異能力のお正月物語
空式_Ryo
元旦の鐘付き
この世界には異能力というものが存在する。
この世界に生まれた人は全員異能力を持ち、二つ以上所持している人もいる。
だが、似たような能力はあっても完全に同じ異能力は滅多にない。
そんな世界で僕は可愛くて美人な僕の奥さんアクアと可愛い自慢の娘エルの二人を養うために最高位冒険者をやっている。
普段はいろんな国から召集され、休みなどないが今日は長い有休を取りアクアとエルと一緒にイナ大陸に来ている。
「お父さん、まだ眠いよぉ」
眠たそうに片目をこすりながら僕と手を繋いで歩くエルがそう言う。
「まぁまぁ、今日はイナ大陸の伝統行事、鐘付きを経験できるんだからそんなこと言わないで付いて来てよ」
僕がそう言ってエルに笑いかけると、
「ゴーン、ゴーン」
と音が鳴った。
どうやら鐘付きが始まったようだ。
「わぁー」
エルが眠気を一切感じさせない目で目の前に見える大きな鐘を見ていた。
「ねぇねぇお母さん! あの銅の塊ものすごく大きい!」
「そうだね、今からあれを付きに行くんだよ」
「そうなの?! やったー!」
エルは嬉しそうに無邪気に笑う。
この笑顔が観れただけでここに向いを連れて来た甲斐がある。
「じゃあ並ぼっか」
僕はエルとアクアを連れてものすごく長い行列に並ぶ。
列に並ぶこと二時間。ようやく僕たちは鐘の前に立つ。
「じゃあ、行くよぉ!」
エルがそう言って、鐘を撞く。
その次にアクア、そして最後に僕が鐘を付いた。
「今日は楽しかったー!」
鐘付きを終え、エルが僕とアクアと手を繋ぎ嬉しそうに言った。
「じゃあ、来年もまた来よっか」
「うん!」
僕がそう言うとエルはさらに嬉しそうな顔をして頷いた。
アクアも嬉しそうにしている。
これは来年も何があっても来ないとなと僕は思った。
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