Into the Crimson Insanity
橘塞人
第1話 The End -Prologue of the Death-
銃口が私に向けられている
執行官が下卑た笑みで私に向けている
抵抗する術はない
逃れる術もない
私は死ぬ
どうしてこのような結末を迎えてしまったのか
どうしてこのような結末を避けられなかったのか
繰り返し 繰り返し思うが
全ては詮無きこと
クズと罵られ 嗤われ続けたこの私が
頑張って 頑張って 頑張って その汚名を返上しようとしたのだが
クズな私はずっとクズのまま 根底は変われぬまま
頑張っても 頑張っても 頑張っても その汚名を返上できず
全ては壊れて逝く
たったそれだけのこと
嗚呼 今思えば少し頑張り過ぎてしまったのかもしれない
今思えば少し欲張り過ぎてしまったのかもしれない
自分はクズなのだから
あそこまでできれば十分だと満足していれば
自分はクズなのだから
あれ以上は望まず 我慢していれば
このような結末は避けられたのだろう
もっとマシな末路を迎えたのだろうが
今更理解しても遅過ぎる
全ては詮無きこと
銃口が私に向けられている
執行官が下卑た笑みで私に向けている
抵抗する術はない
逃れる術もない
私は死ぬ
カタカタカタカタと 古い映写機のように
これまでの人生が 記憶が呼び起こされる
父母 妹 ターニャ タチアーナ・ナリツナド
フェーニャ リュドミラ ユーリー その他関わりを持った人達が
順々に思い出され そして消えてゆく
クズで変態で 国民的な嫌われ者な私のことを
彼等でさえも恥と思い
クズで変態で 国民的な嫌われ者な私のことを
私の死後 憤りと共に思い出すのだろう
銃口が私に向けられている
執行官が下卑た笑みで私に向けている
抵抗する術はない
逃れる術もない
家族も含め 皆が私を罵り 石をぶつけながら
家族も含め 皆が私の死を喜びながら
誰一人として悲しまれることのないまま
引き金は引かれた
私は死ぬ
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