第2話:メインプレイ:オープニング4

GM:では最後、ロボ子のオープニングですね。


ロボ子:シーンイン! (ころころ)6点上昇、49%!

 初期値が高いと上がるのも早いなぁ。


GM:では描写に。

 クラウニウム(クラウ由来の謎成分。ロボ子のエネルギー源の一つだとかなんとか)が足りない! 一大事である!

 説明しよう! ロボ子はここ一週間ほど、クラウと顔を合わせていないのである!

 というのも。クラウが雑誌の取材を申し込まれたということで、バディとしての活動がお預けになっているのだ。

 しかし! 事件は君を、そして取材中のクラウを待ってはくれないのである!


 F都での活動を命じられたロボ子は、クラウの代わりとしてUGNから派遣されてきたヒーロー“インテリジェンス”と共に、ヴィランを追い詰めていた。


GM:ではここで、“インテリジェンス”の基本情報を公開しましょう。




◆情報「“インテリジェンス”知念真教(ちねん・まさのり)」

・男性。22歳。UGN所属のヒーロー。

・オーヴァード。シンドロームは「ノイマン」。支援型。

・融通の効かない堅物だが、腕は確か。




 ヴィランに相対するロボ子の耳に、“インテリジェンス”からの通信が入る。


“インテリジェンス”(GM):「ROBOT-5、次の指示だ。この通信の終了から3秒後、2時方向に向け全力攻撃。直後に同方向へ前進。ヴィランどもを殲滅せよ」


GM:このヴィランはエキストラなので、宣言のみで捕縛または殺害が可能です。ジャーム化はしていません。指示通り全力攻撃すると、命を奪ってしまう可能性もあるでしょう。


ロボ子(GM):「ぇ、ぁ、全力!? ぇっと、そいっ!」

 ギア・アップのパーツビットに隊列を組ませて、足を掬ったり当身したりで無力化だけしながら前進!

ヴィラン(GM):「きゅぅ~……」 無力化完了!


 ヴィランの鎮圧に成功したロボ子。しかし通信機の向こうから聞こえてきたのは、露骨なため息であった。


“インテリジェンス”(GM):「ハァ……ヴィランの無力化を確認。ROBOT-5、なぜ俺の指示通りに攻撃しなかった?」

ロボ子:「全力じゃぁ殺しちゃうよ……マナスのサポートがあるから、過分な力を使う必要もないし……」

“インテリジェンス”(GM):「……ヴィランに情けをかけるとは、随分と余裕があるようだな……まあいい、次に期待する」


 そうして通信が途切れ、重苦しい静寂がロボ子にのしかかる。


ロボ子:「……だって……僕の使命は、人類の守護だもん……」


GM:何度でも言おう! 今のロボ子には! クラウニウムが足りていないのである!


クラウ:クラウニウムって何だ(困惑顔)

ロボ子:クラウ成分だよ?(すっとぼけ)


GM:さて、ヒーローとしての活動を終えたロボ子は、帰路にある書店で『週刊ユースティティア』を購入しセーフハウスへと帰り着いた。

 雑誌のページをめくっていくと、クラウの顔写真と共にヒーローとしての彼女を紹介する特集が組まれている。


ロボ子:「あ、ちゃんと載ってる」


GM:記事の内容自体は、相棒であるロボ子ならば既に知っている事ばかりだ。だがしかし。最後の一節を読んだ君は、そこに驚くべき記述を目にすることになる。


記事(GM):『今後も、本誌は“アエストゥス”への取材を続けていく。彼女のバディとして、二人三脚で励んでいく所存だ。』


 バディ。相棒。つい一週間前まで、そこには自分がいたはずだった。


守矢:あーこれはまずいですよ。

クラウ:あ、てめぇ冬堂。

ロジカ:こ、これは……。

真白:なんだろ、冬堂さんのムーブがクラウ大好き人間に見える(笑)

GM:ふっふっふ。


ロボ子:「…………」 雑誌を閉じた。

 ブン (><三><) ブン

「負けるなロボ子、ヒーローでしょ。うん、そうだ」 ほっぺたペシペシッ


GM:ロボ子かわいそう……。

PC一同:どの口が言うか。

クラウ:相変わらずえげつないねGM(褒め言葉)。

GM:クラウが握手に応じてればなー、それも記事に書いたんだけどなー(笑)

クラウ:やらせねぇよ!?


GM:……と、そんなタイミングでロボ子の端末に着信が入る。“インテリジェンス”からメッセージが届いているようだ。


“インテリジェンス”(GM):『次の任務だ。F都警察署のRメモリ犯罪課と協力し、氷の怪人を追う。詳しくは添付した資料に(以下略)』


 何の味気もない、極めて事務的なその通達は、ロボ子の孤独感を一層強く際立たせるのであった。


ロボ子:(本来の、人間とロボットのやりとり……でもこれじゃあ、どっちがロボットなんだろう……。

 博士……貴方はどうして、僕に感情を……)

「ッ、あぁもぅ!」

 雑誌と一緒に買い込んでたハンバーガーを鷲掴んで、食べながらバイクを駆るよ。走って誤魔化せ! シーンアウト!


 風を切って走るロボ子のギア・アップ。その隣にあるはずの炎の如き赤も、今はなく。守護戦機はテールランプの赤だけを共に、冷たい夜の街に溶けていった。

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