14才の復讐鬼~「そのままで終わらせるものかよ。TS転生してでも復讐してやるッ」~
LA軍@多数書籍化(呪具師200万部!)
プロローグ
プロローグ「僕は殺された──」
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※『勇者に捨てられた死霊術士~彼女が最強に這い戻るまで~』
https://kakuyomu.jp/works/16816700427269086750
─── 本編です ───
「あはははははははははは」
「馬鹿な奴だ。まんまと引っ掛かりやがった!」
「ぎゃはははははは、見ろよコイツ。ションベン漏らしてやがる」
「こっちはクソだぜ。ぎゃははははは。イイ女が台無しだ」
「さぁ、残るはお前だけだッ。そろそろお仕舞にしよう───」
あの魔王を討伐して、満身創痍で帰還してから、たったの半日……。
僕は、仲間に奇襲されのたうち回っていた。
ここまで追い詰められてからようやく気付いたのだ。
裏切られた───と。
彼らは魔王討伐の先鋒。
それは、人類最強から選ばれた数名からなる英雄たち────その中にいたはずの仲間。
いや、「元」仲間たち。
彼らは、「自らの
……殺された。
もう、僕とともに戦ってくれた戦友も死んでしまった。
だけど!!!!!
死んでも……。
──死んでも忘れるものか!
奇襲された僕たちは、
まんまと食事に混ぜられた毒に侵され、
弱ったところを殴られ、蹴られ、血反吐を吐いた。
そこを切り刻まれ。
反撃もむなしく、
いまは、冷たく横たわっている。
そう、この地に這いつくばっているのは、千年に一度の逸材といわれた人類最強の戦士。
ザラディン。
その強さゆえに、国王から称号として「勇者」と呼ばれた。
だけど、僕は死んだ。
……殺された。
それでも、だ!!
僕だけは
魔王討伐の直前、あまりにも魔王とその配下の強大さに恐れをなした仲間は尻込みし、戦闘が始まる前に好き勝手にほざいて逃げていった連中。
逃げる前に彼らは言った。
「俺達まで巻き込むな!! みんな凡人だ! お前みたいなイカれた奴らとは違う」
「無謀だ! もういいだろう?! 世界がどうなろうが知ったことじゃない! ここまでよくやったよ俺たちは───」
「なぁ、すべて忘れて逃げようぜ? 今からでも遅くはない。もっと別の土地。魔王も何も関係ない所へ行こうぜ!!」
「もう付き合いきれない!…………オーウェンとカサンドラはザラディンに付き合うのか!?───勝手にしろ! 死ぬだけだぞ」
散々に好き勝手に宣う、かつての英雄たち。
「わかった。わかった。好きにしろ。もう付き合えない。…………俺たちは好きにする。勝手に死ねばいい」
「……せいぜい魔王のランチかディナーにでもなるんだな。俺は自分の命が惜しいよ!!」
そう、言いたいだけ口汚く罵って逃げ帰った彼らは───。
そうとも、その彼らが──────……なんで!?
辛うじて生き残った僕は、死にかけていた。
いや、じきに死ぬだろう。
そんな中、走馬灯のように流れるほんの半日前のこと。
……かの魔王は強大だった。
けれども、残ってともに戦ってくれた二人。
女銃士カサンドラ。無頼の剣豪オーウェン。
彼らは紛れもなく勇敢だった。
皆がいう、勇者よりも───。
残ってくれた二人の仲間は力を合わせて戦い、魔王に致命傷を負わせ討伐に尽力した。
だけど、僕はそれを見守っていただけ。
酷い欺瞞だろ? 勇者と呼ばれた僕はなにもできなかった。
逃げた彼らより、何もしなかった僕が一番の卑怯者だ。
甘っちょろくも敗北し、無様に地に臥せていた僕は何もできず、ただ、そこにいただけ……。
魔王と戦って勝利したのは、カサンドラとオーウェンの二人だった。
その真実を知っているのは、彼ら二人と僕を含めた三人だけ。
その手柄を勘違いした、あのバカどもは真実を知ることなく、二人と僕を殺したんだ……。
そう、今ここに這いつくばる僕らは死んだ。
死力を尽くした僕らは、ボロボロの姿で野営地に戻り、まんまと待ち構えていたアイツらに殺された……。
その時は、野営地に立ち上る煙を見てホッとした。
いま思えば、バカバカしいけど……当時は露とも考えなかったんだ。
アイツらが───仲間が裏切り、食事に毒を盛るなんて……。
だから、いつもどおり帰還を告げた。
そんな僕らを、「僕」を待っていたのは逃げたはずのアイツら。
アイツらは言った。
逃げてすまない、と。
最後まで戦った僕らこそが、英雄だ───と。
真の英雄だ! そう言って歓迎してくれたアイツら。
心苦しかった。
僕が戦ったなんて嘘ッぱちだからな……。
英雄は僕じゃあない。
勇者は僕じゃあない。
……それでも英雄だ、なんだと迎えてくれたアイツらが───。
その笑顔の底に隠していた悪意に気づけなかったなんて!!
魔王のような剥き出しの悪意とは違う。
善意と笑顔と仲間面にコーティングされた、ドロドロの悪意に気づけなかった!!
だから───。
「うげぇぇええ……」
食事に混ざっていた毒に侵され、血反吐を撒き散らし弱っていく2人の仲間……。
それを嘲笑うアイツらクズ野郎ども。
せめてもの抵抗にと、反撃した女銃士のカサンドラの銃弾は、裏切り者の
激高したソイツは弱ったカサンドラを散々
それを笑いながら
カサンドラの隣では無頼の剣豪オーウェンが弟子の二人に切り刻まれていた。
普段なら絶対に負けないであろう
師匠を殺した二人は、大はしゃぎで彼の形見の二刀を分け合う。
そして僕は、高貴な血をひく
「おやおや、もう終わったようですね」
「きゃはははは、魔王討伐したっていうからもっと手こずると思ったけど、あっけないわね」
ニヤニヤと笑う二人。
「魔王も実際は大したことないんじゃないか?」
「あはは、言えてる……じゃぁね、勇者さま」
チロリと僕の耳朶を舐めた聖女が、躊躇なく耳を噛みちぎった。
それを、ムシャムシャと、さも旨そうに咀嚼する。
毒で弱った僕はロクに抵抗も出来ずに、自分の血反吐に溺れていく。
毒のせいで徐々に開いていく瞳孔の先に、せせら笑うアイツらと────冷たくなって哀れな
バチが当たったと思った。
僕が殺されるのは当然だ。
いっそ、一人で殺されるならそれもよかった。
僕一人だけ殺して欲しかった。
だけど!!!
なぜ?
なぜ二人を殺した?
一番の卑怯者の僕ではなくて……、なぜ二人まで!?
おかしい……!
狂ってる…………!!
僕だけを殺せよ────!!
二人は関係ないだろぅぅぅうう!!
絶対に許さない……。
絶対に……!
「さようなら────
そして、僕の最後の光景は、
鞘ごと奪われた僕の愛刀──
ドンッッ!!
……コロコロコロと、生まれて初めて自分の首が転がる音を聞いて────。
そして、
視界が……。
暗くなっていく────。
ギャーーーーーーハッハッハッハッハッハッハ!!
ゲハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!
アーーーーーーーハッハッハッハッハッハッハ!!
狂ったような笑い声だけが響くなか、僕は───。
僕たちは殺された……。
───畜生…………。
─── あとがき ───
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