最終話:メインプレイ:ミドル10
GM:では最後に、探偵バディの決戦前会話ですね。ロジカ、よろしくお願いします。
ロジカ:シーンイン!
輸送機の機内。足を組んで座したロジカは戦車を見上げながら、僅かな憂いを帯びた表情を浮かべていた。
ロジカ:おもむろに告げる。
「フィリップ。話したい事がある」
フィリップ(GM):「どうしたんだい、改まって?」
ロジカ:「……はぁ~~~」
唐突にへたり込み、大きく息を吐き出す。
「なんかさー、なんかさー……ノリと勢いで凄いとこまで来ちゃったな……」
フィリップ(GM):「まったくもって同感だよ。君の運命とやらは一体どうなっているんだい」
ロジカ:「本当にな……あと小一時間もすれば面影島、か」
フィリップ(GM):「あっという間だね。君といると、時間が過ぎるのが早くて仕方ないよ」
ロジカ:「Rメモリを巡ってクラウ、ロボ子、真白、守矢たちと知り合って……あの戦いの日々が、まるで昨日の事のようだ」
そんなロジカの言葉に、フィリップもまた
フィリップ(GM):「ああ……苦労したけど、得難い時間だったね」
ロジカ:「そして、私たちはそのケリをつける。今日、あの地で……なあ、フィリップ」
フィリップ(GM):「何だい、ロジカ」
ロジカ:「恐らく、お前の過去を知るあの男……“ユートピア”との戦いは避けられん。それをどう感じる?」
フィリップ(GM):「……それを語るためには、僕と“ユートピア”の因縁について説明しなければならないね。聞いてくれるかい?」
ロジカ:「聞かせてくれ。あの男の願い……歪んでしまってこそいたが、ただ無下に一蹴するのも惜しいと思っていた」
白紙の本を閉じ、フィリップは語り始める。全ての始まり、その物語を。
フィリップ(GM):「僕と彼は、面影島で育った親友同士だった。
何をするにも二人一緒で……そうだね、相棒と言っても良かったかもしれない」
ロジカ:「相棒、か……」
フィリップ(GM):「そんな僕らの日常は、ヒーローとヴィランの戦闘で壊された。僕はその戦闘に巻き込まれて死亡し、彼もまた大怪我を負った。
そこで僕らの運命は別たれたはずだったんだ。ところが彼はオーヴァードに覚醒しジャーム化する事で生きながらえた。
そして彼はオモイデ様の欠片を入手して島を
フィリップの問いかけに対し、ロジカの明晰な頭脳はすぐ答えを弾き出した。
ロジカ:「確信はないが予想は出来る。レネゲイドの特性を鑑みれば――」
フィリップ(GM):「そう。推測だが、きっと答えはこうだ。
“ユートピア”がオモイデ様に接触した時、オモイデ様が彼の願いを読み取ったんだ。
彼はその時、僕の事を――死んだ相棒の事を考えていたのだろう。そしてオモイデ様がその想いに応えた。
結果、僕はオモイデ様によって黄泉還った。“ユートピア”が次なる拠点に選んだ街、F都でね。
きっと運命だったんだ。僕はF都でロジカと出会い、皆と出会い、Rメモリと出会った。それは全て、彼を止めるためだったんだ」
ロジカ:「…………」
フィリップ(GM):「僕は“ユートピア”を――かつての相棒、
そこまで喋って、フィリップは口を閉じた。ロジカの答えを待っているのだろう。
そんな彼を、ロジカの緋色の眼光が見つめ返す。
ロジカ:「……なるほど、わかった。
奴がそこに至るまでの経緯も、お前の希望も……全てを飲み込んだ上で、私は“ユートピア”を叩き潰す。
それがせめて……お前の相棒だった男にくれてやれる手向けだ」
フィリップ(GM):「ああ、僕からも改めて頼むよ。翔一を……終わらせてやってくれ」
ロジカ:「その依頼、確かに請け負った」
フィリップ(GM):「ふふっ。頼もしいね名探偵。そうだ、依頼料として君に伝えておく事がある」
ロジカ:「何だ?」
フィリップ(GM):「君の師匠……消息不明となった、
ロジカの顔に、緊張が走る。
ロジカ:「師匠の……」
フィリップ(GM):「白紙の本で調べてみたのだけど……彼は既に、この世にはいない。亡くなっている。
遠い異国の地で、“ヴィランの王”を相手に人々が逃げる時間を稼ぎ、そして――」
ロジカ:「……そう、か……ったく、骸骨なんて不吉なヒーローネームをつけるから」
粗暴な言葉とは裏腹に、それを誇りに思うような口ぶりで呟く。
GM:ちなみに裏設定ですが、その戦いで師匠は“ヴィランの王”の片目を潰しています。
サプリRWに掲載されている“ヴィランの王”の立ち絵、片目だけしか描かれていませんよね。その理由がこれです。
PC一同:(サプリをめくり)ああ、本当だ! 凄い!
フィリップ(GM):「……僕も会ってみたかったよ。君を育てたという、素晴らしいヒーローに」
ロジカ:「確かに、本人に会うことはもう出来ないが……師匠の教えと志は今も息づいている。このロジカ・ミリターレの中にな」
フィリップ(GM):「そうだったね。彼は今も、君の中で確かに生きている。そして僕の事まで生かしてくれた。
だから……ありがとう、ロジカ・ミリターレ。僕のヒーロー」
ロジカ:「ふっ、随分と殊勝な台詞だな。らしくないぞ。
ま、今回はその感謝も依頼料の前払いに含めておいてやる」
そう答えてロジカは鎮座する戦車を見やる。その視線の先には、小鳥が止まるカラビニエリのマーク。
ロジカ:「覚えてるか、フィリップ。この戦車の紋章、お前が作ってくれたんだったな」
フィリップ(GM):「ああ……懐かしいね」
ロジカ:「F都の人々の涙を背負い、謎に立ち向かう探偵ロジカ・ミリターレは、この紋章の鳥のようなものだ。
両翼なくして青空を羽ばたく事は叶わず――最後まで共に駆け抜けよう、相棒」
フィリップ(GM):「もちろんさ。君に、幸運の追い風を」 右手を差し出す。
ロジカ:「ああ」
いつもの不敵な笑顔で、それを握り返すのだった。
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