ワタクシは用事が…」
立ち上がり大声で抗議した女性が銃声で消える、女性は小さく呻き声を上げながら蹲っていた。
「俺らは本気だぜ、コレは警告だ…、次に何か邪魔しようとするなら命は無いと思え、連絡しようとしても無駄だぜ今は電波遮断しているから通報もさせねぇ」
この世界の日本はバスジャックが日常茶飯事なのか!?
いや、そんな事はないと願いたい…、そういえば渡された携帯にはGPSの機能はついているのだろうか、もしそうだとしたら直ぐに異変に気づいて誰かしらくるのだろうか…。
携帯になにか無いか弄っているといきなり腕が撃ちぬかれた。
「……っ、うぅ…」
「やめような」
バスジャックの男は顔を近づけてゆっくりと脅してくる、それを見た他の乗客が電子機器を鞄の中に入れていく。
幸い弾は貫通して右の手のひらに穴が空いた程度だ、この程度なら自分の自然治癒を高める魔法で痛みを軽減できる、発動事態も喋る必要が無いし、この世界に魔力を感知できる人間は少ないだろう、左手で抑えて目を閉じて呼吸を整える。
「さて、とりあえず余計な事はするなよ、弾だって無限にあるわけじゃないんだ」
右手の回復に思いのほか時間がかかりそうだったので、眠る事にした。
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