あの女(ヒロイン)絶許。
数野衣千
第1話 はぁ?私悪くなくね?あの女絶許。
私、アリス・キャリル・リウォンダー公爵令嬢。
後1ヶ月後にみんなの前で断罪されて学園を退学になる。
罪状は男爵令嬢マリア・シャル・ウェルシーを虐めただ。
私を断罪するのは、温和でこの国の殆どの人が入ってる宗教ルクセ教の教皇の息子リアン・ノルック。
兄貴肌でフェロモン系剣の腕が立つこの国の騎士団長の息子オスカー・オル・ウィンドル。
私の義弟!義弟義弟!のクール系秀才のルーク・エル・リウォンダー。
そして、そして私の婚約者。こ!ん!や!く!しゃ!の第二王子エドワルド・ウィル・ダルサス!
なんで婚約者に男爵令嬢いじめたことで断罪されなきゃって?
あの女に惚れて、私と婚約破棄して、結婚しようとしてるからだよ!
あの女、マリア・シャル・ウェルシーに!
浮気だよ!!
あっのクソ女、私の婚約者って知っててエド様に近づき、恋仲になり、それどころか私の義弟である公爵家跡取り、教皇の息子、騎士団長の息子、っていうこの国のトップ権力者達の息子達も誑かしハーレム作りやがったんですよ、あのクソ女マリア。
というかなぜあと1ヶ月そんな事(断罪)が起こると知ってるかって?
前世の記憶を思い出したのです。しかもここ乙女ゲームの世界ですよ、前世にやってた。
どんなギャグだよ!
☆
渡り廊下、いつもの様にマリア様の所に向うエドワルド様。
エドワルド様がマリア様を大切に想い、愛している。
それは十分に分かっている。
でも、マリア様は男爵令嬢。
いいえ、そんな事、言い訳だわ……
愛する方に愛され、愛せるマリア様が羨ましい……
愛しているんです、マリア様には他にも恋する方達が居るのです。
私が想うのは彼だけ、だから
いえ、今はエドワルド様を止めなくては。
「エドワルド様!お待ちください!」
「お前か、耳障りだ。声をかけるな!」
「エドワルド様、仮にもわたくしは貴方の婚約者です。そして公爵家の娘です。そんなわたくしを差し置いて、男爵家の娘に入れ上げ、蔑ろにする。少しはご自分の立場を考えて下さいませ。」
エドワルド様の袖をつかみ歩みを阻む。
パシッ!
掴んだ手は勢いよく振り払われた。
「お前には愛想が着きた、これ以上俺の視界にはいるな、マリアは俺が守る……。」
エドワルド様は
アリスはその場にへたりこみ、それを霞む視界でただ、その姿が無くなるまで眺めた。
目が溶けてしまいそう……
溶けて、溶けて、溶けて……
熱い……
苦しい……
気持ち悪い……
あれ?おかしい……
何これ?
熱い!痛い!気持が悪い!
霞む視界の中に黒髪の少女が居た。
山の中で竹刀を振っていた彼女。
そこへ、大きな猪が突っ込んできた。
気配に気づき竹刀を振りかざす、頭に竹刀が命中した。
だが、猪の勢いは止まらず吹き飛ばされる。
運が悪かった。
吹き飛ばされた先は崖だった……
打ち付けた所が熱い!痛い!
視界が回って気持ちが悪い!
流る……
赤い……
霞むし視界……
って!前世の私やないかーーい!!
うぉ!めっちゃ情報量!
目とかナマ行ってないで、脳ミソ溶けるかと思ったわ!
そしておもいだしたよ!
何かココってあれじゃん!
友達に設定資料と本体&カセットを布教された乙女ゲームだよ!まんまだよ!
この世界は【ダルサスの国で恋しましょう】通称【ダル恋】今の状況マジでダルいわぁまんまだよ。
架空の国ダルサス王国でリアン、オスカー、ルーク、エドワルドの4人が攻略対象だ。
内容としてはダルサス国のダルサス学園に入学してきた主人公が、王子や騎士団長の息子、公爵家跡取り、教皇の息子等と恋する王道のようなゲームだ。
ゲームの中でのアリス、私は、婚約者であるエドワルドと義弟のルークの時のライバルキャラで、2人と仲良くなっていくと嫌味を言ってきたり呼び出してきたりする。
それを奴らがいい感じに助ける、と言う私はくっそ当て馬キャラ。
そして攻略対象を攻略すると断罪されて退学からの修道院行きだ。
ゲームでやってる時は気にならなかったけど実際アリスやってみると私はそんなに悪い事してるか?
自分の婚約者と義弟に、身分差がありすぎながら、女子達から総スカン喰らってもアプローチする、バカ女に身の丈に合った立ち振る舞いをしなさいと貴族として教えてるだけだぞ?
弟はまぁ身分違いの恋だからいいとして、いや、他の男達を誑かし、ハーレムに入れてるのは許せないけど。
何より許せないのは人の婚約者と堂々浮気したことだよ!
エドワルド様の事は愛してたよ。でも前世の記憶思い出して冷静になるとハーレム作ってる女に誑かされて浮気までする、そして私を断罪すると思うと100年の恋も覚めた。
後1ヶ月。断罪などされないぞこのまま終わらない。あの女に目にもの見せてやる……
「あの女絶許……」
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