第89話 in the case of Rui

担任「栗山、この成績なら


星南の宇宙航空学科も医学部もいけるぞ」


Rui「そうですか


ありがとうございます」


「何だ、嬉しくないのか」


「いえ、国立しか考えてないんで」


「国立かぁ


確かにお前の成績なら国立も狙えるが


滑り止めに星南も考えたほうがいい」


「はい」


「学費のことか?」


「まぁ」


「栗山の成績なら推薦枠も狙えるし


母子家庭だったりで


奨学金も間違いなく出るから安心しろ」


「分かりました」


「そういえば


お母さんの容態はどうだ?」


「相変わらずです」


「そうか


大して頼りにならないが


何か困ったことがあればいつでも言えよ」


「はい、ありがとうございます」


「ほんとにだぞ、困ったら言え」


「はい」





ガチャ


Rui「ただいま」


おばぁちゃん「Rui、おかえり


さっき病院から帰ってきたのよ」


「どうだった?」


「また治療はじまったから大変そう」


「そっか


母さん人参ジュース飲んでた?」


「はじめはいらないって


言ってたんだけど


Ruiからって言ったら一気飲みしてたわよ」


「なら良かった」





「面談どうだった?


ごめんね、行ってあげられなくて」


「大丈夫


星南の宇宙航空学科と医学部は


なんとか大丈夫らしい」


「えっ、すごいじゃない


じゃあ、受験するのね」


「いや、推薦がもらえたら受ける


あくまでも国立志望だから」


「Mikiも言ってたけど


お金のことなら気にしなくて大丈夫よ


おばぁちゃんも蓄えあるし


それよりも


Ruiの頑張りがMikiのパワーの源


Mikiのためにもね」


「あぁ」





Dark World


「何を見ているんだ」


「いえ、Ruiの過去を少し」


「お前、何か企んでいないか」


「企むだなんて


とんでもありません


いつかRuiとコンタクトをとる時に


恩人のことを何もしらないままでは


失礼に値すると思いまして」


「それはそうだな」


「はい、こちらの世界に誘導するには


まずRuiのことを細かく


把握する必要があるかと」


「確かに


何か分かったことがあれば把握しろ


それまでに体調を整えておけ」





「体....調ですか?」


「そうだ


Ruiにはメールでコンタクトをとった後


人間の姿になって


地球に行って直接コンタクトをとる予定だ」


「えっ、そんな負担のかかること


今の我々には、死を意味する行為」


「だから体調を整えておけと言ったんだ」


「なるほど、命がけですね」


「そうだ、命がけだ


なんとしてもRuiを手に入れる


彼の能力をみくびってはいけない


まだ能力は眠ったままだ


本来の力を発揮すれば


とんでもないことになる


普通転生者として輪廻転生してることが


もったいない」


「確かにですね


なぜRuiは特別転生者から普通転生者に


降格したのでしょうか」





「それは我々とのことが


関係してるだろう


そこまでして彼は我々を引き上げてくれた


次は我々が彼を助ける順番だ」


「では今すぐコンタクトをとってみては


いかがでしょうか」


「今はまだ時期ではない


物事には順番というものがある」


「なるほど」


「頭を使え」


「それが最近頭が回らないんですよ」


「それはどういうことか分かっているか


我々は今、司令センターに


おされてるということだ」


「それは理解しております


Ruiさえ手に入れれば


すべてがうまくいく」





Ruiは我々の存在を知らないはず


何か個人的な理由で


3.5次元と地球をつなげる必要があって


何かのミスで


我々の世界が偶然引き上がったはず


まぁ、助けられたには違いないが


そこを見てみるか


何も企んではいない、ただ気になるだけだ


3次元には我々とは違って


さまざまな感情というものがあって面白い


どれどれ


Ruiが特別転生者として


地球にいたころの記憶を辿ってみるか


ピピピピピ


あった、あった


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