第52話 The End -Epilogue of the Death-

カッ カッ カッ カッ 無機質な音を立て

私はロストフ刑務所内を歩かされ

刑場へと向かわされている


私は今日 死刑になる


どうしてこのような結末を迎えてしまったのか

どうしてこのような結末を避けられなかったのか

繰り返し 繰り返し思うが

全ては詮無きこと


全ては人を犯して 殺して 食して 壊し尽したその結果

誰がどう考えたところで自業自得であろう


防音設備のある部屋へと通され

規則通りに跪かされてゆくと

自分の死がひしひしと

間近に迫っているのを感じた


銃口が私に向けられている

執行官が下卑た笑みで私に向けている


抵抗する術はない

逃れる術もない


私は死ぬ


死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死


カタカタカタカタ 歯が震え

カタカタカタカタ 視界が滲み

私は思わず叫んでいた


脳は撃つな! 日本人に売れる!


執行官は私のその言葉に呆れたのか

執行官は私のその言葉を嗤ったのか

分からないまま


引き金は引かれた


右耳の下から私を抉りながら

銃弾が問答無用に侵入してきた

熱い! 痛い! ありえない!


視界が全て深紅に染まったようで

視界が全て歪み 壊れたようで

熱い! 痛い! ありえない!


死する時 走馬燈が綺麗に巡り

静かに生が終わりを告げるかと思いきや

熱い! 痛い! ありえない!


私はみっともない叫び声をあげ

みっともなく床を這いずり回った挙句


ふっと意識が白く塗り潰され

次の瞬間 全て黒へ堕ち


私は死んだ


家族も含め 皆が私を罵り 石をぶつけながら

家族も含め 皆が私の死を喜びながら

誰一人として悲しまれることのないまま


ただ野に晒され 消えて逝く

何の価値もないゴミクズのように

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