化ケもの



あるところに小さな化け物がいました


『ぼくはニンゲンがだいすきなんだ』


化け物は鋭い牙を覗かせて言いました


『だからいっしょうけんめいマネをするの』


化け物は鋭い爪で頬を軽く掻きました


『けどいつもどこかで失敗しちゃう』


化け物は目を伏せました


『ニンゲンみたいにすごしたいのに』


化け物は瞼に力を込めました


『がんばっても、がんばっても、ボロがでるんだ』


化け物は唇を噛み締めました






だから私は言います


「十分人間らしいじゃないか」

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