十八話目~たける視点~

━━━二学期、始業式の日


(...今日から二学期か。夏休みの事は...いや。何も無かった事にしよう)


俺は、もう周りに心配させないつもりだからそんな事は考えない様にしておく事にしたんだ。

一学期はサスケさんの事で頭がいっぱいで俺は、きよみさんの事を考えて無かったから反省していたのだ。


ピンポーン...


俺がそんなことを思っていたらインターホンが鳴った。


(誰だ...?)


俺が玄関を開けるとそこには...


「おはようございます!」

「あ、おはよう...あ、学校ね。ちょっと待ってて」

「はーい」


そこにはきよみさんが居た、学校に行く為に迎えにきてくれたようだ。

俺は、待つように言って、着替えに行こうとした。


「あ、中入ってて良いよ」

「分かりました...お邪魔しまーす」


外だと駄目だと思ったから居間を指差して上がるように言った。

それから俺は急いで着替えた。

顔はにやけていたと思う。嬉しかった、ただそれだけだったが。


「お待たせ、行こうか」

「はい!」


着替え終わり、俺は、今へと向かい、出発すると告げた。

きよみさんは満面の笑みで頷いた。

その姿が何故か可愛く見えた


(...あれ、何だこの気持ち、胸の中がドキッとしたんだが...)


俺は、体験した事ない感情に戸惑ってしまった。

そんな中、俺はきよみさんと共に出発した。


「あのさ」

「はい?」

「そろそろさ、名前にさん付けるのやめて行かない?」

「そうですね」


そういえばと思い、きよみさんにそう言うと、思案顔で頷いた。


「敬語もやめて行こう 」

「は...うん」

「まだぎこちないね...」

「ごめんな...ごめん」

「...やっぱ無理してまでやめなくてもいいよ」

「ごめんなさい...」

「いいんだよ」


無理させてしまったなと後悔して、やっぱりそのままで良いと告げた。



━━━それから俺らはとても充実した二学期を過ごした。

あっという間にもう冬休みが目の前...というか明日になってしまった。

今日はもう二学期の終業式の日だ。

二学期は、はじめに言ったようにさん付けと敬語を辞めることが出来た。

その上で彼氏彼女の関係を深めることが出来たと思う。

ケーキ屋でケーキを食べたり━ただ食べるだけじゃない、お互いにあーんし合って笑いあった...楽しかったなぁ━ゲーセンで遊んだり━ゲームをしたり、プリクラを撮ったり━した。


ピンポーン...


二学期のことを思い出していたらインターホンが鳴った。

二学期になってから学校の日はきよみが毎日のように迎えに来てくれるようになった。

きっと今日もきよみが来たんだろう。

そう思って玄関を開けると...


「おはよう!」

「あぁ、おはよ、もう行くのね、上がってから突き当たりの部屋で待っててね」

「うん、分かった!」


やっぱりきよみだった。

俺は、居間で待つように言った。

季節はもう冬。外で待たせたら風邪を引いてしまう。

俺は、急いで着替えに取り掛かった。


「お待たせ、さあ行こうか」

「うん」


着替え終わり、今に行くときよみはいつもの様に満面の笑みで頷いた。

二学期の間はいつもこんな感じで毎日を過ごしていた。

俺は毎日の様にきよみの笑顔にドキドキしてしまっている


(きよみの事が好きになっている証拠...?)


「あのね、たける」

「なに?きよみ、まさか別れ話?...嘘だよ、真に受けんなよな...」


冗談を言ってみたが、きよみは無言で睨んできたから冗談だと言った。


「もう!たける酷い!」

「ごめんって、所でなんだよ」

「はぁ...あのね、たける、いつもクリスマスってどんな感じで過ごしてるの?」

「あぁ、いつもは叔父さんとかが来て一緒に過ごすけど、今年は忙しいらしくて来れないらしい」

「そうなんだ、じゃあ今年はボチクリ?」

「そうなんだよ~、誰か来てくれないかなぁ...」


チラチラときよみの方を見てみたが...


「そんな目で見ても行かないよー~」


と言ってそっぽを向いてしまった。


「なんでぇヒデー」

「うっそー」

「なんだよー、信じちゃったじゃん」

「さっきの仕返し」

「だからごめんってば」


きよみが怒り口調で言ってきたから手を合わせて謝った。


「じゃあわたしの嘘でチャラってことで」

「分かった」

「たける、あのn...」

「きよみおはよー!」

「あ、ゆな、おはよ。」

「今日も仲良しだねぇ!」

「うん...ごめん、この話は後で」

「うん、分かった」


きよみが何かを言おうとしていたが、ゆなさんが話しかけてきた事で話せなくなってしまった様子だった。


俺達は、一学期のように、終業式や掃除をした後に二学期の振り返りをした。

そして、その後に放課後となった。



「これで二学期終わりかぁ...なんか寂しいよな」

「そうだね...なんかあっという間に冬休みだね...」

「だな...」


感傷に浸りながらそう言い合った。


「あのね、たける」

「ん、なになに、別ればな...」


そう言いかけた時


バシィ!


きよみから思いっきり平手打ちされてしまった。

あぁ、やべ。やっちまったな...


「もう、いい加減にしてよ!」

「...ごめん」

「冗談でもそんなこと言わないでよ、傷付くじゃん」

「本当にごめん...」


彼女を傷付けてしまうのは駄目だと思っていると、無意識に下を向いていた。


「あのね、クリスマスだけどさ、どっか行かない?」

「どっかってどこよ」

「今はまだ決めてない」

「んー、じゃあ行くとしたらどこで落ち合うの?」


(クリスマスか、いつもの様にツリーとかの準備はするつもりだけど、それ以外は...何も無いな)


「私が迎えに行くよ」

「そうか、分かった。行く」

「オッケー、じゃ、またクリスマスに会おうね」

「あぁ」


ちょうど俺の家の前で話が決まった為、そこで別れることにした。


(クリスマスかぁ...二人で出かける...ああ、いかにも彼氏彼女っぽい...いや、語弊があったな。いかにも彼氏彼女だな、が正しかった)


━━━クリスマスは、たけるの予想を超える一日となるだろう...

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