鉄と宝と
河過沙和
一章 市街にて
第1話 始まり
かつて栄華を極め歴史の闇に消えた古代文明。その遺跡には宝が眠るという…
「まったく、悪趣味ね」
トレジャーハンターである彼女は古代文明の遺跡、その最下層に潜っていた。都市から数キロ離れた土地で街道工事のために地面を掘っていたら遺跡が出たのだ。
非常用通路らしきものを通って出た部屋は予想以上に広く、野戦病院を思わせる造りの部屋であった。
違う点はベットの代わりにカプセルが等間隔にざっと数十は並んでいる点か。
「こんなにマシンゾンビをため込んで何をしようとしていたのかしら?古代人の考えは分からないわね」
マシンゾンビとは機械化されたゾンビもどきのことで死肉を食し迷宮を徘徊する、人型でありまた生体の部分がある化け物である。
お宝を狙って潜った彼女には理解できない上に価値を見出せなかった。
それでも一端の雇われハンターである彼女は職務を果たすために上司に連絡をすることにした。
「こちらルナ。キャンプ応答せよ、応答せよ」
「こちら、ベースキャンプ。キャンプリーダー。なにか見つかったか?」
「こちらルナ。何も、マシンゾンビの貯蔵庫みたいなものを見つけた位」
「そいつは興味深い。今行くからそこで待機」
「了解、通信終了」
「通信終了」
リーダーは乗り気だったが、なにが興味深いだ。余計な事しかいつもしないくせに。何回リーダーのせいで宝物を逃したか。
そのくせ尻拭いはいつもあたしだ、この前も…
「…識別不能の生体反応を確認。…敵と認定、排除を実行する」
彼女が過去を思い出し、嫌味の一つでも言ってやろうかと待っていると。不意に防衛装置が起動し、カプセルの一つを稼働させ。マシンゾンビの特に戦闘力の高い一体を自衛のために覚醒させ始めた。
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