ネットプリント再録集
伊古野わらび
#ペーパーウェル01参加作品「愛しい君へ」
【Ⅰ】包む
「くそっ、思い切り吹っかけやがって!」
悪態を吐きながら、店の扉を乱暴に閉める。代金を投げつけた勢いのまま引っ掴んできたので、目当ての物は剥き出しのままだ。
この辺りでは入手しにくい物を用意して貰ったのだ。本来はお礼を言ってしかるべきで、文句を言える立場でもないし、代金だって自ずと高くなる。
「もう、また喧嘩したの。あなたってば、すぐカッとなっちゃうんだから」
ほら落ち着いて。いい子、いい子。
君が知ったら、苦笑しながら、きっとこんな風にまた子供扱いしてくるだろう。沸点の低さは性分なんだ、許してくれ。
さて、こいつを包む物を用意しないとな。すっかり軽くなってしまった財布を手に、雑貨屋を目指して歩き出した。
→【添える】へつづく
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