第22話 A Piece of the Insanity Ⅲ

クチュ クチュ チュルルルッ

私は今 罪の味を堪能している

チュチュ クチュ ズルヂュチュ

私は今 シャレにならないことをしている


真夜中の学生寮 男子生徒の部屋に忍び込み

熟睡する彼のズボンと下着を下ろす

露わになったイチモツを口に咥え しゃぶり

私も自分のイチモツをしごくのだ


チュバ クチュ ムチュクチュ

闇夜の静寂の中で

ヌチュ レル ズズルチュチュ

淫猥な音が響き渡る


彼のイチモツは不能な私とは異なり

私の愛撫を受け 鋼のように硬く そして大きくなっていた

いずれ白い胤も吐いてくれるだろう


私自身 何故このようなことをしているのか分からない

別段ゲイという訳でもなかった筈だ

ただより黒い罪の味を求め続けたその結果

今こうして愉快な気持ちで男根をしゃぶっている


嗚呼 早く白い胤は出てこないかな?

私の白い胤と彼の白い胤を混ぜ合わせれば

シャレにならない酷いものになって

とても愉快な気持ちになれるだろう

そう思ってしゃぶり しごき続けたのだが


そのミックスジュースは 最低なホワイトソースは

完成することはなかった


あああっ! なんだてめぇは! 離れろよ!

もう間もなくといったタイミングで 彼が目を覚まし

ちくしょう! ふざけんな! 死ねよ! 死ね!

大きな声で叫びながら抵抗したのだ


相手が恥ずかしがれば恥ずかしがる程に

尚更愉快な気持ちになることができる

そしてきっと良い教師にもなれるのだが


物をぽんぽんぶつけられてはかなわないし

ここで大勢の人に来られてもかなわないので

私はミックスジュースの今夜の完成は諦め

ひとまず退却をした そして


数日後の深夜 私は再度彼の部屋に忍び込もうとした

今度こそミックスジュースを完成させるつもりだったが


カチャカチャカチャ 彼の部屋は施錠されていた

何度試みても開かないので 合鍵を使うと

ガタガタガタ それでも彼の部屋は開かない

ドアストッパーを使って開かないようにされていた


仕方ない 今夜は別の生徒で

そう思い別の部屋を開けようとしたが どの部屋も同じ

最終的にはドアストッパーで開かない


真夜中に 変態教師がイチモツをしゃぶりにやって来る


密やかに だが確実に

あの夜のことは噂となって出回っていた


嗤い声が聞こえる 嗤い声が聞こえる

嗤い声が聞こえる 嗤い声が聞こえる

いつでも 何処でも どんな時でも


生徒が通れば 私を嗤っている気がした

同僚が通れば 私を嗤っている気がした

誰でも彼でも人が通れば 私を嗤っている気がした

笑い声が聞こえれば全て私を嘲笑っている気がした


アハハハ ワハハハ 気持ち悪い あのオッサン

アハハハ ワハハハ 気持ち悪い あのオッサン

皆が私を馬鹿にし 嗤い 皆が私を見下し 嗤った

その果てに


私は性質の悪い生徒達に囲まれ

暴行を受けることとなった


俺達は輝けるパルチザンだ 悪を討つ!

彼等はそう言いながら私を集団で殴り

学校の平和を守る為に戦い 悪を討つ!

彼等はそう言いながら私を集団で蹴った


何処かで聞いたような妄想ストーリーだ

薄れゆく意識の中 私はそう思ったりした


味方の一人もいない私を彼等は好き放題殴り

私が大きめの怪我をした程度のところで満足し

妄想正義を謳いながら立ち去っていった


後に残された私には

徹底した敗北感と屈辱感だけが残された


今の私はクズだった

使えなくなったので捨てられたゴミと同じだった

今の私はクズだった

頭の先から爪先まで何から何までゴミだった


嗤い声が聞こえる 嗤い声が聞こえる

嗤い声が聞こえる 嗤い声が聞こえる

耳障りなその嗤い声の その果てに


私は殺される 誰かによって確実に殺される


嗚呼 それはダメだ

それだけはダメだ


家に帰ると教師でいる私を誇りに思っている妻子がいる

本当の私はただのクズであるのに彼女等はそれを知らず

知らないからこそ幸福でいられている妻子がいる

その幸福を失わせてはいけない

死んではならない


その為には何をすればイイ?

その為には何をヤればイイ?


ぐるぐるぐるぐる思考が回った私の目の前に

一本のジャックナイフがあった


それこそが私を救うたった一つの腕だった

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