第4話 出版社への持ち込み
ぼくはいつもの調子でその新作をある出版社の編集部に持ち込みました。
今はもうない出版社ですが、丁寧でした。編集長がきちんと読んでくれて、のちほどハガキで講評を送ってくれました。
いろいろと書いてくれたのですが、結論は「いまひとつ」の一言でしょう。
ぼくはふと思いました。あれが「いまひとつ」ならば、「AG」はどうゆう評価をもらえのだろう? ぼくは後日、編集部を再びおとずれ、「AG」の原稿を持ち込みます。
返事はなかなか来ませんでした。業を煮やしたぼくは編集部に電話で問い合わせますが、編集長の返事は「は?」という感じでした。
が、何日か後、ハガキが来て、「あのときは急に言われて思い出せませんでしたが……」とのあとに、「文庫での出版を予定しています」と記されていました。
そこで再び編集部を訪れ、お話を伺いました。
まず、編集部としては、文庫での出版を考えてること。ただし、少し長い。なので、削って短くして欲しい、と。そして若い編集部の人が担当についてくれました。
「AG」はたしかに長かったです。なにせ習作として書いているから、通常の単行本2冊分ありました。担当の若い方は「上下巻2冊で押してもいける」とおっしゃってくださいましたが、ぼくは短くします、と約束し、帰宅しました。
編集部の意向としては、無駄なシーンを削って文字数を少なくしてもらいたかったのでしょう。しかし、ぼくは「AG」の全面改稿に挑みました。
書き直す、それが出来ないことを十分承知で、です。
ぼくはあのとき、「AG」が偶然かけた名作であり、おいそれとあのレベルの作品は書けはしないと心の底では感づいていました。が、もしかしたら……という甘い考えもあったのです。
設定を変え、プロットを変え、原稿枚数を押さえて、改稿版「AG」書き終えたぼくは、新しく書いた原稿を編集部にもっていきました。
初稿より、出来は落ちると思います。でもぼくは、そうして書いた改稿版「AG」もそこそこ面白いだろうと自己評価してました。
編集部の感想は、「どうしてこうなっちゃったのかな?」でした。
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