好みとか聞かれても正直パッとは浮かばない
「あとは…ヒロインかしら」
自分はいつから物語の主人公になったのだろうか…、できれば大きい方がいいなーっと邪な気持ちがよぎるがあまり期待しない方が良いだろうと話し半分で聞き流そうと思う。
「仕事によっては千年とか余裕であるから一人だと何かと潰れちゃうからね、心の支えは必要なもんよ」
確かに、いつまでも一人ぼっちというのはよろしくない。
「それにこっちが用意しておかないと現地妻作って永住して仕事を放棄する人がたまーーーーーに、いるからねぇ」
たしかに突然のバックレはバイトでも大いに迷惑だったな…。
「そんな訳で先にこっちで見繕うという訳」
「お願いします!」
できうる限りイケボで発音する、きっと自分好みの可愛い子なんだろう、オラわくわくすっぞ。
少し移動して狭い個室に案内される、まるで取調室のようだ。
「じゃあなるべく希望に沿うから、どんな子が好み」
「いゃあ普通に可愛い子がいいです」
それを聞いた目の前の彼女は明らかに不機嫌になる。
「はぁ、あのね、普通ってなに?」
「いや、普通は普通では」
「貴方の世界とこの世界は別よ、貴方のいう普通はこちらでの異常かもしれないでしょ」
「いゃ…でも」
「なに、私が女だから本音を言うのが気が引けるの、一応いっておくけど私は元男よ、口調はだいぶ調教されたけど趣味好みはそのまま、男を恋愛対象にすることもないわ、こんな成りをしているけど元とはいえ男だから、気がね無く話してね」
目の前の美少女は元男という転生者にちょっと感動してしまった。
「あぁ、女になっても良い事ってすくないのよね、世界によっても不利な場合が多いし、ある世界では問答無用に奴隷にされかけた事あったわ」
どこか遠くを見る彼女の目は底知れぬ闇が見えたような気がした。
「とにかく、貴方の好みを…言いづらかったらココに書いていく?」
手に持っているバインダーから真っ白な紙を抜き取り目の前に置く。
「じゃあ…」
好み子をイメージしながら特徴を出来る限り書いていく、時折日本語以外の文字を書きそうになるがなんとか抑えて日本語で書いていく。
「あーそっちの日本語はそれかー」
残念っといった言葉聞こえてきそうな声色で用紙お読みながら退出していく。
「あ、暫くしたら出来るから、数日食べ歩きでもして時間を潰すといい」
すぐに戻ってくるなりスマホとクレジットカードが入ったケースを投げられる。
「あまり無駄遣いはするなよ、あとそれは一時的な物だから、後で返してもらうから変に弄らないでね、使い方は…解るよね?」
「大体は…」
彼女は「よろしい」といって今度こそどこかへ行ってしまった。
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