第41話 「股間ゴリゴリ禁止令」
社長の知り合いの息子が途中入社でお店に配属された。
もう40歳を過ぎている。
今まで同じような小売りチェーンに何社か勤めていたが長続きせずに辞めているらしい。
親は街の不動産屋を営んでおり、店の土地やテナントを借りている繋がりでうちの会社に縁故入社したということのようだ。
それなら不動産屋を継げばいいだろうが、親が息子の適性を一番解っているようでそれは無いらしい。
40歳を過ぎ、経験者としてお店は迎え入れ業務はそれなりにこなすが、大きな難点がある。
その男、臭すぎる!!
風呂嫌いのようで、月に数度しか入らない。湯船につかるのが邪魔くさいのならせめてシャワーくらいすればいいのに。
どんな業態のお店も客商売なので、あまりに不潔で体臭がするような人は使えない。
店長が本部の上司に相談しても、親が社長の知り合いで、数店舗の大家さんであるから厳しく当たらないようにと丸投げされた。
お店の従業員からも店長になんとかしてほしいと不満の声が。
その男が定位置にいる売り場やカウンターの床に、気づかれないようき消臭力を置いてみたりするが、男のニオイがキツいのですぐに液体が無くなる。
初めはリビング用の消臭力だったが、トイレ用の消臭力に変えてみても焼け石に水!
店長はそれとなく身だしなみについて話してみたが、全く自分の事だと気づいていない。
体臭もそうだが、短めに刈ってある髪の毛にもフケが目立つ。
フケって細かな粉が連想されるが、蓄積されて固まったのか、コーンフレーク状の大きさ!
時々、カウンターやショーケースの上に落ちている!
ネバネバだ!
休憩時間に交代で食事をとる事務所のテーブルもその男が使った後はネバネバで、体臭の残り香。
それだけではない。
頻繁に股間を掻く。
ズボンの上からゴリゴリと股間を掻く姿に他の従業員は凍りつく。
風呂に入ってないから股間もムレムレなんだろう。無意識にゴリゴリ掻いている。
お客さんの前や、接客中に商品の説明をしている時にも無意識にゴリゴリ掻いているので、お客さんから店長にクレームの電話がかかってくる始末。
見かねた店長が、その男に「股間ゴリゴリ禁止令」を出した。
しばらくはおさまったが、お客の目にふれないカウンターやショーケースの裏側でゴリゴリやっている。
また店長が注意した。
その男も考えたもので、ズボンのポケットに手を入れて、ポケットの中でゴリゴリ掻き出した!
ポケットの中で掻くことによって、余計に股間のニオイも指に絡み付く!
発注用のタッチパネルの端末の画面もネバネバでオイルを溢したようになっている!
レジ操作のスキャナーもボタンもネバネバだ!
その男がレジをした後は、誰もレジを使いたがらない。
その男が使用した後のレジや発注端末、機材を消毒アルコールのウエットティッシュで入念に拭く従業員まで出てきた。
ある日、レジを担当している従業員の「ギャーッ!!もう嫌よ!」との悲鳴が!
なんと、レジのボタンとボタンの間に陰毛が絡み付いていた!!
少し前にその男がレジを操作していたのを誰もが覚えている。
レジに陰毛なんかありえない!
しかし、その男ならありえる!!
いつものようにポケットに手を入れて股間をボリボリ掻いている。
とうとうポケットの布が破れて、男の指は直接股間を掻いていたようだ。
股間を掻き、ネバネバの指に絡み付いた陰毛がそのままレジ操作の時にボタンとボタンの間に落ちたんだわ!!!
耐えられない!
そんな時、お店の有線放送のBGMでネバーエンディングストーリーが流れていた。
終わらせてくれ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます