愉快なサイエンティストは今日も謎と向かい合う

如月風斗

プロローグ

張り切る私、何かを語る空

 今日から社会人だ。

 私、真河優波しんかわゆうはは今日から最神科学館もがみかがくかんで働くことになりました。

 待望の科学館職員だけど、一つ心配なことが……。

 それは職員さんたちのキャラの強さにありました。


 朝、やる気満々な私と裏腹にお母さんは心配そうにしていた。


「優波、ほんとに大丈夫?」

「何言ってんの? 何回か見学したけど館長さんも優しい人だったし、科学館の中もきれいだったよ」

「まあ頑張ってくるのよ」

「はいはい」


 朝食を済ませ服を着替えた。

 お母さんの心配性は私が社会人になっても変わらない様子。


 さて、いよいよ科学館へ出発だ。はぁ、わくわくしてしょうがない。


「優波、その格好でいいの?」

「え? 大丈夫でしょ」


 私は自分の服を改めて見てみる。決して女の子らしさはないが、ショートカットがよく似合っているように思う。


「まあ科学館だからいいか」

「え、なにそれ~」

「科学に女の子らしさはいらないもんね」

「何言ってんの、最近は理系女子でもかわいい子がたくさん……。って、私は違うかな」


 一応私は自覚症状ありのボーイッシュであるので仕方がない。でもお母さんの言い方にはちょっとイラっと来る。


 まあ気を取り直していこう!

 といっても自転車で行くことになるんだよね。めんどくさいなぁ。


 そういいつつも自転車を出し、坂を下って行った。

 さわやかな風が私を押していく。

 これはいいスタートが切れそう。


 青い空は物語のスタートを語るようだった。でも、それはとんでもない嵐を起こす合図でもあるのかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る