第114話 おっぱいおっぱい!
前回。
突然のリエッセさん来訪。テンション爆超の母上と妹君。なぜか台所で手伝いだすリエッセさん。これはあれですか、どうぞ食べてってくださいの流れでござるか。
「今日は麻婆豆腐にするでござる」
「お前麻婆豆腐なんか作れるのかよ」
「兄貴に習ったでござる」
「何言ってんだお前…、
お前兄貴いねーだろ」
LIMEも電話も出ないなら明日にするとかあるだろうになんでわざわざ家まで…。
「最近お兄ちゃんの周りは凄い人ばっかりだね!」
「武蔵野グループ会長のおばあちゃん、そのお嬢様のレイミちゃん、世界で売れてる歌姫シオンちゃん、とある皇国の皇女様リエッセちゃん。さらに小学生や現役女子高生とも仲が良いという。うーん、我が家は安泰ねえ」
大声で盛り上がる母上と妹君。『周りは』ってなんでござるか『周りは』って。まるで吾が輩がなんにも出来ないみたいな言い方はやめて欲しいでござる。ん?
「なしてリエッセさんが皇女様だって知って…」
「ああ、どうせいつかバレるし、ついさっきな」
いやいや、えっ? いやいやいやいや。これはスーさんの正体は黙っておいた方が良さそうな悪寒…?
「はあ…どうせ吾が輩なんて…」
「なにスネてんだよ、ほらフライパン、火」
「え? ほあっちゃ!」
最近家族に『周りは』って言われることが多くなった吾が輩。周りの人age吾が輩sageが増えた気がするでござる。溜め息が漏れてよそ見して、調理中のフライパンを少し触ってしまった。
「ああもうバカ、指貸してみ」
「えっ? あっちょっ」
パッと吾が輩の手を取って火傷した指を咥えて嘗め始める。レロレロと舌の感触が指先をなぞり、唾液特有のぬめりに包まれる。
「あうあう…」
今吾が輩の顔を鏡で見たらさぞや真っ赤な顔をしているに違いないでござる。心臓がバクバク言って弾けそうでござる…。
「うわー、リエッセちゃん横顔が凄いイケメン。いや正面から見てもイケメンだけどね?」
「いいなあ、私もあんな彼氏欲しいなあ」
「これじゃどっちが男だか分かりゃしねーな」
口から指を離すと手早くビニール袋に氷水を作り持たせてくれるリエッセさん。
「あとはやっとくから座って待ってろよ」
そう言って台所に戻り調理を再開するリエッセさん。聞いてはなかったけどこの手際のよさ、よその台所でも普通に作れるあたり一人暮らしなのでござるか。
「はい、おまちどーさん」
途中だった麻婆豆腐を仕上げ他にもおかずを作ってくれたでござる。テーブルこたつには見事に五人分のごはんとお味噌汁、おかずが並んだ。
「「「「いただきます」」」」
いただきますは基本。
「あーあ、火傷したのなんて久しぶりでござる…」
はあ、なにやってんだろ吾が輩。
「カレンに焼き印された以来か?」
はあ、なに喋ってんだろこの人。もうマヂムリ麻婆豆腐美味しい。
「だれだれ? その『カレン』って子は初めて聞くわ」
「さっき言った仲の良い女子高生ですよ。フランス貴族【
「タケちゃんあなたなに? これなんてエロゲ?」
「まさか三人とも聞いてないんですか?」
「うん、なんにもー」
「なんにも? おいタケ、別に隠すことはねーだろ。仮にも仕事の上なんだし」
「仕事って言っても一円も貰ってないでござる」
そういえばハワイで獲ったどー! したフカヒレはどうなったのでござろうか。とはいえ、いくらなんでもフカヒレなんて調理したことないから本当に届いても困るけど。
「一年と経たない内に色んな事があったでござる。武蔵野グループに関わってる以上は守秘義務も発生しますしおすし」
「まあ、そりゃそうなんだけどよ。上手いこと逃れやがって…。ところでよ、なんでリビングに神剣が『居る』んだ?」
<ギクッ!
「ははは、やだなあリエッセさん。神剣は『居る』とは言わないでござるよ。会長のおばあちゃんからの贈り物でござる、せっかくだからリビングで飾ろうかと」
「そうか?」
あ、あぶねーこの人! 全部バラすつもりでござるか?!
