カルチャーショック

勝利だギューちゃん

第1話

宇宙は広い。

はてしなく広い。

でも、限りはあるようだ。


ある学者は、宇宙全体は丸い形をしているらしい。


父さんが子供の頃に買ったという、科学の絵本を読ませてもらった。

父さんが子供の頃だから、1980年発行とあった。


そこに描かれていた、2020年の未来予想図、つまりほぼ現代だが、

そこには、リニアモーターカーが開通し、宇宙旅行が当たり前のように出来るとあった。

他にもあったが、どれも、実現されていない。


父さんは信じていたようだが、当時の子供たちも、夢見てたようだ。


逆に、携帯電話やスマホなどの普及は予想出来なかったようだ。

ネットとかも、予想できなかったらしい。


わからないものだな・・・


トントン

「どうぞ」

「父さん」

「なんだ?」

「父さんが、子供の頃に読んでた本、ほかにないか?」

「ああ、物置きにあるから、探して読んでいいぞ」

「サンキュー」


父さんに言われて、物置きを探す、

たくさん、出てきた。

本に限らず、当時のおもちゃとか、雑誌とかあった。

おかしの缶もある。


「父さん・・・大事にしすぎだ」


いくつか、本を持って、自室に戻る。

「父さんが、子供の頃には、こんな本を読んでたのか」


鉄道の本も多い。

「父さん、昔から電車が好きだったんだな」

その電車を見て、驚いた。


「食堂車?電車の中に食堂があったの?」

「国電?何それ」

「うわー、全国同じような電車ばっか」

軽いカルチャーショックを受けた。


野球の選手名鑑もあるな。

「あの監督、選手時代はここにいたのか?」

「えっ、ホークスって大阪の球団だったのか?」

「ホエールズ?ブレーブス?どこそれ?」

さらにカルチャーショックを受けた。


でも、人ごとではないんだな。

俺が、父さんの歳になった時、その時の子供は今の本を見れば、

おそらく、カルチャーショックを受けるだろう。


そのために、今の時代の本を残しておこう。

将来、子供たちがカルチャーショックを受けた時の、顔を見るのが楽しみだ。


ドアの陰から、父さんが俺を見ているのに、気付かなかった。

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カルチャーショック 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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