第24話 Virgin Killer -After-
全てが凍る 真夜中の冬の道
私は重い袋を抱えて歩いている
人目を避けて 絶対に見付からないように
気をつけながら歩いている
袋の中身はレーナの死体
滅多刺しの上 精液のコーティングまである
見るも無残な死体が入っている
これが見付かったら 私の人生はお終いだ
これが知られたら 私の人生はお終いだ
恐怖心に駆られながら私は袋を運び
橋の上から水面凍る川へと投げ入れた
甲高い音を上げながら川の氷は割れ
レーナの入った袋は川の中へと沈んでいった
Amen
形式的に軽く十字を切り
すぐさま その場から離れたけれども
いくら逃げても いくら逃げても
この手からレーナを抱いた感触は消えなかった
いくら目を閉じても いくら目を閉じても
私の脳裏からレーナの姿は消えなかった
いつでも彼女の微笑みが心にある
いつでも彼女の匂いが心にある
いつでも彼女の死相が心にある
それは呪いだった
私の心を啄み 嬲り殺す
解くことのできない呪いだった
私がその呪いに苦しんでいる最中
追い打ちをかけるようにレーナの死体が川から上がり
衆目に晒されることとなった
嗚呼 私の人生は終わってしまうのか
嗚呼 私の人生はこれまでか
私は恐怖を抱いたのだが
間もなくしてアレクサンドル・クラフチェンコという
何の関係もない男が逮捕され
私を唖然とさせた
このまま彼が犯人になってしまえばいいな
身勝手にそう思いつつも
彼がこの件に何の関係もないのは明白なので
そう上手くはいかないだろうと思ったが
間もなくしてアレクサンドル・クラフチェンコが自白したと報道された
彼が強姦殺人の前科持ちだったせいなのか
彼の妻も友もかばってくれなかったようだ
その後彼の裁判は 彼が犯人として進み
彼の死刑判決で幕を下ろし
1983年 彼の死刑は執行された
彼の死刑が執行された後
私はレーナとの痕跡を辿った
レーナと出会い 話した場所
レーナを犯し 殺した場所
レーナを投げたあの川
気付けばもう 5年も経っていた
いつでも彼女の微笑みが心にある
いつでも彼女の匂いが心にある
いつでも彼女の死相が心にある
呪いは今でも私の中にあり
レーナは今も私の中にいるのに
世間的にそれは
アレクサンドル・クラフチェンコとかいう
訳分からない者のものとなっている
レーナとはあんなに 激シク突キ合ッタノニ
レーナとはあんなに 激シク愛シ合ッタノニ
あの時のプレイを最初から最後まで
何一つ間違えることなく思い出せるのに
世間的にそれは
アレクサンドル・クラフチェンコとかいう
訳分からない者のものとなっている
罪人として裁かれず 良かった筈なのに
それがまるで知らぬ男に愛しい女を寝取られたようで
私は何処か悔しくて仕方なかった
嗚呼 レーナ! レーナ! レーナ!
股間をまさぐりながら 心の中で叫び
白い胤を吐きながら いくら求めても
主や マリア様や 悪魔でさえ含め誰も
私とレーナの愛の軌跡を認めてくれる者はいなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。