　ごきげんよう皆さま。作者の南木です。

　この度は、本作「勇者様が帰らない」に目を通していただき、ありがとうございます。

　リーズとアーシェラの恋愛模様、いかがだったでしょうか。

　世界最強になったがゆえに期待に押しつぶされそうになった少女リーズと、自分の功績が讃えられなくても恋人のことを一心に思い続けた青年アーシェラ。かつては、母と子供のような関係でしたが、それが恋愛感情に変わり、あと一歩を踏み出せないもどかしさ……それを楽しんでいただけたら幸いです。

　昨今のライトノベルでは、ヒロインの扱いが酷いなと感じていました。やれハーレムだの奴隷だの。確かにそれらは男のロマンかもしれないですが、私はそこまで女の子に酷いことはできません。

　現代に生きていれば、バリバリのキャリアウーマンのリーズに必要なのは、内助の功ができる男性のアーシェラを置いてほかはありません。ジェンダーフリーが叫ばれているこの世の中だからこそ、こういった関係性が一つの理想だと感じています。

　そして忘れてはいけない、ほのぼの要素。豊かとはいえない開拓村で、村人たちと共に強くたくましく生きていく生活。楽しいことばかりではなく、つらいこともあります。ともに笑い、共に頑張ることで生まれる絆もまた、この物語の醍醐味でしょう。

　活動報告にも書きました通り、本作は元々実地実験の小説です。

　私はあまり恋愛描写をしたことがなかったので、ちょっとした短編のような形でほのぼのとした恋愛を楽しむ作品を目指しました。それ以外にも、新しい表現の形を模索するべく、色々な方法の導入も試みました。地の文章の流れや、タイムテーブルの構築、キャラクター性、文章の圧縮などなど、学ぶところが非常に多く、今後の執筆に生かせそうな経験を多く積むことができました。

　そしてなにより、中盤辺りから急に読者様の数が増えて、結果的に大勢の方に見てもらえたのには驚きました。感想欄ではいろいろご意見をいただきましたし、応援もあれば批判もあったと思います。

　読者様の反応こそが、やはり何よりも経験になると改めて感じました。

　ちなみになのですが、途中から話がえらい変な方向に突き進んでいき、途中からドン引きした方もいらっしゃるかもしれません。あらかじめ言っておきますが、今回の話の流れは元々から完全に決まっていたので、決して読者様の意見に左右されて話の本質を捻じ曲げたということはないです。

　逆に言えば…………ここだけの話、どんな改善点を言われようとも、致命的でない限り一貫して初期プロットで突き進むことを決めてはいましたが。忖度とかも一切ないです。いいね？

　作者的に良かったのは、やはり19日目までの一連の流れですかね。

　リーズとアーシェラの近くて遠い距離間。もう自画自賛しまくり！　こんなことなら、下手に話を圧縮しないで、倍の日数掛けてほのぼの恋愛模様を書けばよかった！

　逆に、後半があまりよろしくない。これも一応実験なので、書くだけ書きましたが…………多分読者置いてけぼりになってると思います。リシャールとの対決辺りはまだ許容範囲ですがね。あの辺も無駄に長くなったな…………

　とにかく恋愛描写がメッチャ書き足りない！　告白させたのが早すぎた！　これにつきます。

　私は元々、1話1話を長くするタイプの書き手で、以前書いていたサイトでは1話当たり平気で1万文字書いていましたし、場合によっては2万字に到達していました。とにかく筆が乗ればすさまじい量を書けるのですが、乗らないとなかなか書けないというムラがある作家なのです。

　そこで、1話を大体1500～2000文字辺りに設定して書きました。これをやって大体2000～3000文字あたりが、読み手の負担にならない量なのではと結論付けました。1500だと、たまにはいいけどちょっと短い。

　これに加えて「1ヶ月以内の完結を目指す」という目標まで立てていたので、最後の方はなるべく延期しないように詰め込んでました。それだからか、なんか最後の方はちょっと完成度が……と感じます。実験だからと割り切りましたが、今後このあたりは大幅なリメイク対象です。

　大体、当初の予定では12万字くらいで終える予定で、王国編は添える程度で終わらせるつもりだったのですが…………最後の「王子が斬られた」を書きたいが為だけに、話を繋げました。やっぱり作者の独りよがりはだめだって、はっきりわかんだね。これもまたいい経験になりました。失敗したっていいんです、次に生かしましょう。

　そんなわけで、実験的に連載した2か月、いかがでしたでしょうか？

　まだまだ二人のラブラブな生活を（裏側も含めて）書き足りないことこの上ないですので、書ききれなかった分を第2部として続けていくつもりです！

　だだ、流石に2か月ほぼ毎日書いていたため、手が腱鞘炎気味です。2～3か月程度休憩させていただきますが、気が向いたらすぐに始めるかもしれません。まあ、過度に期待はせずにお待ちください。

　そのほかにも「こんなシーンが見たい！」というリクエストがあれば、感想でもメッセージでも何でもいいので、言ってもらえると嬉しいです！　あなたのネタで、リーズとアーシェラのラブラブがもっとみられるかも？　もちろん告白前の関係の時期のネタも大歓迎です！

　あと、書籍化決定しました。いつかリーズが本屋さんに姿を見せるかもしれないのでヨロシク。