第12話 初めての日
初めて空が青いと知った日
初めて空気が美味しいと知った日
初めて空には星がいっぱいあることを知った日
初めてご飯を食べた日
初めて歩いた日
初めて笑った日
初めて泣いた日
世の中には初めてが溢れていて
誰かにとって初めてでは無くても
私にとっては初めてで
あなたにとって初めてで
その時の感動が一つ一つの輝きを生んでいる
一つ一つの輝きが当たり前でも
それがどうしようもなく輝いていたその日
それは誰にでもあって
それは誰にでも分け与えられる
あなたが初めてを知る度に
私の初めてが色褪せていく
セピア色に染まるその瞬間さえ
初めてなのだから
私が初めてと感じる瞬間は
いつまでも変わらずに
いつもみんな初めてを歩んでいる
その瞬間を大切に
感じられたのなら
もっと心が温かくなれるような
そんな気がしていたんだ
一欠けらの飴玉を口に頬張って
甘い雰囲気を感じている時も
私は何度も体験したことだけれど
今日の飴と空の青さと
変わりゆく空模様も
傾いた夕日に照らし出されて
長い影を見つめたまま
こうして日が過ぎてゆく
飴が無くなる前に
コロリと転がした口の中で
夕日の味を一緒に味わう
黄昏と
笑う背中の
影法師
見つめる瞳
焦点の定まらない
動く瞳孔が鼓動とリンクする
近づくたびに
離れていく
胸を打つ痛み
何もないのに
やってくる脈動に
吸い込まれながら
口の中の飴玉は消えていく
時が経ち、忘れ行く甘さ
懐かしき風景は
溶けて消えゆく
面影は空と共に
影に沈んで陽が出れば見えなくなる
忘れ去られた郷愁は
そのまま
誰かの初めてとなり
また誰かの初めてとなる
巡り廻る
繰り返す
その営みが生ならば
どれだけの時を経ても
変わらず君の微笑みは
君のまま
君の優しさは
君のままで
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ぼんやりと
呆けた日の仕事の合間
在宅の仕事はサービス
黄昏て
暮れる夕日の橙を見て
手の付けられない長編を差し置いて
ただ言葉を吐き出していました
えぇ、息抜きでした。
耳に触る音を塞ぐヘッドホンから流れる
ピアノの音に
どうにも哀しくなって
それだけ、それだけでした。
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