デートの報告ですわよっ! 【語り部、御門エリカ】
……皆様こんにちは、エリカです。
理由あって名字は言いたくないのですが、エリカだけでわかりますよね?
今日は私のお、お…お姉ちゃんの、デートで何があったかを報告します。たぶん、気になっている人もいると思うので。
えっ、どうしてお姉ちゃん本人が教えてくれないのかって?よく考えてみてください、あのお姉ちゃんが説明するのですよ。きっと要らないのろけ話が9割りを閉めて、凄く、すごーく長くなってしまいます。なのでこうして、私が皆様に伝えることにしたのです。
さて、それでお姉ちゃんの話ですが。
デート当日、T葉県にあるT京Dズニーランドで、 手を繋いでスキップをしながら園内を歩く、お姉ちゃんと南部先輩の姿が目撃されました。
『樹里タン、愛してる!樹里タン、愛してる!ジュリタン、アイシテルヨー!』
『おーっほっほっほ!わたくしもですわ春ルーン!』
……カオスです。
その異様な光景を見た鳥などの動物達は我先にと逃げ出し、子供は泣き叫び、気分が悪くなった人が次々と病院に搬送されました。夢の国が、悪夢の国に変わってしまったのです。
お姉ちゃん、普段は遊園地に行くときは貸しきりにするのに、なんの影響を受けたのか、その日はお忍びデートをするとか言って、一般の方が大勢いました。そのためにあんな悲劇が……
皆さん、本当に申し訳ございません。
Dズニーランドからの相次ぐ緊急通報に、テロでも起きたのではと騒がれて、ついには警察が出動する騒ぎになってしまいました。
当然、騒動の元凶であるお姉ちゃん達は、その場で警察の聴取を受けることになったのですが、これがなかなか進まなかったのです。それと言うのも、まず南部先輩には何を聞いても……
『樹里タン、愛してるよー!』
としか喋らず、警察は薬物中毒を疑ったようです。そしてお姉ちゃんの方も。
『いったいこれは何の取り調べですの?わたくしはただ、春ルンと普通にデートをしていただけですわよ。ふふふ、この後で春ルンと、アーンし合いながらランチをいただいて、沈む夕日を見ながら、『奇麗ね春ルン』『君の方が奇麗だよ、樹里タン』て言って、『春ルンだーい好き!』と言った後に、シンデレラ城の前でキッスをするのですわよ!おーっほっほっほ!』
モジモジと体をくねらせた後の高笑い、そしてとてもシラフでは聞いてられない話の内容に、取り調べをした警察はお姉ちゃんに向かって銃を撃つのを我慢するのに必死で、聴取どころじゃなかったそうです。
そうして数時間に及ぶ取り調べの後、本人達に悪意は無かったと見なされ、二人は釈放されたそうです。
と言うわけで、デートは途中で中断しちゃいましたけど。とりあえず『春ルン』『樹里タン』と呼び合うと言うお姉ちゃんの目的は、いつの間にか達成していたようです。ただその代償はあまりに大きくて………
ごめんなさい皆さん!お姉ちゃんが本ッッッッッ当に、ご迷惑をおかけしました!
さて、物語はここで一段落つきますけど、また何らかの形で会う日が来るかもしれません。その時はどうかまた、よろしくお願いしま……えっ、まだ終わりじゃない?
今までずっとふざけた恋愛しか書いてこなかったから、最後くらいまともな恋の話を書きたいって作者が言い出した?あの、散々おかしな話を書いておいて、今さら何を言ってるんですか?
そもそもこの物語じゃあ、いったい誰がまともな恋なんてできるんですか?あ、今資料が届きました。ええと、最後のお話は三話構成で、主役は……ええっ⁉
こ、これって、間違いじゃないですよね?だって、この主役って……
に、荷が重いですよー!
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