もぐもぐ
「んで、リエッセさんはなにしに来たんで? 晩ごはん食べにきた?」
もぐもぐ
「ぶっとばすぞ。今月は良い映画多いからたくさん観に行こうぜってLIMEしたら返ってこねえから来たんだよ」
もぐもぐ
「Reflectionなら観に行くでござる。出来れば舞台挨拶で」
もぐもぐ
「アレか。アタシらももうちょっと若ければ魔法少女って名乗れたのにな。舞台挨拶行きたいならレイミ言えば…あ、ダメだ」
もぐもぐ
「?」
もぐもぐ
「この間の…なんだっけ? 都市伝説? あん時にエラい無茶こいたもんで、あっちこっちから抗議やら請求書やら飛んできて今忙しいんだと。書類の山と格闘してるってよ、ばーちゃんの秘書が監視しながら」
イタダキマシタ。
「そりゃあ大変でござるなあ」
ずずぅー。
「アイツ無茶苦茶し過ぎなんだよ。ま、そこらへんはまさにお嬢様って感じそのまんまだから、らしいっちゃらしいけどな」
ずぅー、ふう。
「あ、トモミンからLIMEでござる」
ずずぅー、ふう。
「なんだって? あ、お茶もうない」
「今週末に来てほしいだそうで」
「パス。今週末は忍びとパイレ○ツオブカリ○アンだ」
ざぶーん。
「『残念ながら今月の土日は全部リエッセさんとの映画デートで埋まってるでござる』っと」
どはぁー。
「お前んち、この屋敷もそうだけど風呂も広いな。これ完全に金持ちの風呂じゃねーか」
「サロンほどじゃないでござる。あ、電話だ。もしもし」
『くぁwせdrftgyふじこ!』
「…」
通話終了。
「そういえば何か話が上手く言ってないって聞いたけどどうなったんでござろう」
「あー、なんかアイツ次期当主から外されるらしいぜ。天照の勾玉って本当はトモミンが継ぐはずだったんだとさ。けどお前食っちゃったろ? なんでそんなことしたんだよ」
「面白そうだったからでござる」
ざばあ。
「背中流すよ」
「ウィ。では吾が輩は髪洗うの手伝いでござる」
「あっ、ちょっ、どこ触ってんだよ」
「腰、くびれ。…リエッセさん? 太っ」
「増えてない増えてない増えてない増えてない増えてないアタシの体重は増えてない!」
ざあ。がらら。
「アイスあるか?」
「パ○コなら」
がさがさ、ぱきっ! ちゅぱちゅぱ。
「やっぱ風呂上がりはアイスだよなー」
「リエッセさんはアイス食べる前に髪乾かさないと」
「いいんだよこんなもん扇風機最強で」
とことことこ、がちゃっ。カチッ。
「男の部屋で半裸でアイス食べながら扇風機最強で髪を乾かすOL…」
「女ってもんに幻想持つな。すげえ、なんだこのデカいベッド」
あ゛ぁ゛ー。あ゛ーあ゛ぁ゛あ゛ー。
「…」
ぴと。
「ひぃあっ?!」
「乳首にアイスをつけてれーろれーろ、れーろろー、れろーんれろーん」
「んっ、ふあ、ひっあ、冷めてえよやめれバカ」
ごちっ。どさっ。
「はあ、大きなおっぱいに沈むと本当に落ち着くでござる」
「甘えん坊め、押し倒すならベッドにしろよなー」
なでられなでられ。
「着替え持ってきてたってことは最初から泊まるつもりで来たんでござるね」
「お前の部屋に入ってみたかったんだよ。もっとフィギュアとかなんとかで溢れてるかと思ったら全然違うな」
「え?」
がらっ。ずらあ。
「前言撤回。お前せっかくのウォークインクローゼットをなんだと思って」
「え?」
がらっ。
「二つあんのかよ。こっちは普通だ」
「どんなに艶かしい造詣のフィギュアっぱいとて、目の前の生ハムメロンにはかなわないでござる」
るぱーんだーいぶ。
「おっとおいあぶねーよ」
「はあ、おっぱいぱい」
もみもみ。
………………。
壁に耳ありならぬ、ドアに耳あり。盗み聞きする二人。
「「入る隙がない」」
「お風呂空いてんよ二人とも」
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